グッドデザイン賞

登山・アウトドア活動で“自分”を正確にマッピングする「YAMAP」

  • 2014年11月12日
グッドデザイン・ものづくりデザイン賞
インターネットサービス・アプリコンテンツ「YAMAP」

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写真:セフリ 代表の春山慶彦(はるやま・よしひこ)さん セフリ 代表の春山慶彦(はるやま・よしひこ)さん

 山での遭難といえば、滑落や転倒事故を思い浮かべるが、実は「道迷い」がもっとも多い。登山に限らず、沢登りやスキー、ハイキング、山菜・キノコ採りなどに出かけ、道に迷い、自分の今いる場所が分からなくなる。その時点で遭難の域に入っているのだ。危機から脱するには冷静な状況判断と、正確な地図情報が欠かせないのはいうまでもない。

 昨今、山での事故が増加傾向にあるという。登山や自然を舞台に様々なアクティビティーを楽しむ時代には、簡単・確実に使え、道迷いや遭難から逃れられる装備品が求められるはずだ。そうした点から、スマートフォンを使って自分の現在位置を確認できるようにしたものが、地図アプリ・ウェブサービスの「YAMAP(ヤマップ)」である。

 サービスの利用に必要なのは、スマホ、パソコンまたはタブレット端末、そしてインターネット環境。YAMAPアプリをダウンロードし、会員登録をすると地図を取得・ダウンロードできるようになる。ダウンロードしたYAMAP地図は紙に印刷して携行し、スマホ表示の地図と照らし合わせて道中の安全確保に役立てる。登山ルートなど活動した軌跡や時刻はYAMAPアプリに記録されるため、撮影した画像などとともに楽しむこともできる。

 このサービスは2013年3月から開始されたが、早くも今年度、中小企業の意欲的な取り組みを顕彰する特別賞「グッドデザイン・ものづくりデザイン賞」に輝いた。創案者で、運営会社代表者の春山慶彦さんは言う。「僕自身が根っからの山好き。登山・アウトドアを通して、自然の中で“遊ぶ”ことの意義を広め、日本の風土や生活環境を見直すきっかけになればと願い、YAMAPを開発・運営しています」

 自身の山の経験が豊富なだけに、地図アプリの開発で強く意識したのは「登山・アウトドア活動を邪魔せず、必要なときにだけ頼りになる」という装備品の分(ぶん)をわきまえることだった。そのため機能を限定し、余分なものは削ぎ落としたが、スマホ内蔵のGPS機能を活用して、携帯電波の届かない場所でもマッピング可能にする点は譲れなかった。そのこだわりが電波の届きにくい離島や、災害時にも活躍するという得難い長所ももたらした。

 今回の受賞理由の一つに、個人の安全とソーシャルネットワークを結びつけたことへの貢献があったが、それは山登りでも日常生活においても今後ますます重要な課題となるに違いない。春山さんは少しも気負うことなく「日本の民藝(民衆藝術)になることを目指し、YAMAP作品をコツコツ磨いてまいります」と語るのだった。

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