国際通貨基金(IMF)内の独立評価室は、リーマン・ショック後の2010年、IMFが先進国に緊縮財政を求めたことは誤りだったと結論づけた。
独立評価室は01年7月、IMFのトップとスタッフから独立した立場でIMFの諸活動に対する客観的な事後評価を行い、IMF理事会の機能をサポートすることを主目的として設立された組織である。
IMFは08年のリーマン・ショック時には、各国に金融緩和と積極財政を提言した。それは正しかったのだが、10年になると方針が一転して緊縮財政を求めるようになった。
当時、ノーベル経済学賞受賞者で米プリンストン大教授のポール・クルーグマン氏ら世界の多くの経済学者は、この緊縮策の提言を「ひどい考えだ」と批判した。結局、財政政策の方向性の転換が早すぎたのである。
IMFは、今では緊縮財政の方針を変えて、10月の年次総会では各国にインフラ支出の拡大を提言した。世界経済見通しでは、先進国では財政健全化を緩めると同時に、緩和的な金融政策を必要としていると記した。
しかし、そのくだりには、「日本だけは財政健全化を緩めない唯一の例外」(つまり緊縮財政、増税容認)と注釈的にカッコ内で書かれている。ちょっと読み飛ばしてしまいそうなところだが、何とも姑息(こそく)な注釈である。
IMFの世界経済見通しを読むと、「日本では、消費税引き上げによってもたらされた国内消費の減少は予想以上に大きかった」「予想以上に大きかった第2四半期のGDPの落ち込みにより、14年の日本の成長率は4月のIMFの世界経済見通しより0・5ポイント下げて0・9%と予測している」と日本の消費増税に言及している。その部分と、他国には緊縮財政を求めていない点からみると、日本経済への記述はちぐはぐである。