2年前の話だ。
「プロ野球選手になりたいのなら、東都(大学野球リーグ)の方がいい」
ある甲子園常連校の監督は、プロ注目の選手だった教え子にそうアドバイスを送った。
だが、結局、その選手は東京六大学野球リーグへの憧れを捨て切れずに、六大学に所属する名門チームを選んだ。
よく聞く話ではある。
人気の六大学、実力の東都――。
大学球界の双璧を成す六大学と東都には、一昔前までのセ・リーグとパ・リーグのような構図が今も存在する。
親や本人からしてみれば、プロに進めなかった場合も考え、早大や慶大をはじめとした知名度の高い大学が集まる六大学に惹かれるのは当然のことである。また、両リーグともに神宮球場を使用しているのだが、土日を優先的に使える六大学の方がファンの数も圧倒的に多い。
それゆえに甲子園で活躍し名を売ったような選手は十中八九、六大学に名を連ねる大学を選ぶ。
横浜ベイスターズの村田修一のように、早大のセレクションに落ち日大に進んだというような東京六大学の落選組も少なくない。
なぜ東都が六大学を上回る実績を残せるのか?
昨年、春夏連覇を達成した興南高校のエース島袋洋奨のように、入ろうと思えばどこにでも入れる立場にいながら、東都に所属する中央大に進むというのは異例中の異例である。
ただし、大学4年間における成長度合いは、東都の方が上だ。
その証拠に、春の大学選手権、秋の明治神宮大会と、年2回ある全国大会におけるリーグ別優勝回数はいずれも東都がトップだ。
最近では、プロアマ交流戦で春の東都リーグの覇者、東洋大が千葉ロッテの二軍に連勝し話題を呼んだように、東都のトップランクのチームであれば、レベル的にはプロのファームと比べても遜色はない。
東都が六大学を上回る実績を残している理由は簡単だ。
21チームで構成され、4部制をしいている東都には入れ替え戦がある。それに対し、その名の通り6チームのみで運営している六大学には入れ替え戦がない。競争が激しくなればなるほどチームも個人も磨かれる。それは自然の摂理だろう。
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