瀬戸内海に浮かぶ「青島」(愛媛県大洲市)は、「ネコの楽園」と呼ばれている。住民がわずか17人しかいないのに、ネコは100匹以上もいる。車はおろか自転車も走らない静かな島では、ネコが道路や岸壁を悠々と歩き、民家の軒先で寝そべる姿が当たり前だ。インターネット上で注目され、全国からネコ好きが続々と訪れるようになった。突然の“観光地化”で島を取り巻く状況は一変、住民たちに戸惑いが広がっている。(加藤浩二)
10月17日早朝、青島と1日2往復する定期船が出る長浜港(大洲市)では、県内外や海外からネコ好きたちが集まっていた。午前8時の出航時の船に乗船。30分ほど船に揺られて、ようやく目的地の青島に到着した。桟橋に下りた乗船客らを出迎えたのは、住民とネコ“たち”だった。
「かわいい」。人なつっこいネコに、早くも女性たちの間から歓声が上がる。住民らを遠くから見つめるネコ、道路の真ん中を悠々と歩くネコ、日当たりの良い民家の軒先で集団で寝そべるネコ……どこを見てもネコだらけだ。島を訪れた観光客らが体をなでたり、写真を撮ったり、抱き上げたりと、ネコとたわむれる光景は、今では当たり前となっている。
「ネットでこの島のことを知った。民家近くにこんなにネコがいるのは初めて。いろんな種類のネコがいるし、ネコ好きにはたまらない」。神戸市東灘区から来た女性(41)は笑顔を見せた。
四国を旅行中に立ち寄ったという福岡県春日市の30代の男性は、「ネコは気まぐれなところが好き。ぜひ訪れてみたいと思っていた」と話していた。
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