南相馬の市外避難者「戻らない」半数近く
南相馬市は、福島第1原発事故で市外に自主避難している住民約8000人(6月時点)を対象に意向調査を初めて実施した。その結果、福島県外の避難先は宮城県が最も多く、市内に戻らない可能性が高いとした割合が半数近くに達したことが明らかになった。40代以下で市外居住希望が強く、放射能への不安や避難先での生活の安定を理由に挙げる声が目立った。
避難先は福島県外が64.5%を占め、宮城県28.3%、東京都10.2%、山形、新潟両県各9.6%の順に多かった。
世帯主に南相馬市での居住意向を尋ねると、「判断がつかない」が44.6%で最多。「市内に戻る」が39.7%、「市外居住を決めた」は12.8%だった。
世帯全員を対象に、市内に戻る可能性を、100%(必ず戻る)から0%(戻らないと決めた)までの6段階で尋ねた質問では、「必ず戻る」は18.8%、「戻らないと決めた」は17.9%。戻る可能性50%以上は43.7%に対し、50%未満が49.3%で、帰還に否定的な人が半数に迫った。
戻らないと決めた理由(複数回答)では、「放射能への不安」が48.3%と最も多く、「避難先での生活が落ち着いた」が40.7%で続いた。
世帯主の就業率は53.2%で、うち53.9%が原発事故後に勤務先を変え、変更なしの45.8%を上回った。
南相馬市の場合、避難区域外の避難者も仮設住宅の入居が認められ、居住先の6割がみなし仮設だった。
市の担当者は「帰還を長い時間で考える住民もいる。引き続き意向を確認していきたい」と話す。
調査はことし6〜8月、世帯ごとに実施。対象3717世帯のうち1283世帯3358人から回答があった。回答率は34.5%。
2014年11月12日水曜日