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【首相が年内解散検討】 選挙戦有利と皮算用 野党「『逃げノミクス』解散だ」と批判、焦りも


 安倍晋三首相が年内の衆院解散を視野に検討を始め、与党も臨戦態勢に突入した。消費税再増税の判断を控え、選挙準備が整わない野党の隙を突いて解散を断行した方が戦いを有利に展開でき、長期政権の道も開けるとの皮算用が背景にある。来年以降は安全保障関連法制の国会審議など不人気政策が待ち受けることも首相の強気姿勢を後押しする。野党は「大義がない」と批判を強める一方、焦りもにじむ。

 ▽臆測

 「解散のタイミングは何ら決めていない。国内では臆測に基づく報道があると聞いている」。安倍晋三首相は11日、北京での内外記者会見で平静を装った。

 与党内では首相が年内解散に踏み切る場合、来年10月に予定される消費税再増税を延期するとの見方がもっぱらだ。首相が帰国する17日に発表される7~9月期の国内総生産(GDP)速報値は「悪い」(自民党幹部)と予想され、首相が税率引き上げを決断するのは困難というわけだ。

 首相に近い党中堅は「増税を決めた民主、公明両党との合意を破棄することになる。選挙でアベノミクスをやり遂げたいと訴えるしかない」と首相の胸の内を推測する。

 公明党では井上義久幹事長が代議士会で「衆院議員は常在戦場が日ごろの心構えだ」と選挙準備を急ぐようハッパを掛けた。党の支持母体である創価学会も緊急会議を開き、年内解散をにらんだ準備を地方組織に指示した。

 ▽余裕

 対抗するはずの野党は選挙協力に向けた協議が緒に就いたばかりだ。民主党の公認内定者は計134人。うち50以上の選挙区で共産党を除く他の野党と競合する。

 これに対し自民党は295ある小選挙区の大半を決定済み。ベテラン議員は「相手が決まっていない選挙区も結構ある」と余裕の表情を見せる。

 解散時期を来年以降とした場合、景気失速の懸念に加え、逆風になりかねない政策を抱えることも首相を解散に傾かせる。特定秘密保護法が12月に施行され、年明け以降には九州電力川内原発が再稼働する見通し。来年の通常国会では集団的自衛権行使を容認する閣議決定を受けた安保関連法制を審議する予定で、政権へのダメージとなる可能性がある。

 解散断行を狙う首相に対し、自民党内には異論もくすぶる。11日の総務会で村上誠一郎元行革担当相が「円安対策ができていない。選挙する状況にない」と問題視した。野田毅税制調査会長も都内での会合で「まともな考えでいけば、常識的に解散はない」と早期解散に反対する意向を表明。「大義名分がない選挙はよくない」とも語った。

 閣僚経験者は「景気を理由に再増税を見送れば、アベノミクスは失敗したと野党に集中砲火を浴びる」と懸念を隠さなかった。

 ▽時間切れも

 野党は選挙準備を急いで攻勢を強める構えだ。民主党の枝野幸男幹事長は記者団に「大義なき、党利党略解散だ」と痛烈に批判した。維新の党の松浪健太国対委員長も「GDP速報値は、かなり悪いと予想される。『逃げノミクス』解散だ」と攻撃した。

 ただ野党にとって、前回衆院選のような共倒れを防ぐためには候補者調整が大きな課題となる。民主党は小選挙区の過半数、維新の党は100人超の候補者擁立を目指しており、難航は必至だ。公示前に時間切れとなる可能性も否定できない。

(共同通信)

2014/11/12 10:11

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