「後見人足りなくなる」6割に11月12日 6時38分
認知症のお年寄りなど判断能力が十分でない人に代わり財産の管理をする「成年後見制度」について、NHKが74の自治体にアンケートを行ったところ、今後20年間の見通しとして「利用者が増えて後見人が足りなくなる」と考えている自治体が6割を占めることが分かりました。
成年後見制度は認知症のお年寄りや知的障害のある人など判断能力が十分でない人に代わり家庭裁判所に選任された親族や弁護士などが財産の管理を行う制度で、去年末の時点でおよそ14万4000人が利用しています。
中でも、身寄りがない人に代わって市区町村の長が後見人を付けるよう申し立てるケースが増えていることから、NHKは、道府県庁所在地の市と、東京23区、それに政令指定都市の合わせて74の自治体を対象にアンケートを行いました。
この中で、今後20年間の見通しについて尋ねたところ、「利用者は増えるが後見人を確保できる」と答えた自治体は9%と1割に満たなかった一方で、「利用者が増えて後見人が足りなくなる」と考えている自治体が59%を占めました。
また制度の課題について複数回答で尋ねたところ、「潜在的な利用者を把握しきれていない」が最も多く74%。
次いで「手術など医療行為に同意する権限がないのに対応を求められる」、「死後の権限が無いため遺体の引き取りや葬儀の対応に困る」がいずれも6割を超えました。
成年後見制度に詳しい中央大学の新井誠教授は、「高齢化が進み後見人を必要とする人はますます増えていく。市民を担い手として養成するなど地域全体で支える仕組みを整える必要がある」と話しています。