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【衝撃事件の核心】
アートメークを施した看護師を送検 入れ墨では彫り師の立件ゼロ 滋賀県警の判断、違いはどこに
針を使って顔面に色素を注入し、眉や目元などをきれいに見せる「アートメーク」。化粧の手間が省けることから近年人気を集めているが、無資格で他人に施したとして今年3月、医師法違反容疑で滋賀県近江八幡市の女性看護師(42)が書類送検された。滋賀県警がアートメークをめぐり立件したのはこれが初めて。一方、よくアートメークと比較される「入れ墨」については、県警が彫り師を同容疑で立件したケースは今のところない。いずれも医師免許が必要とされる行為だが、この2つを取り巻く状況にどのような違いがあるのだろうか。(桑波田仰太)
書類送検された女性看護師は昨年3月、近江八幡市内のマンション一室にエステ店を開業し、医師免許を持たずにアートメークを施して代金を受け取っていた。同年6月、客の女性が近江八幡署にまぶたの痛みなどを訴え、女性看護師の行為が発覚した。
アートメークをはじめ、レーザー脱毛や化学薬品を使ったしみやしわの除去といった、医師免許を持たないエステ店従業員の医療行為による健康被害が十数年前、全国的に増加した。
このため厚生労働省は平成13年11月、これらの行為が医師法上の「医業」に当たり、悪質な場合は告発を念頭に警察と連携するよう各都道府県に通知した。
この通知では、アートメークや入れ墨を「針先に色素を付け、皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為」としている。
「医業」についても、同省は17年7月に「医学的判断と技術がなければ人体に危害を及ぼす恐れがある行為を、繰り返し行うこと」などの解釈を各都道府県に通知した。