ここから本文です
最終更新:2014年11月10日(月) 20時19分

日中首脳会談、実現の背景は

 ぎりぎりまで調整がもつれ込んだ日中首脳会談。実現の背景には、ここ数か月間の水面下での非常に激しい駆け引きがありました。

 今回のAPECでの日中首脳会談実現に向け、中国側は2つの条件を出していました。当面は安倍総理が靖国神社に参拝しないこと。そして、尖閣諸島に領土問題が存在すると認めること。

 「日本側はどうしてこうなったのか、きちんと反省すべきだ」(中国外務省 華春瑩報道官)

 しかし、日本側は、どちらにも応じるつもりはなく、交渉は完全に膠着していました。流れを変えたのは、先月初めに一時帰国した木寺大使がもたらしたある情報でした。

 「中国側は安倍総理がAPECをボイコットすることを恐れているようだ」

 APECという大きな国際会議に日本の首相が欠席すると、議長国としてのメンツが丸つぶれとなる。中国側がそう心配していると踏んだ日本側は、次の手を打ちます。

 日本政府は、谷内国家安全保障局長の交渉に、あるキーマンを同行させたのです。秋葉剛男国際法局長、小泉政権の安倍官房長官、麻生外務大臣時代に、中国課長に抜擢された秋葉氏は、「NOといえる外交官」として中国側と対峙した経歴を持つ人物です。谷内・秋葉の二枚看板で交渉に臨んだ結果、首脳会談に先立って発表された「合意文書」では、歴史問題や靖国、尖閣などで中国側の要求は明文化されませんでした。

 「これから緊密な対話を続けていこうと、対話のチャネルを確立することが主たる目的」(国家安全保障局 谷内正太郎局長)

 中国国内の世論の反応を気にしているという習近平指導部。日本政府関係者によると、首脳会談の実現を「日本の外交上の勝利」と宣伝しないよう、申し入れてきたということです。(10日16:59)

2014年11月10日(月)のニュース一覧

社会

政治

経済

国際

スポーツ

列島トピックス