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はっけんの水曜日 2014年11月12日
 

利根川に遡上するサケを見る「利根大堰サケ遡上・採卵観察会」

埼玉でサケのイベントが見れるとは。
埼玉でサケのイベントが見れるとは。
前回、サケの遡上を見るために本場北海道を巡った。しかし、関東にもサケの遡上が観察できるいいスポットがあった。自然回帰の南限と呼ばれる利根川である。なんとサケの卵を採る作業を観察できるイベントも開かれるという。これは行田まで遡上するしかない!
伊藤健史 伊藤健史(いとうけんじ)
1975年神奈川県生まれ。普段は会社勤めをして生計をたてている。 有毒生物や街歩きが好き。つまり商店街とかが有毒生物で埋め尽くされれば一番ユートピア度が高いのではないだろうか。 最近バレンチノ収集を始めました。
> 個人サイト バレンチノ・エスノグラフィー

あいにくの曇りだがサケは上ってくる

11月8日土曜日、曇天の埼玉県。JR熊谷駅から秩父鉄道で羽生方面に2駅行くと行田市駅に着く。
B級グルメと城が推し。「フライ」って気になるな。
B級グルメと城が推し。「フライ」って気になるな。
いい感じの駅舎!
いい感じの駅舎!
駅から市内巡回バスで30分程揺られると目的地はすぐそこ、だったのだが電車を間違えバスの時間に間に合わず、私はタクシーに乗っていた。

「利根大堰(とねおおぜき)までお願いします」
「お、何かあるんですか」
「利根川のサケから卵を採るイベントがあるんですよ」
「へえ〜泳いでるサケを?サケなんているんですか。」

忍城などの観光名所にくらべると認知度はいまひとつのようだ。
どーんとそびえる利根大堰の橋脚部分に会場が。
どーんとそびえる利根大堰の橋脚部分に会場が。
利根大堰「サケ遡上・採卵観察会」
独立行政法人水資源機構 利根導水総合事業所の主催で、産卵のためにこの利根大堰の魚道を遡上してゆくサケの生態解説や採卵作業の実演を行うイベントである。遡上するのは北海道だけではない事は百も承知だったが、利根川にも帰ってきていたのかサケよ。
かわいい告知看板
かわいい告知看板

利根水導の仕組みとサケの航続距離に興奮

広報を担当している坂上さんにご案内いただきイベント開始前に施設をざっと見学する。
それにしてもいつもリュックが開いている。
それにしてもいつもリュックが開いている。
――この利根大堰は結構古くからあるんですよね。
「東京砂漠っていう言葉を聞いた事はありますか?」

――ああ、あなたがいればうつむかないで歩いていけるやつですね。
「いや、そっちの情緒的なほうの東京砂漠ではなくて実際の渇水の事です」
12門のゲートと3本の魚道を装備。
12門のゲートと3本の魚道を装備。
昭和38年、高度経済成長期の首都圏では急激に水需要が増加、翌39年には「東京オリンピック渇水(東京砂漠)」とも呼ばれた未曾有の水不足に見舞われた。これを解消するために着手された利根導水事業の一環として河口から154kmの中流域に利根大堰が建設され、昭和43年に完成。

上流のダムが作り出した用水を安定して取水出来るように水位をコントロールしている。
館内パネルより。取水口から取り出された水は様々な水路施設によって東京都、埼玉県、群馬県に農業・水道・工業・浄化用水を供給している。
館内パネルより。取水口から取り出された水は様々な水路施設によって東京都、埼玉県、群馬県に農業・水道・工業・浄化用水を供給している。
帰りに立ち寄った用水路の眺め。ダイナミック。
帰りに立ち寄った用水路の眺め。ダイナミック。
なかでもあんたがこわい。
なかでもあんたがこわい。
魚が遡上できるように3本の魚道も作られ、平成7年に現在のアイスハーバー式と呼ばれる魚道に改造されている。
コの字型の水たまりを作る事によって魚が休憩できるような仕組み。
コの字型の水たまりを作る事によって魚が休憩できるような仕組み。
おーいるいる。
おーいるいる。
そしてサケジャンプ!
そしてサケジャンプ!
「イベント期間は特別な許可を得てかえしを設け、一時的に遡上を食い止めて魚道に滞留させています」
銀色の柵のようなものが「かえし」
銀色の柵のようなものが「かえし」
今は採卵用のサケを捕るために塞いでいるが、通常はこの魚道を越えてさらに50km以上上流まで遡上し、産卵するという。河口から200km以上も飲まず食わずでのぼるのか。

小学生の時、サッカーの試合で負けてグランド100周走らされた事があった。距離にして約20km、その10倍か!いや、むしろ夏の合宿で炎天下の中、応援に来た父兄にカッスカッスのメロンパンを「ほら、これ食べて元気だせ!」と与えられた時のほうがメンタル的にはこたえたな。

いずれも利根川をのぼるサケの艱難辛苦に比べれば児戯に等しい。いや児戯なんだが。
魚道の脇には地下にもぐる観察室があり、遡上するサケやその他の魚が身近に観察できる。
魚道の脇には地下にもぐる観察室があり、遡上するサケやその他の魚が身近に観察できる。
サケの迫力にかぶりつき。
サケの迫力にかぶりつき。
男の子が「お父さん、サケ捕まえようぜー」とサケ狩りを提案したがすぐに「そんな事したら逆にお前が捕まるからな」とうまい切り返しで却下されていた。年間を通じて利根川ではサケの漁、釣りは禁止されているのだ。


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