笠井哲也
2014年11月12日10時15分
読書の秋。最近、書店に立ち寄ると、透明な袋に包まれた「ラッピング本」をよく見かけます。漫画の立ち読み防止で始まりましたが、いろんな役割が加わっています。
大阪市北区のジュンク堂書店大阪本店。女性ファッション誌を、店員が付録のバッグと一緒に透明の袋状フィルムに入れていく。本の形に合わせて口を折り、セロハンテープで留める。最後にカッターで空気を逃す小さな穴を開け、ラッピング完了だ。
入荷がない休日を除き、従業員は毎日、本を包む。発売が多い月初と月末は、大忙しだ。自動包装機もあるが、包めるサイズが限られるため、手作業も多い。1人で1日30~40冊、作業は1時間におよぶこともある。小笠原準店長は「時間と手間は掛かりますね」と漏らす。
店では15年ほど前、主に漫画の立ち読みを防ごうとラッピングを始めた。それが最近は、雑誌や写真集、若い人向けの娯楽小説「ライトノベル」にも広がっている。本自体だけでなく、買い方や消費者の気持ちも変わったからだ。
例えば女性誌。ここ数年でポーチや美容グッズといった大きな付録がつくことが増えた。韓国で流行したものが日本にも伝わったともされ、付録が本の売れ行きを左右するケースもある。ただ、書店には雑誌と付録が別々に届くことが多い。一緒に包むことで付録の落下や、付録だけの盗難を防ぎやすい。だから、手間をかけても書店側はラッピングを担う。
また、通販大手「アマゾン」など、本のネット販売が好調なことも影響した。ネット販売で買えば、きれいな状態の本が届く。書店にも「『ほかの人が触っていない本が欲しい』という声が多く寄せられるようになりました」(小笠原店長)という。
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