【ドバイ=久門武史】イランとロシアは11日、イランの原発にロシア製原子炉8基を建設することで合意した。このうち、南部ブシェール原発に建設する2基は同日、契約書に調印した。
ロシア国営原子力企業ロスアトムの発表によると、ブシェール原発で4基、ほかに4基の原子炉を建設する。原子炉の燃料はロシアが供給し、使用済み核燃料を再処理する。双方はイランでの核燃料棒の材料生産を検討することも確認した。
イランの核開発を巡っては、米英ロなど6カ国とイランが24日までの最終合意を目指し協議を重ねている。焦点のウラン濃縮についてイランは発電など平和利用目的だと主張するが、米欧は核兵器への転用を懸念。核開発計画の縮小をイランに求めている。
核問題で米欧の経済制裁を受けるイランは石油・天然ガス依存からの脱却を急いでおり、将来は原発を20基まで増やす計画だ。核協議の合意期限の直前にロシアが結んだ合意は、米国主導でイランと駆け引きを演じる6カ国側の足並みを乱す可能性もある。
一方、ロシアはウクライナ情勢を巡り米欧と激しく対立。米欧が経済制裁で締め付けを強めるなか、イラン産原油を購入しロシア製品を輸出する基本合意を8月に結ぶなど、イランに接近する構えを示していた。
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