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[FT]ロシアは「イスラム国」よりも厄介だ

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2014/11/11 14:30
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 先週末、米国はイラクへの兵員増派を発表した。ロシアはウクライナに部隊を追加派遣したとされる。そして、オバマ米大統領は北京に向け旅立った。

 ワシントンの政策立案者に対し、米国は世界のどの部分を最優先すべきと考えているのかと尋ねると、まず返ってくるのが「ガムをかみながら歩ける(という環境)」といった類いの回答だ。

軍幹部らと会合するプーチン大統領(右から2番目)。ロシア政府は軍備強化と最新武器の投入を続けると述べた(10月31日、モスクワ)=AP
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軍幹部らと会合するプーチン大統領(右から2番目)。ロシア政府は軍備強化と最新武器の投入を続けると述べた(10月31日、モスクワ)=AP

 2つの差し迫った危機のうち、中東の方がウクライナよりも緊急性の高い課題だというのがワシントンでの大方の認識のようだ。

 中東を優先する根拠は3つある。第1に現実の戦争状態で、米国は日々の爆撃に参加している。第2に、市民を被害から守ることが国家安全保障だとすれば、米国民はロシアよりもジハーディスト(イスラムの聖戦主義者)によるテロの方を差し迫った脅威だとみなしている。第3に米国民は、中東で地域全体の秩序が崩壊しており、回復には数十年かかるかもしれないと考えている。だが、欧州の秩序は端のあたりがほつれているだけだ。

 米国がロシアの動きに気をとられれば、重大な局面でイラクとシリアに目が届かなくなるという懸念さえある。

 だが、プーチン氏のロシアが最も不安だとみなす人にとっては、中東こそが注意をそらす危険となる。この「ロシア最優先派」は、ワシントンよりもワルシャワやベルリンで大きな声をあげている。欧州で危険が強まっているのに、米国は「対テロ戦争」や中東の紛争に引き戻されていると憂慮している。

■ささやかれる最悪のシナリオ

 この分析によれば、米国はまだロシアが突きつける過激主義に気づいていない。クリミア編入やウクライナ東部への侵攻はほんの手始めにすぎないという恐れが背景にある。ロシアは今後、ウクライナのほかの地域やバルト諸国も脅威にさらす可能性が高い。米国がウクライナに関する軍事行動を控えてきたことで、ワシントンでは危機の緊急性は低下したと受け止められたが、存外に危険は高まったのである。欧州のあるベテラン外交官は「プーチン氏は、私たちが予想しない段階まで事態をエスカレートさせることを、いつでもできると考えている」と指摘する。

 水面下で論じられている最悪のシナリオには、ロシアによる戦術核兵器の使用も含まれる。これが実現すれば、ここ数十年では最大の国際安全保障の危機が生じる。イラクにおいて(湾岸戦争から数えて)25年に及ぶ戦乱の新たな局面が始まるよりもはるかに重大で、危険といえる。

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