【インタビュー】高原直泰、実直な情熱「SC相模原が最後のクラブだと思っている」
写真=小林浩一、Getty Images インタビュー・文=小谷紘友
日本での眩い実績は、もはや言うまでもない。アルゼンチンの熱情に身を投じ、ドイツの大男達と対峙し、韓国での挑戦を経た彼の新天地は、今季新設されたJ3だった。
3月の開幕後、電撃加入を果たした先は、SC相模原。創立7年目の若きチームで、何ものにも代え難い経験を引っ提げ、高原直泰は新たな戦いに挑んでいる。
昔の自分を知る人にとって、今の自分はあり得ない
――現在(第31節終了時点)まで21試合に出場して5ゴールを挙げていますが、手応えはいかがですか?
「個人としては、はっきり言えばそんなにないですね。常に結果にこだわって生きてきたので、自分のプレーがどうこうというより、結果が伴っていないという意味で、全然良くないですね。クラブとしても似たような感じ(第31節終了時点で6位)で、まだ足りない部分が多い。試合結果でも、それ以外でも改善しないといけない部分がたくさんあると思います。全てがすぐに上手くいくわけではなく、自身のプレーもチームとしても色んなことにチャレンジして、そこから上手くいくこともありますし、修正しないといけないところもあります。それはやってみないとわからないことで、学ぶことでより良くしていければという感じですね」
――創立7年目のクラブということで、一から作り始めている楽しさはありますか?
「クラブとしてはあると思います。どうやれば相模原や周囲の人々が、試合に足を運んでくれるのかを考えたり。選手としては、来てくれたお客さんにある程度満足してもらい、また試合を見に行こうという気持ちにさせないといけない。これまで所属したクラブはある程度基盤が出来上がっていたので、あまりそういうことを心配しなくても良かった。相模原はこれから作り上げていく段階で、今まで自分がやってきた環境とは全然違う。そういう意味でのやりがいはありますね」
――ネームバリューと実績から、高原選手が町中にいると声を掛けられることも多いと思います。
「たまにその辺をウロウロしていますから、結構ありますよ(笑)。普通に『あれ、高原さん?』と声をかけられて、『ああ、どうも』みたいな感じですね。そこから、『どうしているんですか?』となったりするので、『今はSC相模原というクラブでやらせてもらっているので、もし良かったら足を運んで見に来てくださいね』という話をしたりします。だからこそ、クラブには自分を上手く使って欲しいですね。自分もメリットを感じて加入し、プレーしているので、クラブにも上手く使える時は使って欲しい。SC相模原というクラブを、相模原市民をはじめ、より沢山の人々に知ってもらうためなど、好きなようにどんどん使って欲しいですね」
――今年発足したJ3というカテゴリーで、想像と違った点や想像通りだった点はありますか?
「両方ありますね。中には技術的な部分だけで言えば、もっと上のカテゴリーに在籍できる選手もいます。ただ、全てで良いものを持っているならば、実際に上のカテゴリーでプレーしていると思うので、やはり何か足りないんだと思います」
――足りないところは、具体的にはどういう部分でしょうか?
「基本的に良いなと思う選手は、ボールをしっかり持てて、上手いんですよ。ただ、判断やボールを奪われた後の切り替えが遅いですね。上のカテゴリーとの差は、そういう細かい部分をほぼ無意識でできるかどうか。これは一つの例ですけれど、細かい部分の意識が足りないと、上に行けば行くほど逆に目立ちます。その部分を当たり前にやる選手達が上のカテゴリーにいて、その中で技術的に秀でている選手が更に上に行くと思います」
――そういう気付いた点をアドバイスしたりもするのでしょうか? 自分で気付かないとわからないという考え方もあると思います。
「もう少しこうした方が良いのでは、ということは言いますね。それは、以前に在籍した東京ヴェルディや清水エスパルスのときもそうでした。若い選手と一緒にプレーすることが増えたので、今までの経験上、気になった時はなるべくアドバイスしようとしています。ただ、言われたことを全て聞く必要はないと思います。聞く耳を持って、その中から生かせるものを意識してやってもらい、自分なりに上手くこなすことに少しでも役立てばいいかなと。自分自身、自ら聞くことはなかったですが、ジュビロ磐田の時は周りがほぼ代表選手だったことで一緒にやるだけでも上手くなりましたが、その中でもちょっとアドバイスしてもらったことを自分なりに解釈していました。人の意見や話をまずしっかりと聞いてみる。最初から『俺はそうじゃないです』ということではなく、相手も自分のことを思って言ってくれるわけですから。相手の言っていることをまず真剣に聞いて、それから自分なりにやっていこうと。色々考えながらやることは、大事だと思いますね」
――過去に自身が受けたアドバイスや気づいた点で、今でも残っていることはありますか?
「やはり、中山(雅史)さんと一緒にやらせてもらったことですね。一緒にプレーさせてもらう中で見て感じた部分ですが、ボールのない時の動き出しはすごく勉強になりました。ただ、アドバイスを受けるというよりは、自分がミスすることで学ぶこともありました。ミスをして色々言われると、ミスをしたという自覚を持ちますよね。同じようなミスを繰り返していたら試合には出られないでしょうし、ジュビロでは周りが上手かったので単純なミスは練習中からほとんどありませんでした。だから、簡単なミスをするとすごく目立ってしまいます。そういう緊張感が練習からある中でやらせてもらっていたので、非常に助かりました。今はチーム全体のレベルもあって、そういう緊張感を出そうと思っても、なかなかできないんですよね。どうやったら上手く伝えられるかなと。選手という立場でどれくらい力になれるかはわからないですけど、やれる範囲でアドバイスをしているつもりです」
――以前からそういう考えは、持っていたのでしょうか?
「(2011年に)エスパルスに移籍した頃からだと思います。今までの自分の考え方やスタンスだけではちょっとダメかなと。自分自身でも変わらないといけないということだったと思います。自分自身のサッカー観はそんなに変わっていないと思いますが、対応は劇的に変わりましたね。それまでは『俺は俺』という感じで、他の選手にも言わなくても感じて欲しいと思っていましたが、それではやはり伝わらないなと。もちろん、伝わる選手には伝わりますが、より分かりやすく教えてあげるには、気付いたところを普通に伝えてあげることが一番いいと思いました。やはり、伝えたことで選手達が意識して、少しでも成長や役に立てばいいですからね」
――劇的だったのですね。
「そうですね。だから、昔の自分を知る人にとって、今の自分はあり得ないと思いますよ(笑)。簡単に言えば、丸くなったということですね」
2014 明治安田生命J3リーグ 第32節 SC相模原VS ブラウブリッツ秋田
11/16(日)13:00KICKOFF 会場:相模原ギオンスタジアム
ホームラストゲーム!ホームタウンである相模原市に感謝を込めて、相模原市内の小中学生は無料招待!!
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SC相模原 第1回トップチームセレクション開催決定!
2015シーズントップチーム強化を図るため、トップチームセレクションを開催!!
12/5(金)10:00~ 会場:ノジマフットボールパーク(人工芝) 【応募締切】11月30日(日)