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2014年10月22日 クライング・チェインマン

toshi202014-10-22

[][]「泣く男」 「泣く男」を含むブックマーク 「泣く男」のブックマークコメント

原題:우는 남자

監督・イ・ジョンボム



「もう これで 終わってもいい。だから ありったけを」(ゴン・フリークス「HUNTER×HUNTER」より)



 アメリカでいつも通り仕事を片付けたはずが、うっかり標的の男の娘を誤射して死なせてしまった天涯孤独の殺し屋・チャン・ドンゴン(役名:ゴンさん)が、韓国でのお仕事中にヤケクソになって大暴れ。いろんな人(大体悪人)の運命を翻弄していくコリアン・アクション。


アジョシ スペシャル・エディション(2枚組) [Blu-ray]

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 イ・ジョンボム監督の前作「アジョシ」も少女がきっかけで物語が動き出していた。女の子が誘拐され、おとなりに住む元・特殊部隊のおじさん(アジョシ)が大暴れして救い出そうとして、麻薬売買とか臓器売買とかして暮らしてる悪人達が酷い目に遭うというのが前作の話だったんですが、本作では少女が冒頭でいきなり死ぬ上にうっかり誤射したのが主人公という罪深さ。殺し屋だから気にしないかと思いきや泥酔して引きこもり、依頼人のマフィアたちに引っ張り出されるというなかなか人間らしい殺し屋なんですが、ま、子供はともかく、単純に大人の男はどうでもいいので大体容赦ないです。ついには彼を抱えるボスにまで「アナタをコロシマス!アナタガキライダカラ!シヌホド、キライダカラー!」*1と宣戦布告する始末です。

 で、ゴンさんがやけくそになってるとはつゆ知らぬ韓国のヤクザさんは、彼に韓国で仕事してもらおうと依頼を出すわけですが、標的は、なんとうっかり殺してしまった娘さんの母親なんですね。で、お母さんは韓国でエリートキャリアウーマンとしてバリバリ働いてる方なんですが、母親の介護のために娘と離れて暮らしていることを後悔していた上に、娘がアメリカで殺されてしまったので(注:犯人はゴンさん)、まあ、思い出のビデオを見ては泣き崩れたりしてるわけです。

 何度か母親を殺そうと接触していくチャン・ドンゴンは娘さんが生きていた頃の部屋やら、元気に動き回るビデオを見てしまい、母親は結構苦労人で大変だったりして、自分の罪深さをいやがおうにも突きつけられた彼は、ついに彼女を救うために銃を取るわけです。愁嘆場はほぼここまで。あとはひたすらゴンさんと敵の命の取り合いです。


 で、当然反旗を翻したゴンさんを韓国ヤクザが許すはずもない上に、暗殺宣言された彼の雇い主のボスがゴンさんを始末するために、生え抜きの精鋭殺し屋軍団を韓国に上陸させます。

 チャン・ドンゴンは韓国国外で鍛え抜かれた殺し屋な上に失うものは何もないモンスターなのですが、彼が銃を向けている相手もかつては同じ釜の飯を食ったライバルやらが率いるモンスター集団が介入してきたり、警察にヤクザに通じている裏切り者がいたり、かなり大変です。アジョシはちょっと敵の方が可哀想なくらい力の差がありましたが、今回はチャン・ドンゴンさんははっきり言って人数的にも火力的にも完全に孤立無援で、「うわーどうすんのこれ」というくらい、ムチャクチャ大ピンチなのであります。



 一般人の住んでいるはずの団地での銃撃戦ははっきり言って戦争かよ!っていうくらいのどえらい銃撃戦。刃物は使う、拳銃は使う、ガトリングガンは連射しまくり、手榴弾はガンガン爆発する。スナイパーまで現れる始末で、か弱い女性と1人の殺し屋相手にオーバーキルな火力で攻めてくる殺し屋軍団との息詰まる死闘ははっきり言って笑っちゃうほどですさまじいです。

 そして、クライマックスは超高層ビルでの大決戦。こちらもチャン・ドンゴンと殺し屋軍団が大暴れ。はっきり言ってどうかしてます。


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 そんなチャン・ドンゴンをわざわざ韓国に呼び寄せてしまったヤクザさん(キム・ヒウォン)と彼の背後にいる黒幕さんの、なんとも憐憫を誘う顛末にも注目です。国内でのし上がるために汚い手を使いながらも横暴なパトロン相手にも耐えて頑張ってきたヤクザさんが、チャン・ドンゴンが自分のうっかりミスが理由で大荒れになってるせいで、長年積み上げてきたすべてが台無し。彼もまた、やけくそになっていく姿はハッキリ言って哀れを誘います。

 なんか、「ミスターGO!」でも悪人になりきれない金貸しを演じてるキム・ヒウォンさんは「アジョシ」でも組織のヤクザ兄弟の兄を演じてましたが、どんなに非道な悪人を演じても愛嬌が抜けきらずどこか哀感が漂うところがいいですね。スキです。


 で。題名が「泣く男」なんですが、チャン・ドンゴン本編中、あんまり泣きません。ではどこで泣くのか。というのを気にしながら見ると「え?そんなとこで?」って思うようなところで泣いてたりするので、「泣く」という「感情」をどこで取り戻したのかを考えながら見るとまた味わい深いところでしょう。

 彼が最後に見せる決断はまさに、身を捨てても守りたいというゴンさんの覚悟が垣間見えてぐっとくる。そんな怒濤のアクション映画になってると思います。(★★★★)

*1 D

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