【ニューヨーク=河内真帆】米ネット通販最大手アマゾン・ドット・コムが、生鮮食品の宅配サービスに本格参入する。50万品目の生鮮食品や冷凍食品などを宅配するサービス「アマゾンフレッシュ」を、西海岸に続きニューヨーク市の一部でも始めた。本や雑貨の宅配で培ったブランド力を背景に、人口密度の高い東海岸で攻勢をかける。
アマゾンが生鮮食品の宅配サービスを始めたのは、ニューヨーク市のブルックリン地区の一部。注文を受けた当日または翌日に宅配する。現在は年会費99ドル(1万円強)のプライム会員向けに試験的に実施しているが、来年からは年会費299ドルの「プライム・フレッシュ会員」として提供する。35ドル以上注文すれば、配送手数料は無料。
同社では今後、段階的にブルックリン地区の全域にサービスを拡大する方針。隣接のニュージャージー州などアマゾンが既に運営する物流センターから配送する。アマゾンは2007年に本社のあるワシントン州シアトルで類似のサービスを開始し、現在はカリフォルニア州南北の大都市に配送網を広げている。
ニューヨーク市では1999年創業の生鮮食品宅配サービス「フレッシュディレクト」が市全域およびニュージャージー、コネティカット、ペンシルベニア、デラウェアなど近隣州に配送網を築いている。フレッシュディレクトは即日宅配はしていない。
生鮮食料品のオンライン注文宅配サービスは、6千億ドルのネット通販市場の1%にすぎないとされる。新鮮な食料品を多数そろえる点に難しさがあるほか、商品の単価が相対的に安いため利用者にとって年会費が割高に映るといった問題点がある。アマゾンの新サービスが需要開拓につながるか注目される。
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