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help RSS 第219回 基礎代謝とはこういうものなんですよ!

<<   作成日時 : 2012/03/14 16:07   >>

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基礎代謝量が上がると痩せる!
こんな馬鹿げた事を言う人が大勢いらっしゃる。
基礎代謝量が相関するのは体表面積ですから、体が大きくなれば基礎代謝量は高くなるのです。
つまり、食べなければ(=痩せれば)低くなるし、食べれば(=太れば)高くなるものなのです。

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それでは、基礎代謝量とはどんなものなのか、もっと詳しく説明しましょう。

◆ 20歳を超えると、基礎代謝量は10年ごとに約2%低下します。

◆ 体重が増えると基礎代謝量は増加します。

◆ 肥満者は痩せている人より基礎代謝量は高い。

◆ 体重が同じであれば、背の高い人の方が基礎代謝量は高い。

◆ 基礎代謝量は体表面積(身長x体重)で算出される:故に、同体重の背の高い人と背の低い人が全く同じ食生活をすると、その結果は、背の高い人が体重維持であれば、背の低い人は太っています。

◆女性より男性の方が基礎代謝量は高い。

◆ 身長と体重が全く同じであれば、有意的な数字であるかどうかは別として、体脂肪率の低い人の方が基礎代謝量は高い。

◆ 絶食、或いは過激な食事制限を行うと、基礎代謝量は20〜30%低下します。

◆ 基礎代謝量の約60〜70%は体温保持に必要な熱量で、残りが心肺活動や肝臓の循環器系活動、筋活動と内分泌系の神経活動です。

◆ 体温が0.5度上がると基礎代謝量は7%高くなります・・・基礎代謝量1200kcalの女性のケースでは84kcalに相当します。ちなみに、体温が安静時に平熱より1℃以上あがることを発熱と言い、これは病気や疾患の症状の一つです。病気が原因で、平熱38℃の人が42℃の高熱が出ると、基礎代謝量は50%高まります。

ダイエット中に冷たい水を飲むと、カラダが体温を保とうとして代謝が上がり、脂肪が燃焼されやすくなると云う人たちがいます。あなたもそのように考えているなら、第105回の「冷水を飲むと脂肪燃焼の効果が高まる!?」を読んで目を覚ましてください。

女性の低体温には、甲状腺ホルモン、カテコールアミン、黄体ホルモンなどの各種ホルモンが影響することが判っています。
更に、女性の肥満の原因の一つとして「冷え性」が上げられていますが、「一般的には、コアボディの体温と肥満は関係ない」ことが科学的に検証されています(American Society for Nutrition 2011年2月)・・・面白いことにその研究で、男性より女性のコアボディの体温が高いことも分かりました。

「第2回の筋肉を付けて基礎代謝アップという話は間違い!」 も参考になると思うので、目を通して下さい。

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ついでながら:
男性では腹周り、女性の場合は大腿部やヒップの脂肪は、なかなか落ちてくれません。
この原因を基礎代謝と考える人たちがいらっしゃる。
これを食事制限だけで解決しようとする人たちがいらっしゃる。
さらには骨盤矯正を奨める人まで未だに絶えません。
いずれも間違いです!

肥満で脂肪細胞が膨らむと、インスリンの働きを向上させるアディポネクチンが出なくなり、その一方でインスリンの働きを悪くするTNA−αや遊離脂肪酸が分泌され、その結果インスリン抵抗性を惹き起こします。骨格筋の血流の減少やストレスなどもインスリン抵抗性の要因です。インスリン感受性を高めるには、有酸素運動や筋トレによる運動刺激が効果的です。

エストロゲン・ドミナンスも脂肪減少に大きく関与します。
脂肪酸はアルブミンと結合して血中搬送されますが、腹周りや大腿部などの部位では、血流や代謝が悪くなっており、頑固な体脂肪となって取れ難くなっています。これにはエストロゲンの悪作用も原因しています。更に、中年過ぎの酒飲みの肥満男性に見られるように、肝臓で代謝されるべきエストロゲンが代謝されず男性の女性化乳房の原因にもなります。

そのほかの各種ホルモンや酵素/キナーゼ (AMPK)/脱共役たんぱく質etcの作用やウェイトトレーニングの大切さにも触れたいのですが、ここでは脂肪減少について語ることが主目的ではないので、この程度で止めておき追々お話します。

扨て、“基礎代謝量” と “安静時代謝量”は、混同して使われることが多いですが、学術的には異なるものです。次に、両者の違いや、その他の関連語について説明します。

基礎代謝量(Basal Metabolic Rate=BMR)
基礎代謝とは、体を横たえて全く体を動かしていなくても、呼吸をする、心臓を動かす、体温を保つなど、様々な生命活動のために、常に使っているエネルギーです。
言い換えると、「生きていくために最低限必要な最小のエネルギー」のことです。
BMRは、室温20〜25℃という快適な環境下で、空腹時に安静仰臥位の状態で測定したエネルギー量、つまり、前日の夕食から12時間以上絶食した空腹状態の目が覚めた状態で仰向けの姿勢でのエネルギー量です。人体の総消費エネルギーの50〜60%がBMRです。

ネット上のダイエット関連サイトなどでは、性別・年齢に加えて、自分の身長や体重などを入力すると、BMRを自動計算してくれる便利なものもあります。BMRまで出してくれる体組成測定器も発売され、家庭で手軽に計測できるようになりました。更に、代表的な計算式として、ハリスベネディクト式があります。これらはBMRが体の表面積に近似的に比例することを応用したものです。

しかし、厳密に言うと、BMRは性別、年齢、身長、体重だけでなく、筋肉や脂肪などの体組成、職業、スポーツ運動量、甲状腺ホルモンなどの各種ホルモン、食事の摂取量、栄養状態、遺伝子、体温など色々な要因によって決定されるので、上に書いたよう方式で得られるBMRの数値は、決して正確なものではありません。より正確な数値を求めようとするなら、マスク等の器具を装着し、個々に測定した結果から推定する方法や、「24時間代謝測定室」や「二重標識水」がありますが、簡単に出来るものではありません。従って、体脂肪率のテーマと同様に、我々が簡便に計測(または算出)できるBMRは、大まかな参考値に過ぎないと言っても過言ではないでしょう。

安静時代謝量(RMR=Resting Metabolic Rate)
REE=Resting Energy Expenditureとも云います。
食事誘発性体熱産生(DIT)を含みます。
安静な状態で椅子に座っている状態のエネルギー量です。
安静時代謝量=基礎代謝量x1.2倍(DITが発生しない早朝空腹時では約1.1倍)です。
起床後の活動や食事などの影響によって多少変動します。
基礎代謝は微妙な条件の違いによって変動し、正確に測定することが難しいため、研究では安静時代謝量の方が好んで用いられる傾向が見られます。

睡眠時代謝量(SMR=Sleeping Metabolic Rate)
SEE=Sleeping Energy Expenditureとも云います。
睡眠時のエネルギー量で、基礎代謝量とほぼ同じ値です。

NEAT(Nonexercise activity thermogenesis)・・・非運動性活動熱発生
エクササイズ量を除く生活活動量のことです。
NEATのコンセプトは、米国のDr James Levineにより定義付けられました。
生活活動とは、姿勢の維持、掃除や洗濯などの家事、雪かき、通学、通勤などの日常生活上の活動を意味します。
英国で生まれたニートという言葉(NEET=Not in Employment Education or Training):就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人とは違いますよ!(^.^)  

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食事誘導性体熱産生(DIT)
食事をすると、消化などのために内臓が活発に活動します。このような理由で消費するエネルギーが食事誘導性熱産生です。
1日に消費するエネルギーの割合は、基礎代謝が7割、生活活動代謝が2割、食事誘導性熱産生は1割と言われています。食事をしているときに汗が出ることがあるのは、このDITによるものです。ちなみに、辛い食べ物の方がDITは高くなると言われています・・・だからと云って、ダイエットでトウガラシばかりたっぷり食べるのは偏食(変食)です。
亦、食事を小分けにして回数を増やすとDITが多くなり、ダイエット効果が高まるという話がありますが、これはでたらめです。何故なら、DITは食事の量と内容に関係し、回数との関連性はありません。

総エネルギー消費量(TEE=Total Energy Expenditure)
読んで字の如く1日の総エネルギー消費量のことで、基礎代謝量+食事誘発性体熱産生(DIT)+身体活動(生活活動+運動)を指します










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