(英エコノミスト誌 2014年11月8日号)
台湾、日本、韓国は中国本土で膨大な数の中国人を雇っている。
中国は奇妙なことに、東アジアの隣人とうまく付き合うのに苦労する国だ。強硬な領有権の主張やその他の高圧的な態度で多くの近隣国の感情を逆なでする。
だが、政治的な緊張は、東アジア地域の緊密な経済関係、特に、驚くほど多くの中国人が本土で東アジア企業に雇われているという事実を見えにくくしている。
直近の集計では、8万8000社に上る台湾企業が1560万人の中国人労働者を雇っていた。およそ1100万人が2万3000社の日本企業やそのサプライヤー企業に雇われている。
ここに韓国企業で働く200万人を加えると、問題を抱えた東シナ海周辺の企業は、3000万人に迫る中国人を雇っていることになる。
出稼ぎ労働者の重要な働き口
こうした中国人の大半は、もちろん、工場で働いている。一部の企業の労働条件は批判を浴びるようになった。最も有名な例が、アップルやその他ハイテク企業のために商品を生産する台湾の鴻海精密工業(通称フォックスコン)だ。同社は中国最大の外国雇用主でもあり、100万人という驚異的な数の中国人労働者を抱えている。
独立した労働組合に友好的だったためしのない中国当局だが、時折、日本の自動車メーカーを含む外国資本の工場でのストや労働争議を容認してきた。時として、これは中国での事業展開を若干リスキーなものに見せる。中国で反日感情が燃え上がった時には、複雑に入り組んだ地域のサプライチェーンが突如脆く見える。
だが、中国は外国企業のこうした雇用が必要なことを知っている。こうした仕事の大多数は中国の地方から出てきた出稼ぎ労働者が担っている。2012年には、およそ1億6300万人が出身地域の外で働いていた。政府は普段から、落ち着きのないこの集団が失業したら何が起きるか心配している。