お笑いコンビ、平成ノブシコブシの徳井健太がハイレゾに挑戦!!
T.K.resolution〜ゼロから学ぶハイレゾのこと〜【第1回】ハイレゾって何だ!?
徳井健太 (平成ノブシコブシ) |
「ハイレゾ」っていう言葉、最近よく耳にするけど何だかよくわからない。なんかいい音のことだよね…。っていう人、多いんじゃないでしょうか? そんな人のための企画が始まりました〜。主人公はお笑いコンビ・平成ノブシコブシの徳井健太。意外とも思われるこのキャスティングですが、お笑いと肩をならべるほど音楽(最近はアイドル寄り)をこよなく愛する彼が、"いい音"にまつわる疑問に真っ向からぶつかります。目指せ、ハイレゾ芸人!! 彼を音の世界に導くのは、OTOTOYのプロデューサーでありレコーディング・エンジニアでもある高橋健太郎。これを読めばあなたも今日からハイレゾについて語れちゃう!?
エピソード・ゼロ (text by 徳井健太)
家に着くとまず音楽をかけるタイプの人。寝る時になると、音楽を流しておきたいタイプの人。嫌な時や辛い時は、とにかく音楽を聴きたいタイプの人。
それは俺だ、全部俺。
無人島に持っていける何か一つを選ぶとしたら音楽だ。もしもお笑い以外でやりたい仕事はと聞かれれば音楽家だ。音楽抜きの生活、一生などは到底考えられない。
僕の人生は、音楽と共にと言ってもいいくらいだ。そんな"音"様が、日々進化をしているらしい。噂を聞きつけ渋谷をブラブラしていたら、とあるCDショップに行き着いた。そこの店員は見るからにハードコアで機嫌も悪そうだった。けれどこちらにも時間が無限にあるわけではないので、不躾に聞いてみた。
「いい音ってのは、何処にありますかね?」
するとハードコアは無表情にこう言った、
「おととい来やがれ!」
急に。確かにこちらも礼儀を欠く態度だったのは認めるが、それでもいくらなんでもキレるのが早過ぎる。
ついつい怒りと悲しみに俯き、ハードコアを睨んでいると、
「違う違う、何か勘違いしているみてぇだな?」
ハードコアは微かに笑みを浮かべ、僕に喋りかけてきた。
「だって今、おととい来やがれ!って言ったろ。」
「ハッハッハッ、なるほどなるほど!」
ハードコアは遂に破顔した。先祖は海賊王に違いない、樽の酒から生まれてきたのはこいつか。
「俺が言ったのは、おととい来やがれ! じゃない。オトトイに行きやがれ! だ。」
「オトトイ? 」
「そう、OTOTOYだ。」
と言うわけで、徳井のいい音探しの旅は幕を開ける。
ゼロから学ぶハイレゾのこと
高橋健太郎と徳井健太 |
ハイレゾ=高解像度??
高橋健太郎(以下、高橋) : 今日はハイレゾとは何かというのを徳井さんに説明していこうと思うんですが、ハイレゾっていう言葉はいつ聞きました?
徳井健太(以下、徳井) : 2、3ヶ月前ぐらいですね。
高橋 : 世の中的によく見かけるようになったのが、だいたいそれくらいですね。最近はTwitterを見ても「ハイレゾって何?」とか、「ハイレグと何が違うの?」みたいな、毎日1人はそんなことをつぶやいてるのを見かけます(笑)。
徳井 : 機械が疎くて、そもそもパソコンがわからないんですよね。わかりたいんですけど。
高橋 : 音楽は普段どうやって聴いてるんですか?
徳井 : 音楽はパソコンに取り込んで、iPodで聴いたりとか。
高橋 : じゃあリッピングはしてるんですね。
徳井 : リッピングって… 何ですか?
高橋 : CDからパソコンに音楽のデータを取り込むことです。
徳井 : ああ、そうだそうだ(笑)。
高橋 : そこがわかっていれば今日は大丈夫ですよ。
徳井 : 本当ですか(笑)。
高橋 : じゃあCDを取り込むときに圧縮はされてます?
徳井 : 圧縮… ですか? どうしてるんだろ…。でもパソコンって音楽入れる以外に使ってないんですよ。パソコンが音楽の箱になっちゃってるというか。今はそれが容量一杯になっちゃって。どうしたらいいかわからなくなってる感じで。
高橋 : じゃあ外付けのハードディスクが必要ですね。
徳井 : そういう噂は聞いてます。
高橋 : ハイレゾはデータが普通のCDよりもものすごく大きいんです。というのも、ハイレゾはそもそも"高解像度"という意味で…
高橋 : 高解像度=Hi-Resolution=ハイレゾですね。これ、わりと映像っぽい言葉だと思いませんか? たとえばパソコンで画像を見るときに拡大していくと粗くなりますよね。逆に、ドットがたくさんあればあるほど滑らかに見えるじゃないですか。
徳井 : 何万画素みたいな?
高橋 : そうですそうです! それと同じで、たとえば640ピクセル×480ピクセルの画像が1280×960になるとグッときれいに見えるじゃないですか。ハイレゾも仕組みとしてはこれに近くて、ファイル・サイズが大きくなるぶんドットの数が増えるから、解像度が上がってきれいに聴こえると。
ハイレゾ=いい音なの?
徳井 : なるほど…。
高橋 : CDを基準に考えてみましょう。ちょっと技術的になりますけど、CDは16bit/44.1kHzっていうフォーマットで作られてるんですね。どういうことかっていうと、16bitっていうのは音量を65,536段階に分割、44.1kHzっていうのは1秒間を44,100回に分割して音を録音してますってことです。ちょっとこれはわかりにくいと思うんですけど…
高橋 : もともとの音の波形を縦軸(16bit)と横軸(44.1kHz)の網目で捉えて再現しているんです。当然、この網目が細かいほど、より解像度の高い音に近づいていきます。
徳井 : 16bitとか44.1kHzっていうのは、その網目の細かさのことだったんですね! 65,536段階と秒速44,100回って、CDでも十分すごいような気がします。
高橋 : そうなんです。でもハイレゾはこの網目がさらに細かくなります。たとえば24bit/96kHzっていうフォーマットの場合、24bitっていうのは音量を16,777,216段階に分割して、96kHzっていうのは1秒間を96,000回に分割してることになるんですね。音の入れ物が大きくなって、その分ファイルも大きくなると。単純に言っちゃうと、それがハイレゾです。最近だと32bit/384kHzなんていうフォーマットもあるんですよ。
ハイレゾは音の波形をより細かい網目で捉える |
徳井 : へ〜。
高橋 : じゃあどこからがハイレゾかって言うと、基本的にはCDの16bit/44.1kHz以上であればハイレゾと呼んでいいことになってます。たとえば24bit/44.1kHzだったらハイレゾです。
徳井 : ハイレゾになって網目が細かくなるほど音が良くなるんですか?
高橋 : そう簡単な話でもないんですよ。音は聴いた感じで判断するしかないので、ハイレゾだから絶対にいい音かっていうと、そういうわけではなかったりするんです。
徳井 : なるほど。難しいなあ。
ハイレゾは大きな弁当箱だった
高橋 : じつはプロの現場では、15年くらい前からCDよりもいい音、今で言うハイレゾでレコーディングはしてたんですよ。だから、ミュージシャンがスタジオで聴いてOKを出してるのはこの音なんですよね。ただ、CDの規格が16bit/44.1kHzなので、その大きさの入れ物に詰め込まなくちゃいけない。それがマスタリングっていう作業です。例えると、料理を作って、それを最後に弁当箱に詰め込むようなものですね。それがハイレゾだと、もうちょっと大きい弁当箱に入れられるっていうことです。
徳井 : マスタリングって聞いたことあります。そういうことだったんだ! 作った料理を小さい弁当箱に詰め込むのって、それは料理人からするとやっぱり嫌ですよね。
高橋 : はい。ハイレゾだと弁当箱が大きい分、きれいに盛りつけられるみたいな感覚で捉えてもらうといいですね。だけど詰め込んだら絶対に料理が不味くなるかっていうと、そういうわけでもなくて。
徳井 : 詰め込み職人がいるんですね。
高橋 : そうです。それがマスタリング・エンジニアっていう人たちなんですけど、世界的なエンジニアがやると、詰め込んでも不味くならないどころか、むしろ美味くなるってことは十分あるんです。だから、ハイレゾが絶対にいい音になるとは限らないんですね。
徳井 : じゃあ下手くそな人が詰め込むと、ハイレゾでも不味くなると。
高橋 : 完全に不味くなりますね。
徳井 : へー! すげえ。そうなんだ。弁当箱の例えでようやく素人の僕にもわかってきました。マスタリングって大事なんですね。リマスタリング・ヴァージョンとかってよく見ますけど、あれは弁当箱の詰め方を変えるってことなんですね。
高橋 : まさにそうです。詰め込む前の料理をもう1回持ってきて、それを新しい弁当箱に詰め直すっていう。最近よくあるのはハイレゾ・リマスタリングってやつで、CDよりも大きな弁当箱を持ってきて詰め直すってやつです。
徳井 : それはたしかに違いが出そうですよね。これからそういうのが増えていくんですか?
高橋 : 増えるでしょうね。昔の名盤をハイレゾ・リマスタリングみたいな。
DSDって何??
高橋 : じつはハイレゾにはもうひとつ別の形式があるんですけど、ご存知ですか?
徳井 : え、全然知らないです。
高橋 : それがDSDっていう形式なんです。今まで説明してきたのはPCMっていう形式で、まあ名前は覚えなくてもいいんですけど、とにかくDSDっていうのはハイレゾの中でも特殊な形式なんですね。
徳井 : さっきまでのハイレゾと何が違うんですか?
高橋 : DSDはちょっと変調をかけて音を記録していて、1bitっていう形式なんです。さっきまでのハイレゾは24bit/96kHzとか32bit/384kHzっていうのがありましたよね。これがDSDだと、1bit/2.8MHzとか1bit/5.6MHzとかになります。bit数を1に、つまりある瞬間は0か1しかない状態にするかわりに、1秒間をものすごく細かく分割するんですね。2.8MHzだったら280万回、5.6MHzだったら560万回も分割します。そうすると出てくる音が全然違うんですよ。たとえば音が滑らかだったり、消え際がきれいだったり。
徳井健太のメモ |
徳井 : すごいなあ。でもたぶん、DSDのほうがいい音になるとも限らないんですよね?
高橋 : そうですね。ただ、DSDはすごく音が聴きやすいんです。デジタルってわりとパチって音になりやすいんですね。金属の音が耳に刺さりやすいというか。そういうところがDSDだと柔らかくなるのと、音の消え際がすごくきれいに表現できます。だから、ピアノ・ソロとか静寂感のあるサウンドには向いていますね。
徳井 : じゃあ逆にテクノ系とかは向いてないとか?
高橋 : そうです。打ち込みの音はちょっときれいになりすぎちゃうっていうか。なんかパシパシこないな、みたいな(笑)。
徳井 : なるほどー。やっとハイレゾのことが少しだけわかりはじめました!
次回「ハイレゾを聴いてみる」に続く
徳井健太、第1回を終えての感想
世の中ってのは変態が回してる。ガリレオもニュートンも平賀源内もマイケル・ジャクソンもみんな変態。有りもしない究極を求め、家族を捨て常識を捨て生活さえも捨てる。その先にだけ未来と結果がある。一般人はその変態様の苦労や道筋などを知らぬままに凄い凄いと言って日々を生きる。それでもいいと偉人達はまた限界突破の切磋琢磨。今回御教授頂いたOTOTOYの高橋さんは正にそれ。尊敬と畏敬の念を込めて敢えて言わせてもらいたい。
高橋さんは、音の変態だ!
音への愛を込め、研究に研究を重ねた結果がこのhigh-resolution。略してハイレゾ。え? ハイレグ? と、3日に1回は必ず言われます、と頬を引きつらせながら仰っていた。で、ハイレゾって何なの? それも高橋さんはとてもわかりやすく教えて下さいました。
例えばプロの料理人が丹精込めて料理を皿に幾つか作ったとします。しかし遠くにいる皆さんに食べて頂くには、小さな小さな弁当箱に詰め直さなくてはなりません。これでは折角作った料理本来の味や雰囲気が味わってもらえません。とは言え食べてもらう為に仕方なく、今まではその折角作った料理を小さな小さな弁当箱に詰め込んでおりました。ところがある日「おい、でっかい弁当箱が出来たぞ!」と、村の誰かが言いました。見てみると、確かに今までの弁当箱よりもデカい。これならば折角作った料理もギシギシに詰めなくてもいい。料理本来の味や食感、雰囲気を皆様にも味わって頂けそうだ!
めでたしめでたし。
と、こういう事だそうです。料理を音だと思って解釈して下さい。ね? わかりやすいでしょ? しかし急転直下、音師の高橋さんは言います。
「別にハイレゾが絶対って訳じゃない。」
音を愛するが故、全てにおいて万能な物なんてない。僕はそれを聞いて更に前のめりになりました。と言うことはつまり、ハイレゾの効力がバリバリに発揮されれば、これまでとはまるで桁の違う音を感じられるんじゃないか?
これは聴いてみたい。ハイレゾを、high-resolutionを、感じてみたい。
僕は素直にそう思いました。
第2回はこの機材を使ってハイレゾを聴いてもらいます!!
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