日中首脳会談が実現したことを受け、韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領が厳しい立場に立たされた。米国も日中接近を歓迎するなか、安倍晋三首相との会談を拒み続ける朴氏の特異性が際立っているのだ。韓国内メディアが批判を強めたことを受けてか、APEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の夕食会で、朴氏は安倍首相と会話を交わした。
韓国大統領府は、日中首脳会談について「わが国の外交戦略に影響を及ぼすほどのものではない」との立場を示している。だが、中央日報によると、先週の「日中首脳会談開催へ」のニュースに、韓国外務省幹部は「会談合意は予想外」と語るなど、衝撃を隠せなかったという。
韓国メディアも「政府は東アジア情勢の変化に適応しているのか」(左派系紙、京郷新聞)「突破口を開いた米朝・日中関係を見守るだけなのか」(保守系紙、東亜日報)など、左右両派とも社説で朴政権の外交姿勢を批判している。
背景には、歴史問題を軸に「対日共同戦線」を張ってきた中国の習近平政権が日本に歩み寄ったうえ、同盟国である米国も「対話と前向きな関係は2国間だけでなく地域と世界の平和と繁栄にとって重要だ」(米国務省のサキ報道官)などと歓迎しており、韓国がハシゴを外されるとの懸念があるためだ。
日本メディアも、「『硬直』朴外交に批判も」(産経新聞)、「『日中』実現 焦る韓国」(読売新聞)などと厳しい指摘をしている。韓国メディアが最も親近感を持つ朝日新聞は「韓国は静観」と報じた。
こうしたなか、北京で10日開かれたAPEC首脳会議の夕食会で、安倍首相と朴氏は隣の席に座り、「多様な懸案について意見を交わした」(韓国大統領府報道官)という。
安倍政権の「日中首脳会談を優先させる。韓国は放っておけばいい」(官邸周辺)という方針がうまくいったのか。