堀込泰三 - メンタル,モチベーション,社会 10:00 PM
自分でできるメンタルセラピーのコツ
人生の壁にぶつかったとき、誰もがプロのセラピストや心理学者のお世話になれるわけではありません。そこで、自分でできるシンプルな対処法を知っておくと便利です。
フィクションの世界では、変化が突然やってきて、ロマンチックかつパワフルな展開で話が進みます。それまで悪かった主人公が、自分の過ちに気づき、あっという間によりより人生を送るようになるのです。
でも、テレビや本とは異なり、現実に起こる自分の変化はおそろしいほどにゆっくりやってきます。
さらに、その変化に対処するためにはお金がかかります。プロのセラピストに相談すれば、週に100ドルから200ドル程度の出費も避けられないでしょう。そこで、不安や自己不信、理由もないのに落ち込むなどの症状に苦しめられているあなたのために、自分の力で本当の変化を引き起こすための、いくつかのヒントをお伝えします。
問題は自分自身ではない
問題は、あなた自身ではありません。問題が問題なのです。ミスをした人が、それを自分の人格的な欠陥であるとレッテルを貼ってしまうと、元に戻ることはほぼ不可能。悪い日が訪れると、突然「もう死んでしまった方がマシだ」と思ってしまうことがあるのです。
このようなレッテルは、問題を外面化することで解決できます。抱えている問題をストーリーの「悪役」にして、名前を付けるといいでしょう。私は、自分のネガティブ思考を「カール」と名付けたことがあります。たとえば、「この記事、いつまでたっても書き終わらない」と不安を覚えたときには、「カールのやつ、私がいくら書いても終わらないと思ってるみたい。いまに見てなさいよ。あなたの間違いを、思い知らせてやるんだから」と考えるのです。問題を自分以外のものにすることで、乗り越えることができるか、もしくは関わらずに避けた方がいい問題か、どちらかに姿を変えるのです。
自分をいたわる
自分をいたわらないために、問題を招くこともあります。自分に優しくすると言っても、毎朝ケーキを食べたり、仕事を病欠すればいいわけではありません。自分への優しさは、健全なアクションを、セルフケアや将来に向けた自分の信念の証として見ること。つまり、すべての画面を消して十分な休息時間をとることや、対応しきれない新しい仕事の依頼を断ることを意味します。
データを集めて自分の気持ちの変化をモニターする
カウンセラー講座の受講生に、「何が人を変えると思いますか」と尋ねると、多くの受講生がぽかんとしてしまいます。よきセラピストになるには、何が人のモチベーションを高めるのか、ある程度の理論を知っておく必要があります。それと同じように、自分の習慣を変えるためには、データを収集してリサーチをする必要があります。健全な対処法を学ぶことも大切でしょう。でも、どれが自分に適切な方法かは、自分の変化を把握していなければわからないのです。
自己改善に興味を持つことで恐怖や疑念を晴らすことができるのであれば、道は開けたも同然。真の変化を目指すのであれば、自分を知ることが必要なのです。私には、自己改善の仲間がいます。毎日のように、お互いの習慣についての所見をメールで交換し合い、メモを比較しています。データを集めると、ルールの例外を知ることもできます。例えば、1年のうち364日が最悪だったとしても、よかった1日は何が違っていたのでしょうか? 科学者のように、それについて考え、理解し、再現を目指すのです。
「奇跡の質問」を聞く
「あした目覚めたとき、すべての問題が解決していたら?」
セラピーの世界では、これを奇跡の質問と呼んでいます。私たちはしばしば、自分の間違いを気にしすぎて、目標や価値を見失ってしまうことがあります。でも、目標や価値は、私たちが真の変化を目指す際の目印の役割を果たします。それは、小さな変化でも同じです。例えば月曜日を迎える前に気持ちの準備ができていないのであれば、「月曜日、目が覚めたら世界を制覇する準備ができてたらどうする?」と自問するといいでしょう。そうすることで、ひとつひとつのイメージを描けるようになるのです。
相談あるのみ
相談相手は、何もセラピストに限る必要はありません。身の回りの友人や家族でもいいのです。私は、友達とお茶をしながら仕事や学校の愚痴を言い合うよりも、将来の希望を語り合うことに時間を使いたいと考えています。励ましは、人から人へと伝染するのですから。アドバイスを求めなくても、目標を誰かに伝えるだけで構いません。驚くことに、口にすればするほど、目標はかないやすくなるのです。
セラピーが独特なのは、判断を下さずに共感してくれる相手が話を聴いてくれるという状況が、私たちの人生ではなかなか得られないからです。でも、人の人生に真の変化をもたらす方法は、誰かに独占権があるわけではありません。自分の声に耳を傾け、自分に優しくし、データを集め、やりたいことを口に出せば、真の変化がきっとあなたにも訪れるでしょう。
Kathleen Smith(原文/訳:堀込泰三)
Photo by JD Hancock (Flickr).
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