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 音楽の聴き方が多様化している。CDやダウンロード配信に加え、近年はユーチューブなどインターネットで音楽データを取り込みながら同時再生するストリーミング配信も普及した。中でも日本と市場が同規模の米国では、パーソナルラジオというサービスが成長中。人気の秘密は音楽との偶然の出会いだ。

 8月下旬、米国では音楽アルバムの週間売り上げ枚数が調査開始後初めて400万枚を切った(米ビルボード誌)。同社チャートディレクターのシルビオ・ピエトロルオンゴさんは「CD、ダウンロードに代わりストリーミングで音楽を聴く人が増えたためだ」という。パーソナルラジオはそのストリーミングサービスの一種だ。

 全米で大人気のパーソナルラジオ「パンドラ」。米カリフォルニア州オークランドのオフィスでは、スタッフがヘッドホンを付け音楽を聴きながらパソコンに向かう。「今日はメタルとレゲエのほかにビヨンセを分析したよ」とミュージシャンのダリアン・グレイさん。

 パンドラはインターネットラジオの一種で、パソコンやスマートフォンで好きな曲やアーティストを入力すると、新しい「ステーション」(放送局)が作成され、曲を聴ける。さらに個々人の音楽の好みを見極め、解析済みの曲の中から似た構造を持つ曲を続けて流す。再生履歴も蓄積して学習し、個人の嗜好(しこう)に合う音楽を届ける。パンドラはこの分野のフロントランナーだ。

 曲間に音声広告を入れるなどして利用は原則無料。ツイッターのように友人をフォローし、他人のステーションも聴ける。「予期せぬ音楽と出会えて楽しい」と人気を呼び、2005年のサービス開始以来、利用は急増。米国では登録者数が2億人を突破し、作成されたステーションは60億を超える。

 パンドラには現在、ダリアンさんのようなミュージシャンやラジオDJが20人ほど在籍。1曲ごとにテンポやコード進行、声質など最大450項目をプロの耳で解析。各項目を5段階評価してデータベース化する。月1万曲の割合で、120万曲以上を解析した。

 創業者のティム・ウェスターグレンさんは遺伝子のゲノム解析作業になぞらえて「ミュージック・ゲノム・プロジェクト」と呼ぶ。「これが好きなら、こちらも好きだよねと薦める。最近は、新しい音楽の発見に時間を割きたくない人が多いが、ボタンを押せば今まで聴いたことのない音楽にも出会える。流れる曲は世間での人気とは関係ないため、ミュージシャンの『中産階級』も生み出す」