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ジェレミーのママから羽生くんとハンヤンのママたちへ。
思わぬ展開となってしまった2014中国杯男子。
緊急帰国して精密検査を受けたという羽生くん。この記事をアップするころには結果は発表されているでしょうか?

…などと書いているうちに結果出ましたね。

日本スケート連盟は10日、羽生結弦が都内の病院で精密検査を受けた結果、頭部挫創、下顎挫創、腹部挫傷、左大腿挫傷、右足関節捻挫により、全治2〜3週間と診断されたと発表した。羽生は「皆様にはご心配とご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、まずは、ゆっくり休み治療したいと思います。今後のスケジュールについては、ケガの回復具合をみながら検討したいと思います」とコメントした。GPファイナル(12月、バルセロナ)出場の懸かるNHK杯(28日開幕、大阪、なみはやドーム)出場は厳しいと見られる。――デイリースポーツより

……想像の翼が広がりすぎて最悪なことまで考えてしまっていた私としては、大きく安堵しました。脳しんとう、脳挫傷のたぐいじゃなくて、ほんとよかった・゜・(ノД`)・゜・
NHK杯はたぶんなくなりましたね(とも言い切れないところが羽生くんですけど^^;)いい機会だからモンハンでも楽しみながら、ゆっくり治療に専念してほしいです。
NHK杯がなくなるなら、観戦予定者としてはもちろんとても残念ですが、それよりはるかに残念なことにならずに、本当に、本当によかったよ。もう無茶するなよ!


早くまたこんな笑顔が見れますように!もちろんハンヤンもね!!

……と思わず前置きが長くなりましたが、ちょっと意外な人が羽生くんとハン・ヤンくんの衝突の件について語っていますので、ご紹介したいと思います。
それはジェレミー・アボット選手のお母様のアリソン・スコットさん。インタビュアーの「僕」はアメリカ人ブロガーのライアン・スティーブンスさん。母親の立場からのせつない気持ちがあふれるインタビューです。

元記事はこちら→Getting Up And Saying No (Part 3)


「立ち上がってノーと言おう」

飛行機で世界中を飛び回ってフィギュアスケートの試合を見に行くことは、僕にとっては手が出ない贅沢だ。リアルタイムで毎試合見る時間を作ることも、僕には難しい。仕事が忙しいし、人付き合いも活発だし、毎日このブログを書く時間を作らなくてはならないからだ。
中国杯の男子フリーがおこなわれているときも、僕は移動中だった。後から見逃していた演技を1、2時間かけて追いかけて、大会全体をレビューするブログを書いたけれど、そのときにはこの大会についてじっくりと考える時間はなかった。
あらためて羽生結弦とハン・ヤンの衝突事故のことを考えると……そしてその後2人が棄権せず演技をしたことを考えると……このできごとに対してモヤモヤとした感覚に包まれてしまう。はたして選手たちの最善の利益と安全は、あのとき考慮に入れられたのだろうか? 2人とも意識を失っていたという事実を知り……そして羽生の演技を見ると、僕は正直、不安な気持ちにさせられてしまった。

僕は友達のアリソン・スコットのことを思い出した。彼女はフィギュアの大ファンで、ブロガーであるだけでなく、ジェレミー・アボットの母親でもある。ソチ五輪でジェレミーが演技中に壁に激突し、立ち上がって、負傷しながらも(衣装の下では出血していた)最後まで演技を続けたとき、アリソンはその会場にいた。
以前、このブログで "Getting Up And Saying No"という記事を書いた。これは二部構成の記事で、ジェレミーのソチSPの演技についてだけでなく、スケート界で匿名/非匿名でおこなわれる「バッシング」について書いたものだった。この記事の執筆にあたってアリソンに話を聞くチャンスがあったのだが、彼女は目の前で繰り広げられた息子のシーンをただ見守るしかなかった当時の気持ちを、じっくりと語ってくれた。
昨日、上海で起きたあのショッキングなできごとについて、アリソンならどう思うだろう、と僕は思った。

アリソンが語ってくれたのはこんなことだった。【←インタビューの形式は不明ですが、記事の感じからすると電話インタビューだったかな、と推測しています】

「昨日はとてもつらい1日だったわ。中国杯で起こったすべてのできごとを、私がソチで味わった感情に結びつけてしまったの。
その思いが頂点に達したのは、昨日、米国オリンピック・トレーニング・センター(OTC)で、あのジェレミーの転倒のビデオを初めて目にしたときだった。私はジェレミーのためにアメリカ国旗模様の手袋をもう2組買ってあげようと、OTCのグッズ・ストアでレジの列に並んでいたの。
商品棚の上にテレビが3台あって、ソチ五輪のビデオが流れていた。それはソチで勝敗を分けたターニングポイントを集めたビデオで、その中でジェレミーも取り上げられていることを私は知っていたの。画面にスノーボードのショーン・ホワイト選手がうつったわ。ジェレミーはショーン選手のすぐ後だと聞いていたので、そばにいた私の母と『ママ、見て。もうすぐジェレミーがうつるわね』なんて話していた。
レジの女性は私の買い物のレジ打ちを終えようとしているところだった。『お買い物は以上ですか?』とその女性が言うので、『ちょっと待って。ビデオに私の息子がうつるところなの』と言った。女性が顔を上げたのは、ちょうどジェレミーのあのひどい衝突のシーンが画面に流れたときだった。彼が立ち上がってスケートを続けるのを、私と母と女性はじっと見ていたの。『あれが息子さんなんですか? あそこから立ち上がって演技を続けたんですか?」レジの女性はそう聞いたわ。
そのときまで、私はそのビデオを見たことがなかったの。あの場面はもう見たんだもの。またあれを見る必要なんてないと思っていた。でもその瞬間、OTCのレジに立ちつくしながら、あのたったひとつのできごとが私の人生にどんな強い衝撃をもたらしたのか、私は初めてわかったのよ。私は何も言えなくなってしまった。懸命に涙をこらえながら、お金を払って店を出たわ。

昨夜、あの(中国杯の)衝突が起きたとき、「あなたのことを思った」とネットで何人もの人に言われたわ。状況はまったく違うわよね。ジェレミーは演技をスタートした後だったし、他の選手ではなくボードに激突した。氷で頭を打つことはなく、痛めたのは胴体だった。彼のコーチが扉を開けて彼をリンクから上がらせようとしたけれど、それはできなかった。なぜなら、彼が立ち上がって、演技を続けると決めたから。そう決めたのは彼自身だった。
あの演技の数時間後、ジェレミーは、コーチたちとチームドクター、それとアメリカスケート連盟の人々によって、詳しい検査を受けたの。治療を受け、テーピングして、慎重に練習を始めた。彼が自分にできると思うことだけをやるべきだと、医師とコーチと彼自身が相談して決めたのよ。体は傷ついていたけれど、頭部はまったく無傷だったわ。だから、中国杯の状況と同じではなかったの。
でも……ソチで息子が衝突するビデオを見て、私は羽生とヤンの母親たちのことを考えてしまった。自分の息子が氷の上に倒れて……1人はしばらく意識を失っていたと言われていて、2人とも出血し、放心していた……そんな場面を彼女たちは見たのよ。
彼女たちの気持ちをおしはかることなど、私にはできない。脳振とうの可能性、いやもっと深刻な可能性があるのに、2人が演技することを許した連盟の役員やコーチたちの気持ちもわかりません。だれもがそれぞれの判断にもとづいて動いたはずだから。それをどうこう言うことは私にはできないわ。
私にわかるのは、2人が氷の上で身動きもせず横たわっているとき、彼らの母親たちは……そして一瞬にしてわが子がトップアスリートからもろい子どもへと変わり果てる瞬間を目にしたことがある母親ならだれもが……私がソチで感じたのと同じ「無力さと恐怖」を感じていたはずだということ。ここまで長い時間をかけて築き上げたキャリアを失う恐怖ではないわ。自分がこの世に送り出した命の、その安全が守られないかもしれないという恐怖なの。

アスリートの親として、私たちは人生で一番大事な財産――つまりわが子のケアを、とても多くの人の手にゆだねているわ。わが子を育成・強化してくれるだけでなく、自分には守れないときにわが子を守ってもらえるような指導や意志決定をしてくれる――そう思って、その人たちを信頼しているの。その信頼感に疑問が生まれたら、親としてわが子を他人にゆだねると決めたことにも疑問が出てしまうのよ。
私には、羽生とヤンが後遺症などに苦しむことがないよう、祈ることしかできない。2人の母親が、ほんの短い時間でもいいから、息子たちを抱きしめ、やさしくゆすってあげる時間をもてているように願うばかりよ。あんな思いをするのは、すべての母親にとって悪夢だから。
2人の母親たちに、私は心から思いを寄せているわ。なぜなら、彼女たちも今後いつか、あのシーンの映像に出くわしてしまう日が来るから。彼女たちが今感じている感情とはまったくちがう感情に、突如襲われる日が。それは思いがけないときに、まったく突然にやってくるの。
今、彼女たちにできることは、親として自分は全力をつくしたんだと思うこと。そして、息子に愛していると言ってあげることなのよ」


中国杯でいったい何が起こったのか、僕らが本当に知ることはできない。あの場面に対しては、多くの人がまったく異なるさまざまな意見を口にしている。ロシアのテレビ解説者は2人があんな状況下で滑ったことを英雄的だとほめたたえたという。ファンも意見が割れて、ときに対立さえ生まれている。勇敢に演技を続けようとした2人の意志を尊重するべきだというファンもいれば、2人に演技を許可したのは空恐ろしく、ぞっとすることだったというファンもいる。その両方の気持ちを持っているファンも多い。
非難のほこ先は、羽生のコーチのブライアン・オーサーと、ハン・ヤンのコーチのシューグァン・ジア、そして中国と日本のスケート連盟や医療スタッフ、ISUやその会長のオッタビオ・チンクワンタにまで向いている。人災と思われる事故が起きたときには、人は非難できる人間を見つけては、「悪いのはあいつだ!」と言いたがるものなのだ。
実際何が起きたのか、本当にはわからない今、僕らには2人の選手たち――そして他のすべてのスケーターたちの――無事と健康を祈り続けることしかできない。僕が最近インタビューした1988年カルガリー五輪の銀メダリスト、リズ・マンレー(カナダ)も、羽生に対してこんなすばらしい言葉を発してくれた。
「それは(ユヅルの)本物の勇気だった…。早く快復しますように…。今日、私の胸は張り裂けてしまったけれど、私は立ち上がり、あなたが見せてくれた勇気に拍手を送ります!」
彼らが演技をおこなったことは妥当ではなかったかもしれないし、とんでもなくバカげたことだったのかもしれない。でも、それはもう実際に起こってしまったことなのだし、羽生もハン・ヤンも信じがたいほどの勇気を示したことは事実なのだから。とはいえ、これは起こっていいことだったのかというと、答えはノーだ。

この件から学ぶべき教訓は、すべての関係者がどんなときでもスケーターの最善の利益と安全を優先しなくてはならない、ということだと僕は思う。これについての答えを、アリソンの言葉がとてもよく表現していた。

「なんらかの制限をもうけて、二度とこんなことが起こらないようにするのよ。二度とね! 頭部の外傷はもっと深刻に考えるべき。スケーターに “明日はもっと痛みが出るよ” なんて言っちゃだめ。明日が来るよう祈らなくてはならないの。必ず明日が来るように、全力をつくすべきなのよ」


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汗 最後の「明日はもっと痛みが出るよ」というのは、オーサーの発言のことですね。
結果的に脳に異常がなかったのは、衝突後に緊急に診てもらったというアメリカのチームドクターの判断が正しかったということでしょうか。でも、その時点では精密検査はできていなかったのだから、簡易検査で見落としがある可能性は大きいわけで、非常にラッキーだったと思うべきなのでしょう。
とりあえず二度言いますけど、ゆづるくんよ、もう無茶するなよ! お母さんが泣くよ、まったくもう。あなたひとりの命と思うんじゃないぞ…グスン。

JUGEMテーマ:フィギュアスケート
カテゴリ:羽生結弦 | 16:34 | comments(5) | trackbacks(0) | - | - |
コメント
たらさん、初めまして。
いつかコメントを書きたいと思っていましたが、まさかこんな内容の時にとは想像もしていませんでした。。

私も2人の子どもの親なので、アリソンさんの気持ちが(きっとご本人からすればわずかな部分ですが)理解出来て泣いてしまいました。
羽生くんもハン・ヤンも大事には至らず、今のところほっとしています。
今回の件で、色々な事が改善されることを願います。

とにかく羽生くんにはゆっくり治療してもらって、万全な状態でショパンとオペラ座の怪人を演技している姿をいつか見たいです。

たらさんの更新、娘といつも楽しみにしています!
| まれ | 2014/11/10 5:14 PM |
こんばんは!いつもお世話になります。
この記事、早速紹介させて頂きました(号泣しながら)。よろしくお願いします!

てもうほんに、思っていたよりはウチバでホッとしました。
とにかく、休め!寝てろ!ハンヤンも!としか言いようが、なー〜〜〜〜い!
| | 2014/11/10 7:14 PM |
たらさん、こんばんわ。
お久しぶりです。

あんな状態で演技をするなんて、涙で見えなかった。
むちゃをしないでよ、ゆづるくん…!!!!

これから練習とか怪我に対する恐怖を乗り越えられるか…。
ゆづるくんは強い人だから、きっと乗り越えられると思います。いつも神に祈ります。

また、NHK杯に出ないことを祈る。

| yuzuriha | 2014/11/10 9:05 PM |
たらさん、こんにちは。初めてコメントいたします。いつも素敵な記事をありがとうございます!

私はゆづるくんのファンですが、あの時テレビを通して感じた衝撃は、一ファンの自分でさえ、訳がわからなくて生きた心地がしませんでした。それはずっとモヤモヤしていて、言葉に出来ないことだったけれど、この記事を読んで、これと似たようなものだったのかもと思えるようになりました。
大切な人の安全が守られないかもしれないという恐怖。そして、誰も彼をとめられなかったという事実。今日の彼の全治2-3週間という現実…。もう二度と起きて欲しくないです。

そして、もう一つ…大阪のNHK杯に出られないのなら、結局彼は何のために土曜日のフリーを無理して滑ったのかと思うとやり切れないです。
でも、これが今、彼が受け止めるべき結果なのでしょうね。
| AY | 2014/11/10 10:16 PM |
素晴らしい記事ありがとうございます!

ジェレミーのお母さんやライアンさん、リズさんたちの言葉に
少し救われた気がします。
この事でもう選手を責めてほしくないです。
わたしたち外野が彼らに言える事は、もう無理をしないで
ゆっくり休んでね。だけですよね。

リズさんが言うようにISUやスケ連には、しっかりと予防策や
対応策を設けてほしいと思います。
希な事故であっても誰にもまた同じ事が起こらないとは
確約できないし、何かあってからでは遅いんですから。
| mimi | 2014/11/10 11:49 PM |
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