国債:金利マイナス…財務省入札で初

毎日新聞 2014年10月23日 22時31分

 財務省が23日実施した短期国債の入札で、平均落札利回りが年マイナス0.0037%となり、日本の国債入札で初めてマイナス金利を付けた。政府が借金をする際に利子を支払うのではなく、逆に利益が生じる異常な状態を示す。背景には、異次元緩和を続ける日銀が市場から大量の国債を購入し、国債が品薄になっていることがある。

 短期国債は、短期の資金繰りのために発行する。発行時点で、満期に払い戻す価格が決まっている。今回の平均利回りだと、約3カ月後に10万円を返してもらう約束の国庫短期証券(TB)を金融機関が購入する場合、政府に10万1円を払う。お金を貸す金融機関が1円損をし、借りる政府が得をする。普通は逆で、今月20日に年平均0.001%で発行したTBの場合、1年後に10万円を返してもらう約束で、金融機関が9万9999円を払う。

 3カ月物では2005年12月の入札で平均利回りが0.0000%を付けたが、マイナスは初めてだ。今回は最高落札利回りも0.0000%で、まったく金利が付かなかった。

 こうした状況になったのは、国債が品薄になっているからだ。国債は、金融機関同士でお金を貸し借りする際の担保になるため、利子を払ってでも手もとに置きたいと考える金融機関が出てきた。満期が来る前に、日銀にもっと高い金利をもらって転売する思惑も働いたようだ。既に、いったん市場に発行された国債を売買する市場ではマイナス金利が付いている。日銀も市場からマイナス金利で国債を買い、金融緩和の資金を供給するケースがある。【三沢耕平】

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