GPIF:相場の下支え役 「巨額資金流入」市場が注視
毎日新聞 2014年10月22日 20時08分(最終更新 10月23日 00時49分)
大和証券投資戦略部の熊沢伸吾ストラテジストは「海外の機関投資家は年末の10〜12月に新しい運用方針を決める傾向が強い。この時期にGPIFの新たな運用方針が決まれば、有力な買い材料にはなる」と話している。
一方、GPIFの運用方針見直しについては「過去にもあった政府の株価維持政策(PKO)に過ぎず、過剰に材料視すべきではない」との声もある。本来、市場原理で決まるべき株価が政治的な意図でゆがめられることへの警戒感も根強い。塩崎厚労相がリスクの高いベンチャー企業にもGPIFが投資する可能性を示唆したことに絡み、日本総合研究所の西沢和彦上席主任研究員は「政治家が株価に影響を与えるような具体的運用方針に言及すべきでない」と話す。
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厚生労働相の委託に基づき厚生年金と国民年金の積立金を管理、運用する独立行政法人。運用収益は年金給付の財源として国庫に納付される。元々の母体は1961年に発足した旧厚生省所管の特殊法人、年金福祉事業団。小泉内閣が実施した2001年の特殊法人改革で事業団が廃止され、06年に現在の独立行政法人として再スタートした。14年6月末の運用資産額は127兆2627億円で、世界最大の機関投資家でもある。資産は国内外の債券や株式などで運用され、14年第1四半期の収益額は2兆2222億円。
旧年金福祉事業団時代は、年金積立金が財政投融資や住宅貸し付けの原資となったほか、「グリーンピア」などの大規模な年金保養施設が多額の赤字を出して社会問題化した。