GPIF:相場の下支え役 「巨額資金流入」市場が注視
毎日新聞 2014年10月22日 20時08分(最終更新 10月23日 00時49分)
◇運用資産額は130兆円、国内株は現在12%だが…
世界経済の先行き不透明感から激しい値動きが続く東京株式市場で、相場の下支え役として年金積立金の運用方針見直しが注目されている。年金の運用資産額は約130兆円に上り、株式の比率を数%増やすだけで巨額の資金が株式市場に流れ込む。そんな思惑が相場の大きな値崩れに歯止めをかけている、と市場関係者は口をそろえている。【大塚卓也、土屋渓】
「(相場の主導権を握る)外国人投資家からの問い合わせはほとんどなく、スルー(素通り)した」。第2次安倍内閣の2閣僚がそろって辞任した翌日の21日朝。野村証券の投資情報担当者は前日20日の株式市場を振り返り、政局は株式売買の材料にならなかったと解説した。
日経平均株価の20日の終値は、前週末比578円高の1万5111円。2閣僚辞任で内閣支持率やアベノミクスが尻すぼみになるのではないかという不安をよそに、上昇幅は今年最大となった。
大きな要因として指摘されたのが、年金運用を一手に担う「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の資産構成の見直し観測だ。前週末に一部経済紙が、現在は12%程度の国内株式の比率が20%台半ばになると報道。「運用見直しで外国債や外国株の比率が市場の予想より増えれば円安基調が強まるとの思惑や、先週までの相場急落で多くの銘柄に割安感が出ていた」(大和証券投資戦略部)ことから、新たな投資の対象になりそうな主力株に買いが集まったという。
GPIFの改革は6月の政府の成長戦略に盛り込まれ、運用方針の見直しは来年4月から始まる中期計画の策定を待たず、この秋にも発表されるとの見方が強い。9月の内閣改造で、GPIFの運用対象拡大を主張してきた塩崎恭久氏が、所管する厚生労働相に就任したこともこの種の観測に拍車をかけている。
現在の運用方針で60%とされている国内債(国債や社債)の比率を40%程度に減らし、国内株(現在の運用方針は12%)、外国債(同11%)、外国株(同12%)の比率がどこまで高まるのかが市場関係者の関心の焦点だ。実際の資産構成は運用方針から上下8〜5%程度乖離(かいり)することが認められているため、仮に国内株の比率が20%になれば「最大で10兆円前後の資金が株式市場に流れ込む」(市場関係者)可能性もある。