衆議院の解散巡って発言相次ぐ11月9日 19時18分
安倍総理大臣は、衆議院の解散・総選挙について、9日、「全く考えていない」と改めて述べました。
ただ、衆議院議員の任期が、来月で折り返しの2年を迎えるなか、与党内では安倍総理大臣の消費税率引き上げの判断しだいでは、解散時期が早まるという臆測も出ていて、9日も閣僚や野党幹部から発言が相次ぎました。
石破地方創生担当大臣は、鹿児島市で講演し、「来月で衆議院議員の任期4年のうち半分が過ぎる。これは、いつ解散があってもおかしくないということだ。解散は総理大臣の専権事項であり、総理大臣が『解散しよう』という判断をしたときに、『準備が整っていません』とか、『今の時期にやると負けてしまいます』などと言って、判断を間違えさせるようなことがあってはならない」と述べました。
また、甘利経済再生担当大臣は、訪問先の中国・北京で、記者団が「安倍総理大臣は、消費税率の引き上げを先送りする場合、衆議院を解散して国民の信を問う方針を固めたという一部報道もあるが、その可能性はあるか」と質問したのに対し、「聞いていない。そういう話は初耳だ」と述べました。
一方、民主党の枝野幹事長は、青森市内で記者団に対し、安倍総理大臣が消費税率の引き上げを先送りして衆議院の解散・総選挙に踏み切れば、いわゆるアベノミクスの失敗が選挙の争点になるとして、選挙準備を進める考えを示しました。
枝野幹事長は、消費税率の10%への引き上げについて、「合わせて社会保障の充実と国会議員の定数削減をしっかり進めていくことがなければ、国民にお願いできない」と述べました。
そのうえで、衆議院の解散・総選挙に関連して、「どのような大義名分でいつ解散するかは安倍総理大臣の判断だが、消費税率を引き上げないとすれば、景気を考慮してのことで、アベノミクスがうまくいっていないことの裏返しとなる。その場合、選挙はアベノミクスの失敗が争点になる。いつ解散されてもいいように、こちらとしては備えておくべきだと思っている」と述べ、選挙準備を進める考えを示しました。
さらに、維新の党の江田共同代表は民放の番組で「国会議員の定数削減という身を切る改革もやっておらず、国民に負担を求める状況ではない。消費税率の10%への引き上げは明確に反対だ。解散・総選挙については、後半国会に向けて、『野党を揺さぶろう』という陽動作戦だとは思うが、仮に消費増税を先送りするなら、これまでの方針の大転換であり、しっかり国民の信を問うべきだ」と述べました。