2014年9月のメッセージ
今朝、目が覚めたら、窓いっぱいに秋の空が見えた。子供の頃から「うろこ雲」と呼んでいる雲だが、正確にはなんという雲なんだろう。青い空に、まるで天の川のように、長く伸びて見えた。あぁ、もう秋なんだ、と、ふと思った。今年一番、私が見つけた“小さい秋”だ。
今日は、8月31日(日)。昨日の土曜日は、午前午後と仕事をしたあと、妹の家に寄った。帰るつもりだったが、家族もそこに来ていたので、泊まろうかということになり、今朝は妹の家で、朝ごはんの支度も手伝わず、ゆっくりさせてもらった。妹の家に泊まるときには、私だけ、私のお気に入りのコーナーをつかわせてもらっている。頭の上には大きな窓、窓の外には、公園のような広い場所があって、春はすぐそこに桜が満開に見えるところ。私はなぜか昔から自然が大好きだ。もう30年以上も東京という都会に住んでいるが、私の故郷が長崎だからだろうか。海と山と坂道と。今年も故郷に帰ることはできなかったが、数年のうちには行ってみたいと心から思う。なぜか最近、故郷を頻繁に懐かしく思い出してしまう。私もそんな歳になったのかと感慨深く思う。
さらに更新された日本人の平均寿命。まさに私たちの人生の持ち時間が長くなったことを素直に嬉しく思う。また新たな言葉が出てきたのか、「健康寿命」という言葉に、今、関心が持たれているらしい。日常生活を支障なく送ることができる平均寿命のことで、男性が70歳、女性が73歳とのこと。平均寿命よりだいぶ短い。差し引きの歳月は、介護や入院が必要な期間ということらしい。うーん。。。私の持ち時間はあとどれくらいある??などと、ぼんやりと想像してみた。
実は、最近の私には、心から笑える贅沢なひとときができた。サークルのような仲間が出来たからだ。仲間といってしまうと、その方々に大変失礼かもしれないが、私にはそう思えるほど、一緒にいて楽しい方々だ。数年前から、土曜日の午前中、ほぼ定期的に“大人のための”話し方講座をもつようになった。ありがたいことに、何度も繰り返し受講してくださる方々と新規の方々との、まるで“大人のための寺子屋”(私自身が勝手にそう思っている)のような有意義な講座を担当させていただいている。年齢も性も様々、職業も様々な方々と共に、話す=表現する練習をし、評価しあい、共感しながら、対話を通して、真のコミュニケーションの楽しさを理解し、実感していただくための講座である。講座は午前中で、終了時間が大体12時過ぎであるため、私の時間が許すときには、受講生の皆さんたちと昼食をご一緒することも少なくない。そのひとときがとても楽しくて、腹の底から笑うことが増えた。たまたま昨日、8月30日(土)も講座の日で、受講生の皆さんと美味しいハンバーグランチを食べながら話題になったのは、昔、好きだったテレビ番組について。私が好きだったアニメは、まず「ガッチャマン」と「マジンガーZ」。それから「田舎っぺ大将」と「あしたのジョー」と「タイガーマスク」「きんにくマン」と、もっと小さい頃は「巨人の星」や「仮面ライダー」と答えた。思わずお一人の男性から、「先生って、意外と戦隊物が好きなんですね」って言われてしまって、みんなで大笑いをした。確かに女の子らしいものより、男の子が好むようなスカッとしたものが今でも好きだ。そこからテレビドラマに話題が移った。私が中学校時代に一番好きだったのが、「俺たちの旅」。小学校時代は「ザ・ガードマン」と答えた。ありがたいことに、そのほとんどを知っている年齢層の方々ばかりで、「えー?なんですかそれ??」という人は一人もいなかったので、恥をかかずにすんだ。それこそ学生がそこにいたら、まったく通用しない番組名ばかりだったはず(苦笑)。懐かしく共有することができ、そこから話が大いに弾んだ。何かと忙しい日常の中で、このわずかな時間が、今の私にとって大切なひとときになりつつある。つくづく、対話=コミュニケーションとは、穏やかで、心身ともに健康的な時間を、私たち人間にもたらしてくれるありがたいものだと心から思う。
そういえば、つい先日のニュースで、子供たちの学力試験の結果を、こんなふうに表現しているものがあった。「人との生身のつながりは善玉。IT経由は悪玉」だと。つまり、メールやネット活用の時間が少ない子供たちほど、学力が高いということであった。心身ともに健康的なひとときをもたらすものが対話=コミュニケーションと感じている私にとって、子供たちの学力にも相通じるものがあるんだなとしみじみ思った。人間として“良く生きる”ためには、やっぱり心地よく感じる対話は必要なことなんだと。
この広い世の中には、子供、学生から社会人に至るまで、対話=コミュニケーションをとることの難しさを大なり小なり感じている人たちがいる。そんな人たちこそ、ちょっと勇気を出して、自分から誰かに挨拶をすることを頑張ってほしいと願っている。「おはようございます」「こんにちは」を、自分から誰かに声掛けするだけでも、会話が始まるきっかけにつながるからだ。前記した“大人のための寺子屋”と私が位置づけている土曜日の講座にも、いろんな受講動機を持った方々が参加をしてくださっている。「人前で話すことが苦手」「雑談が下手。みんなの輪の中に入ることができるようになりたい」「家族ともっと良好な会話ができるようになりたい」「PTA活動で話すことが多いため、もっと堂々と話せるようになりたい」「仕事や営業で活かしたい」など。そんな方々が、社員研修(自分の社内で行われるもの)という「must」な場所から、敢えて外に飛び出し、自由な気持ちで私の講座に参加をしてくださる。そこでいろんな人と出逢い、いろんな練習を繰り返していく中で、受講生の皆さんがだんだん明るく自信を持ってくださるように変化していく様を目の当たりにできることが私の最大の喜びだ。それはおそらく私だけが感じていることではなく、受講生の皆さん一人一人が誰よりも感じてくださっている思いではなかろうかとも想像している。
今年も、もう残り4ケ月となってしまった。「もう」と捉えると気持ちが急いてしまうが、「まだ4ケ月もある」と捉えると、仕事にだって、就活だって、そして人様との様々なシーンでの対話だって、私たちには、まだまだたくさんチャレンジできる時間があるはずだ。あれほど暑かった夏が、急に涼しくなったことに一抹の寂しさを感じる私だが、私の人生の持ち時間を、一日一日大切にして生きていきたいと改めて思う。
そうそう、思い切って、このホームページの私の写真を変えてみた。2003年の独立以来、実は、気になりながらも、写真を変える勇気が一度も出なかった。ようやく自然な気持ちで“変えてみようかな”と思えるようになった。私の心、一歩前進!と思うと、なんだか自分で自分が可笑しくなる。こんな私でも、少なからず誰かのお役にたてることを涙が出るほど嬉しく思う。改めて、胸をはって、これからの私の持ち時間を生きていきたい。そんなつもりで、今までよりも、もう少し明るく笑った写真に変えてみた。いかがだろうか。
皆さんとの出逢いとつながりに、心から、心から感謝しています。
ありがとうございます。
坪田 まり子