川内原発再稼働:知事が同意 規制審査後、年明け以降に

毎日新聞 2014年11月07日 21時26分(最終更新 11月07日 22時14分)

記者会見で川内原発再稼働に同意を表明した後、質問に答える伊藤祐一郎・鹿児島県知事=鹿児島市で2014年11月7日、和田大典撮影
記者会見で川内原発再稼働に同意を表明した後、質問に答える伊藤祐一郎・鹿児島県知事=鹿児島市で2014年11月7日、和田大典撮影

 鹿児島県議会(定数51、欠員2)は7日、臨時議会を開き、同県薩摩川内(せんだい)市に立地する九州電力川内原発の再稼働を求める陳情を採択した。これを受け、伊藤祐一郎知事は会見で「諸般の状況を総合的に勘案して再稼働はやむを得ない」と述べ、再稼働に同意した。福島第1原発事故後に策定された原発の新規制基準に基づき原子力規制委員会が審査している全国13原発の中で、立地県の同意は初めて。一連の地元手続きは終わったが、規制委による川内原発の審査が終わっておらず、再稼働は年明け以降になるとみられる。

 伊藤知事は判断理由として、(1)原発の必要性と安全性、事故が発生した場合に国が責任を持って対処することが政府から示された(2)国の新規制基準に合格し、安全性が確保された(3)薩摩川内市と鹿児島県議会の判断が示された(4)周辺9市町で避難計画の作成が終了した(5)地元説明会で住民の理解を得られた−−を挙げた。

 知事は会見で「福島の事故で安全神話が崩れ、大変な状況になったことは確か」と原発のリスクに触れつつも、「資源が限られた日本で国民生活のレベルを守り、産業生活の活性化を図るためには、原発の稼働はしばらくやむを得ない判断だろう」と語った。

 その上で、国に対して、再稼働後の安全対策に政府として責任を持つこと▽避難計画充実のための支援▽立地自治体や周辺自治体の地域振興のための財政支援−−などを求めた。

 一方、知事会見に先立って開かれた県議会臨時議会は、再稼働反対陳情31件と賛成陳情1件を審議し、薩摩川内市の商工団体などから出された賛成陳情を、議長を除く賛成38、反対9(1人欠席)の賛成多数で採択した。

 知事と県議会の判断を受け、10月28日に同意表明していた薩摩川内市の岩切秀雄市長は「知事も同じ考えであったということで、ほっとしている」と述べた。同市と県の結論が出たことで、一連の地元手続きは全て終了した。

 九電の瓜生道明社長は「県知事、県議会のご判断を、大変重く受け止めております。関係者の皆様のご理解とご協力に改めてあつくお礼申し上げます。今後とも自主的かつ継続的に安全性向上に取り組んでまいります」とのコメントを発表した。

最新写真特集