フランスは週35時間労働制という制度があり、週に35時間以上、労働者を働かせてはいけないという法律があるらしい。過労が騒がれて久しい日本から見ると天国のように思えるが、なぜかうちの会社には、そんなフランスからわざわざ日本まで来たフランス人が3人も働いている。
うちの会社は、ブラックではないが給与が高いわけでもないし、忙しい時期は結構な残業が発生するなど、法令違反があるわけではないが、決して良い労働環境とはいえない。まあ、一般的な日本の中小企業だな。
そんな会社に、なぜわざわざ国境を超えてまで働きに来たのか? 疑問に思って、一緒に食事をした時、「祖国で働かねーの? フランスだと労働時間が凄い短いみたいじゃん」みたいに聞いてみたんだけど、帰ってきた答えは意外なものだった。
実際、日本のような過労自殺の話はなくても、仕事上でのストレスで自殺するというニュースはフランスでもかなり多いそうで、労働者の天国とは決して言えない状態らしい。
日本で、たまにヨーロッパで働いていて「ヨーロッパの労働環境は素晴らしい。日本も見習わないと」というブログを見かけることが有る。もちろん、日本の労働環境は改善点は山ほどあり、ヨーロッパの国々に見習うべき点は山ほどあるだろうが、そのブログを書いてる人も、ヨーロッパの労働事情をすべて知ってるわけではない。ヨーロッパで働けるような日本人が無能なはずはないので、おそらく「無能なヨーロッパ人」と付き合いがいないので、どういう環境で働いてるのかを知らないのだろう。
今回、話したフランス人も、日本で日本語を使って仕事をしている以上、決して無能なはずはないのだけど、それでも一見して素晴らしい自国の労働環境をに思うところがあるらしい。話を聞いて、自分は単純で一律な労働時間削減も問題があるのかなと漠然と思った。
そのフランス人が言ったことじゃないが、フランスはG7の中で、ロシア、日本についで自殺率が高い国とのこと。日本の過労は直さないといけないが、単純に労働時間を無理やり下げても、歪みが出るので、きちんとした制度設計が求められそうだなと思った。まあ、どういう制度が良いのかは分からないのだけど(我ながら、しまらねー落ちだな)。