慰安婦問題の記事を書いた元朝日新聞記者の植村隆氏(56)が勤める北星学園大(札幌市厚別区)に脅迫電話をかけたとして、札幌区検は7日、新潟県燕市の元施設管理人の男(64)を威力業務妨害罪で札幌簡裁に略式起訴した。求めた罰金額は明らかにしていない。

 札幌地検によると、男は9月12日、自宅から同大に電話をかけて「(植村氏を)辞めさせないのか。ふざけるな。爆弾を仕掛けるぞ」などと脅し、業務を妨害したとされる。5月以降、植村氏の退職などを要求する脅迫文が同大に届いた3件の事件について、地検は別人による犯行とみている。

 北海道や東京、大阪などの弁護士グループ380人は7日、脅迫文が届いた事件について、容疑者不詳のまま、威力業務妨害の疑いで地検に刑事告発した。グループ共同代表の郷路征記弁護士は札幌市内で記者会見し、「事件の抑止に大切なのは捜査機関の力と世論の力だ」と話した。

 告発状は「意に沿わない記事を書いた元記者の失職をもくろみ、匿名の脅迫文を送る行為は言論封じのテロというべき卑劣な行為だ」と非難し、厳正な捜査を求めている。