口コミだけで超富裕層集める-成長首位のファミリーオフィス
11月7日(ブルームバーグ):エリオット・ドーンブッシュ氏は米フロリダ州マイアミで限られた顧客を対象にしたファミリーオフィスを運営している。このままこぢんまりした企業のままでいたいというのが同氏の願望だ。
ここ2年間でその願いは一段と実現困難になった。ブルームバーグ・マーケッツ誌のファミリーオフィス年間番付で、ドーンブッシュ氏(40)が最高経営責任者(CEO)を務めるCVアドバイザーズ が大手ファミリーオフィスを抑え、2年連続で成長率首位となったからだ。同社の運用資産は3月末までの1年間で40%増の35億ドル(約4000億円)に膨れ上がった。前年は倍増だった。
ドーンブッシュ氏によれば、同社はマーケティングを一切行わず、全ての顧客を口コミで集めている。富裕層顧客は今年これまでに9家族増え、計50家族となった。「われわれの顧客はよく友人を紹介してくれる」と同氏は語る。
世界で1000社余りの企業を対象にまとめたブルームバーグ・マーケッツの資産規模ランキングでCVは48位に入った。1位はHSBCプライベート・ウェルス・ソリューションズで、運用資産は1435億ドル。ただ、同社と2位のノーザン・トラスト の成長率は共に3%だった。
キャップジェミニとRBCウェルス・マネジメントの年間リポートによると、投資可能な資産が3000万ドル以上の「ウルトラリッチ(超富裕層)」は、2013年に全世界で15.6%増えて12万8300人となった。CVやHSBC のようなファミリーオフィスの顧客になりそうな人々だ。ウルトラリッチの資産は18兆2000億ドルと、全富裕層の保有資産の34.6%を占めた。
中南米出身の顧客CVの顧客は中南米出身者が多い。コロンビア生まれのドーンブッシュ氏はベネズエラで育ち、そこで共同創業者アレックス・マン氏(40)と出会った。パートナーのマシュー・ストーム氏(41)は米コネティカット州出身だ。
中南米が13年に地域別では伸び悩んだにもかかわらず、CVは成長率ランキングで首位に立った。中南米の超富裕層の資産は1.7%増。これに対し北米顧客の資産の伸びは19.4%だった。
CVの成長は北米の動向と軌を一にしている。新規顧客のほとんどが米国出身だからだ。
CVが大手ファミリーオフィスを打ち負かしている理由は、親身になって顧客を世話すると約束するからだとドーンブッシュ氏は説明する。顧客は常に同氏もしくは同氏のパートナーのうちの1人と話ができる。最近の富裕層はほとんどは起業家かその血筋を引いており、同じような気概を持つ人たちと一緒に仕事をしたいと考えていると同氏は話す。
成長産業助言を求める顧客が増加しているファミリーオフィスは成長産業だ。PNCファイナンシャル・サービシズ・グループ 傘下のホーソーン(11位)を率いるトム・メルチャー氏は、ここ3年半で社員を90人増やし計186人の陣容にした。
ドーンブッシュ氏も社員を採用しているが、同氏と共同創業者が顧客と直接コミュニケーションを取るスタイルを変えない方針なので、今後の成長には限りがある。すでに見込み客を断らなければならないという状況となっている。
記事に関する記者への問い合わせ先:ポートランド Anthony Effinger aeffinger@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Michael Serrill mserrill@bloomberg.netAnthony Effinger
更新日時: 2014/11/07 09:49 JST