日本株の日銀緩和効果は短命、50日後は元通り-バークレイズ
11月7日(ブルームバーグ):日本株をリーマン・ショック前の水準まで押し上げた日本銀行の追加金融緩和。バークレイズ証券の北野一マネージングディレクターは、株価への緩和効果は長続きしないだろうと予想する。
過去の日銀政策の株価への影響について、同氏は2001年から13年までの過去3回の「サプライズ」があったケース、01年から06年までの当座預金残高の目標値を引き上げたケースの2つに分類。政策発表日の日本と米国の相対株価を100とし、日米相対株価 (TOPIX÷S&P500種)のパフォーマンスをそれぞれのケースで比較した。
3回のサプライズケースで相対株価がピークに達したのは、量的緩和を開始した01年3月19日からは13営業日目、物価安定のめどを採用した12年2月14日からは18営業日目、質的・量的緩和を導入した13年4月4日からは34営業日だった。北野氏は、サプライズ効果が「今すぐ終わるというのはない」とした半面、相場を押し上げるのはせいぜい10日から30日程度で、「50日もたてば、緩和をしたときのレベルまで戻ってきてしまう。それほど長く続かない」とみている。
3回のサプライズケースは、金融調整の操作目標が金利から量に変更されたり、インフレ目標への言及、これまで試した政策の総動員など金融政策に新機軸を含んでいたが、「今回は量を増やしただけ。いわゆる『サムシング・ニュー』はない」と同氏。その点で、今回の比較対象とすべきは01-06年に当座預金残高の目標値を随時引き上げていたケースで、このケースでは「ほとんどインパクトはない」と言う。
急騰主役は歴史的「空売り」北野氏は、今回の株価の反応が大きくなった要因として、10月30日時点で36.7%と、08年の統計開始以来で最高水準となっていた空売り比率を挙げる。さらに、投資家の間では昨年4月の日銀決定後に株価が大きく動いた記憶があり、「それを期待して前回と同じような行動を取りあえずとった」との見方を示した。
ただ、インフレ期待の高まりに働き掛けた質的・量的緩和策の実際の効果が限られたことを多くの投資家が知っており、今回は「前回のようなピュアな期待にはならない」とも話している。
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更新日時: 2014/11/07 08:38 JST