[PR]

 ヤフーは7日、唾液(だえき)から肺がんなどの病気に関係する遺伝子を解析するサービスを始めた。集めた遺伝子情報を広告に使うことを個人情報保護方針に盛り込み、将来的に医薬品などの個人向けの広告を打てるように備えた。だが、「究極の個人情報」である遺伝子情報に対し、慎重な利用を求める声も上がっている。

■「究極の個人情報」どう保護する

 ヤフーのサービスは、唾液に含まれる遺伝子から、肺がんや脳卒中などの生活習慣病のリスクと、お酒の強さや太りやすさなど体質面の計290項目を調べる。料金は4万9800円(税込み)で、別に有料で医師や栄養士の助言も受けられるようにした。

 ヤフーは参入にあたり、6月に個人情報保護方針の規約を改め、広告配信に利用できる「特性情報」に遺伝子の解析結果を加えた。規約に同意しないとサービスは受けられない。今夏に解析に必要なサンプルデータを集めるため、約1万人を対象に無料体験を実施しているが、その参加者からも将来的に広告に使えるよう同意を得ている。

 ネット広告は同社の売上高の7割を占める主力事業だ。ネットの検索結果などから個人の関心がどこにあるのかを調べ、広告に生かしている。同じように遺伝子検査の結果に応じて広告が打てれば、健康食品や医薬品などの業界で需要が見込める。

 経済産業省が策定した「個人遺伝情報保護ガイドライン」は、遺伝子情報を扱う事業者が使う目的を明確にし、利用者に説明して同意を得ることを義務づけている。ヤフーの対応はこれに従ったものだ。

 ただ、無料体験に参加した東京都内在住の会社員男性(45)は「規約は読んだが、広告に関する記載は覚えていない」と話す。

 個人情報保護に詳しい筑波大学の石井夏生利(かおり)准教授は「遺伝子には未解明な部分も多く、無限のリスクがあることをわかりやすく説明してから同意を得ることが大切だ」と指摘する。