2014年11月6日(木)、新宿の福家書店にて道重さゆみの握手会が行われた。自身の11冊目となる写真集「YOUR LOVE」発売にあたってのこの握手会は、整理券1700枚分が完売。ピンク色のTシャツを身にまとった、あるいは心にまとった多くのファンたちが、新宿サブロードの地下街に集ったのであった。



筆者もまたその現場にいた。道重さゆみという稀代のアイドルとの初めての握手。そして道重さゆみは11月26日にモーニング娘。'14を卒業することを発表している。少なくともモーニング娘。の道重さゆみとは最後の握手となることは間違いない。つまりこの握手は、最初であり最後だ。そういったときに人は戸惑う。自分を見失う。筆者もまたそうだった。実際、人生で5本の指に入るほどに緊張し、握手会が終わったあとの疲労困憊たるやない。事前に想像はしていたが、それ以上だ。神と手を握るということは、そういうことなのだろう。

そこで今日は、筆者の道重さゆみ握手会から得た教訓を皆様にお伝えします。いつ何時、神と崇めるアイドルと握手する機会が訪れるかは誰にも分かりません。是非とも参考にしてください。

(1)前日の夜は早めに就寝する

とにかく体調管理は万全に。筆者の場合、握手会の1時間前からは空えづきが止まらず、列に並んでからは目の焦点が合わなくなり非常に恐ろしい思いをした。これは一切の誇張なく事実である。自分が体調不良により握手会に参加できないのは自己責任だが、倒れてしまっては関係者やスタッフの皆さん、何よりアイドル本人に迷惑をかけてしまう。もし万が一失神せざるを得ない状況に陥ったら、出来る限り遠くまで走ってからぶっ倒れよう。

(2)身だしなみに気をつける

神とかなりの至近距離で出会うのだから、最低限の身だしなみは必須だ。もちろんそれぞれ生まれ持ったものはあるので自ずと限界は生じるが、失礼にあたらないよう努力はしておきたい。皆さんの中には髪型を自分のツバでセットするという方もいるかもしれないが、世の中には「ムース」あるいは「ジェル」というものが存在している。初耳の方はインターネットで検索してみよう。

(3)タオルか手ぬぐい&フリスク的なものは必需品

握手会直前になると、よっぽどの強い人間でない限り、自律神経が完全におかしくなる。汗が止まらなくなったときのために、タオルか手ぬぐいは必須だ。また、胃液が逆流することも多々あるので、フリスク的なものも用意しておこう。汗腺や胃自体を事前に手術で除去しておくというのも一つの手ではあるが、それはあくまでも最後の手段。まずは出来る範囲で、最大限努力するのが吉だ。

(4)逃げ出さないように自分を叱咤激励する

神と手を繋ぐという異常さを理解しているなら、直前になって逃げ出したくなるというのも無理のない話。だが人は人生において、逃げ出してはいけない場面が三度あると言われている。一度目は母親の胎内から出るとき。二度目は結婚を申し込むとき。そして三度目が握手会だ。逃げ出したくなったら、そのアイドルがこれまでに歌ってきた曲の歌詞や、これまでの活動を思い出そう。あなたの推すアイドルは、一度でも大事な勝負から逃げ出したことがあっただろうか? 答えがNOなら、逃げてはいけない。あなたの推しに、ふさわしいあなたになろう。

(5)握手する前から勝負は決まっている

ほとんどの握手会においては、自分の直前に並んでいた者との握手が終了してから自分が握手をするまでに、1〜2秒程度のブランクがある。あなたの握手会は既にそこから始まっているのだ。その1〜2秒のあいだで、何か言葉を発するのか、あるいはじっと目を見るのかはあなた次第だが、この貴重な時間を無駄にしてはいけない。手を握る前から握手会は始まっている。ここが戦いの場所だということを、ゆめゆめ忘れてはならない。

(6)記憶が飛ぶのは当たり前

原則として、実際に握手するときの記憶は完全に飛ぶ。基本的に握手会というのは日頃の感謝の気持ちをファンからアイドルへ伝える場所なので、言葉を発せざるを得ないわけだが、人間の脳の容量の問題もあるため「言葉を発する」を選択すると「記憶に残す」という機能は停止する。どんな服を着ていたか、どんな返事をしてくれたか、などは一切記憶には残らない。だがそれは、当たり前の話なのだからどうか安心してほしい。記憶ではなく、思い出と事実だけを胸にそっと書き留める。握手会とは、そのようなものだ。

(7)その誇りを胸に抱いて生きる

神と握手をするという奇跡的な体験を得たあなたは、その時点で既に特別な存在である。握手して終わりではない。むしろそこからが始まりなのだ。自分は自分の信じる神と握手したという誇りをもって、その先の人生を生きよう。あなたの手は、神と触れた手だ。あなたの肉体は、神と触れ合った肉体なのだ。だからあなたは、命を懸けて推したアイドルに対して、恥ずかしくない生き方をしなくてはならない。自分に出来ることからで構わない。だけど誇りをもって、世の中を少しずつ素敵なものにしていこう。それはあなたにしか出来ないことだ。一度きりの握手が、世界を変えていく。手をつなごう。平和でいこう。あなたの推す神から与えられた愛を、日々ふりまいて生きていこう。そうやって生きられないなら、いくらなんでも、ちょっとカッコ悪いから。

<結論>
というわけで道重さゆみさんのモーニング娘。'14ラスト写真集「YOUR LOVE」はワニブックスさんから絶賛発売中です。何卒お買い求めのほど、宜しくお願い致します。

文:相沢直