厚生労働省は7日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会で、75歳以上の高齢者の健康づくりを強化する案を示した。医療費を抑えるため、糖尿病の重症化や低栄養を防ぐことなどに向けた訪問指導を拡充する。さらに、今は努力義務にとどまる健康診査の実施を、法律で義務付けることも検討する。
75歳以上は約1600万人で全人口の1割強だが、医療費でみると約15兆円と全体の4割近くをも占める。糖尿病の進行や栄養不足で病状が悪化するとさらに医療費がかさむため、管理栄養士や保健師ら専門家による訪問指導を増やす考えだ。
また、健診は74歳以下の健康保険では実施義務があるが、75歳以上は努力義務にとどまる。厚労省は来年の通常国会に医療改革の法案を出すのに合わせ、健診の義務化を検討。ただ国費補助を見込むため、財務省との調整が課題となっている。
同日の医療保険部会では、大企業で退職後も加入できる計61の健康保険組合の規制を緩めることも提案した。健保財政の改善に向け、退職者の保険料の引き上げや新規加入の制限ができるよう組合の裁量を広げるもの。異論はなく、法案に盛り込む方向で固まった。
厚生労働省、厚労省