遊戯史研究家にして、書籍などでたくさんのゲームのルールを紹介されている草場純さんに、「今回の目玉」といい添えて資料を送っていただいた時、本当に驚きました。
今までずっとそうだと信じられていた「ある定説」が完全に覆ったからです。
それが掲載されているのが1679年(延宝七歳)に書かれた『雙陸手引抄』。
■ 定説を覆す箇所
まずは、その場所の画像を御覧ください。
バックギャモンをプレイされている人がご覧になると、「え? 珍しい形かもしれないけど、これあり得る陣形じゃない?」と思えるかもしれません。でも、盤双六とバックギャモンの両方知っている人が見たらどうでしょう。
少なくとも、私は「ええええええ!」となりました。
その理由なのですが……。
これ、盤外に出ているコマって、「盤双六には存在しない」と言われ続けてきた「ベアリングオフ」をした後のコマですよね!?
というのも、「切って=ヒットして」外に出ているコマなら、こんな陣形がありえるはずがないですし。ヒットされた駒なら、こんなに貯まる前にボードの中に入ってきてるはずですし。(ものすごい確率でゾロ目などを振り続けたら別ですが……でも、そんな状況をわざわざ書で解説するとは思えません)
ベアリングオフがあったと思われる図は他にもあります。
上の2つの図のように、「もし、ベアリングオフがないルール」=「先に自分の陣地に全部コマを入れたら試合はそこで終わり」なら、わざわざサイコロ振らなくてもいいじゃん……と思われる解説があるのです。(というのも、ベアリングオフがないルールなら、後一回降ったら終わり、あるいはすでに終わっている陣形なのですから)
よって結論。
1679年当時、盤双六にはベアリングオフがあったのです!
※ですが、1811年に発表された『双六独稽古』にはベアリングオフのルールはありません。つまり、1679年から1811年の間にルールの変遷があったのではないか、と草場純さんは推測されています。
■ この『雙陸手引抄』はだれでも見れる!
草場純さんが所蔵している龍谷大学に持ちかけ、お金を払ってマイクロフィルム化してもらったそうです。そのお陰で、今ではだれでもオンライン上にある資料を見ることができるのです!
草場純さん本当にありがとうございます!
雙六手引抄(龍谷大学図書館 貴重資料画像データベース)
と、いうわけで。この素晴らしき宝の山──『雙陸手引抄』をご覧になって何かお気づきになられた方、よろしければ案や説などをご教授いただければ幸いです。
本当、研究はまだまだ手付かずに近い状態のようですので。