千葉県安房郡白浜町がEM活用による環境浄化条例を施行
〜町長が<白浜水質浄化研究会>のボランティア活動を評価〜
町長がEM活用による環境条例化を決断
 南房総のリゾート地として有名な千葉県白浜町(早川一郎町長・人口6000人)では、平成15年4月から「白浜町生活雑排水等浄化に関する規則」を施行し、官民一体となったEM活用による本格的な環境改善活動に乗り出した。同規則(抜粋注記)は、町の責務、住民等の責務、事業者の責務などを包含する画期的なもので周辺市町村からも注目されている。既に隣接する鴨川市でも同様な動きの一環として、平成15年6月末にEMの導入とEM活性液の無料配布を決定している。 

<白浜水質浄化研究会>の実践活動と提案が結実
 同研究会(大平晃也会長)は、<EM菌を活用した町内の水質改善を図る>事を目的に商工会婦人部が中心となって平成11年5月に結成された。平成12年5月からは、EM活性液・米のとぎ汁発酵液やEMボカシだんごの排水溝投入等を開始し、更に、EMの効用や成功事例などの情報を、自治会組織を利用し町民に提供する等、積極的なボランティア活動を展開している。平成14年11月には、3年間の実践と浄化効果を基に、同町長あて要望書「EM培養装置、置設置場所並びに関連資材の提供」を提出していた。こうした活動に注目していた早川町長は、平成13年から臨時的処置としてのボランティア活動支援を継続していたが、平成15年度からは条例化による<官民一体の生活雑排水等浄化>を町長自らが決断した(同大平会長)もの。

白浜町・官民一体の協力体制
 白浜町では、平成15年4月にEM培養装置・百倍利器を役場敷地内に設置し、町(土木環境課)と同研究会メンバーが協力してEM活性液の培養(週1回・200リットル)を実施している。培養した活性液は、河口付近の汚染が問題となっていた「大石川」流域の浄化作戦(上流部分からの点滴投入)に活用されている他、町民に無料で提供され、各家庭での使用や近隣排水溝への投入、更に、米のとぎ汁発酵液づくりに活用されている。
 こうした活動は平成15年6月11日のNHK総合テレビでも約7分間放映され大きな反響を呼んでいる。今後は、同水質浄化作戦の成功を揺るぎ無いものとするため、瀬戸内海や有明海流域での浄化成功事例を参考に、拡大活性液(1トン級)の導入、インストラクターの養成など、EM関連機関による技術支援が期待されている。

注 「白浜町生活雑排水等浄化に関する規則」抜粋 第3条(町の責務)
 この規則の目的を達成するため生活排水等浄化に関する次の各号に定める施策を計画的に実施するものとする。 (1) 生活排水等浄化に関する意識の啓発及び高揚に関する事業
(2) 生活排水等浄化に関し、住民などが実施する自主的活動に対する支援事業
(3) 生活排水等浄化に関する事業の推進及び活動団体等の育成、協働体制支援事業
(4) 町はEM活性液を予算の範囲内において提供する事業
(5) その目的にそった町が実施することが適当と認められる事業
第4条(住民等の責務)
 住民等は、生活排水等の浄化に心掛けるとともに、町が行う事業に対し支援することとする。
2 住民等は生活排水・調理くず及び廃食用油等を適正に処理するとともに使用する洗剤に配慮し、EM菌(有効有用微生物群)等の使用を考慮し、河川・海等の水質汚濁の防止に努力することとする。
3 農薬又は化学肥料等を使用する者は、これらを適正に処理し河川・海等の水質汚濁の防止に努力することとする。
第4条(事業者の責務)
 事業者は生活排水等の浄化の推進を図るため、国・県及び水質保全関係機関等と連携し、積極的に協力し合うこととする。
2 事業者は、河川・海等の水質浄化のために、事業用排水を適正に処理し、水質汚濁の防止に努力することとする。

館山市でも市民ボランティア団体がEMによる河川・海の浄化活動を開始!
〜NPO安房の海を守り育む会による宇田川浄化作戦〜
 里見八犬伝のモデル地として有名な千葉県館山市(人口52000人)では、平成14年4月からNPO安房の海を守り育む会(中山邦松会長)による河川・海の浄化活動が開始されている。同会は、隣接する白浜町のボランティア団体白浜町水質浄化研究会の活動に刺激を受け、同研究会の協力を得て平成13年7月に設立。平成14年4月には、地域内小学校(舟形小)と協力して地域内河川の清掃、EMだんごの投入を実施している。更に、同年6月には、EM培養装置・百倍利器をメンバー(福原一事務局長)宅の敷地に設置してEM活性液の培養を開始し、このEM培養液に近隣そばや(2店)が協力して作る米のとぎ汁とそば湯のEM発酵液を加え(計、週500〜800リットル)水質汚染と悪臭で問題となっていた宇田川上流5ヶ所に投入している。既に、悪臭が消えヘドロが減少するなどの効果を確認しており、館山湾のアサリ復活を目指している。また、同活動の継続拡大のためには行政の協力が不可欠として館山市長への働き掛けも進めている。

館山湾のアサリ復活を目指すNPO安房の海を守り育む会のボランティア実践活動(舟形小近くの宇田川)
 今後は、南房総地区一帯(館山市、白浜町、千倉町、鴨川市など)の河川・海の海浄化を実現するため、行政、住民、学校、事業者等による更なる協力体制の構築とEM関係機関による技術支援が期待されている。


岩手から"お堀、河川、福祉、建物、樹木、生ゴミ等"への活用状況発進
 EM先進地の一つである盛岡を中心とし、EMを幾多の環境改善に活用して大きな成果を得ている岩手の活動状況について、U-ネット岩手(高橋比奈子運営委員)と(株)EM研究機構の方々からお話をうかがった。
 これまでの報告にもあった盛岡市一ノ倉邸のアメリカシロヒトリに対するEM活性液の散布は、継続実施されてほぼ完璧に抑制された上に、蚊の発生も少なく、来訪者に鬱蒼とした癒しの場が提供されている。
 同市内、高松の池の透明度も徐々に改善され、流入口にはヘドロもなく、穴あき病の鯉も減り、良く成長した泥鰌も釣れて当然臭気も無くなった。散歩等で市民により楽しまれる公園となっている。

 盛岡での、U-ネットとして最初の活動になる『岩手公園のお堀の浄化』作戦は平成13年5月からスタートし、上流池(埋立により、池が連結状態の堀)のヘドロは殆ど消えて、下流池においても透視度がかなり改善されてきている。その他には学校のプールの清掃、マツクイムシ対策等と多用途に活用され、それぞれに成果を得て認知度も高まり、本年1月24日に開催された北上川流域市町村連携協議会の平成14年度市長村長会議においては、堀の浄化作戦開始時の目標の一つであった、EMによる北上川浄化活動への第一歩となる『有用微生物(EM菌)による環境改善推進事業』が、モデル市町村(水沢市、江刺市、千厩町、川崎村、滝沢村)において、U-ネット及び(株)EM研究機構等の支援による汚泥解消と汚水浄化を目標とした事業として開始されることになった。

 また取材当日には、事務所において、U-ネット会員の中村秀子さんと(株)EM研究機構の担当者による、試行錯誤で修得したノウハウに基づく米のとぎ汁発酵液と廃油を使ったEM石鹸作りの講習会が行われており、前の講習会で作った石鹸をためした出席者からは、繰り返し「しっとり感が違う。」との声があった。このように日常生活の中における環境改善活動も、事務所や公共施設等を利用して行われている。

 昭和54年からスタートした盛岡・紫波地区のリサイクルコンポストセンターは、生ゴミを好気性発酵処理する堆肥化施設であり、約30,000世帯を対象として20t/日処理されている。この施設の臭気対策として、今年の4月からU-ネットの支援と(株)EM研究機構の指導で、10倍程度に希釈したEM活性液の散布が試験的に開始され、既存施設の操業に影響が無い事が確認されて今後全操業ラインに使用される事となった。
 一関では、U-ネット会員の佐藤恵子さんが、高橋運営委員の担当するラジオ番組『EMアースコミニュケーション』でEMのすばらしさを知り、盛岡事務所を訪ねて話し合ったことをきっかけに、同市内にある(社)平成会のブナの木園に昨年6月にボカシ作りを働きかけたところ、5〜6年前からEMに興味を持ち、良いと思うことに関しては『やる事はとっととやる』との方針を持つ小野寺園長との話も速やかに進んで、7月には百倍利器を購入。その後ボカシ作りの傍ら東北地方で水質ワースト1の磐井川の支流、吸川への活性液も投入されている。この川には、市や市民が園から購入した活性液を米のとぎ汁発酵液にして家庭から投入していることもあり、今年の発表ではワースト11迄改善され、7月5日には27名による『吸川浄化EM実験隊』も結成された。また、働きかけた時点で建築計画が決まっていた知的障害者福祉工場(豆腐工場)にもEMを活用する事となり、コンクリート、塗料、クロスの糊、転圧砕石にEMセラミックスCパウダーを主体にEMを混入し、新築直後から違いを感じるとのコメントがあった。なお、園生は非常ににこやかであった。

 善循環の輪の友好団体である川崎村女性協議会による平成14年からの千厩川の浄化も、米のとぎ汁発酵液の投入で悪臭が消えたのみならず、過去50年間で初めて集団で鮭が遡上しており、EMパワーについて特筆すべき事項である。
 盛岡事務所の(株)EM研究機構の研究員は若手集団ではあるが、EMで環境が改善されることを信じ、各所からの支援や研究要請に対しては現場主義を貫いていることにより、熱い信頼を受けている事をヒシヒシと感じることが出来た。
(さらに今年は、盛岡市にある織座(みちのくあかね会)の商品として、世界唯一と想定される手紡ぎ手織りの羊毛製品でEMを使用したマフラーを200本製造する予定ですので、興味のある方はU-ネット岩手支部に連絡して下さい。)


TV放映実績:全国各地でEM活動のTV放映がドンドン増えています
近年、全国各地の行政や、民間ボランティアのEMによる環境改善活動が活発になるとともに、これらのEM活動が、NHKや民放で取り上げられる機会が急に増えてきました。7月末現在、事務局で把握している2002年以降のTV放映の実績をお知らせいたします。漏れているものも多いかと思います。その点ご容赦ください。今後とも、テレビ放映がありましたら事務局までお知らせくださいますようお願いいたします。(なお、海外でもEMの取り組みは大きく報道されています。)

2003年
7月 福島放送「水質浄化の取り組み 鶴ヶ城のお堀にEM菌」福島県会津若松市
7月 NHKニュース第2回魚庭(なにわ)の海づくり大会(大阪湾元気玉)大阪府泉南市
7月 KTN(テレビ長崎)「中津良小の河川浄化の取り組み(環境学習)」長崎県平戸市
その他NIB(長崎国際テレビ)でも同テーマの放映
6月 UTY(テレビ山梨)「その後の峡南衛生組合(EM使用の焼却施設)」山梨県中富町
6月 NHK首都圏ニュース「微生物利用 汚れた砂浜 きれいにする試み」神奈川県逗子市
6月 NHKいっと6けん「微生物で水質浄化」千葉県白浜町
6月 あいテレビ「きれいなお堀の水を取り戻せ(松山城)」愛媛県松山市
5月 IBC(岩手放送)「保育園児による盛岡お堀へのEM団子投入(聖光保育園)」岩手県盛岡市
その他岩手朝日放送、めんこいテレビ、同日放送
5月 KUTV(テレビ高知)「がんばれ高知!!eco応援団:緑と清流の再生」高知県池川町
5月 福島テレビ「シンク21 環境はビジネスになる」福島県猪苗代町
5月 NHKニュース「山口県漁連女性部での講演:EMによる海の浄化」山口県下関市
5月 NHKビデオレター「青森市合浦公園へのEM散布」青森県青森市
4月 NHK「商工会女性部による環境活動(環境コマーシャルとして4/28〜5/2放映)」福島県船引町
3月 NHKニュースフレッシュ山梨「生ゴミ資源化でまちおこし」山梨県南部町


2002年
12月 NHKおはよう日本「生ごみリサイクル一年目の課題」茨城県取手市
11月 フジテレビスーパーニュース「白秋祭(EMによる運河の浄化)」福岡県柳川市
10月 NHK@アットマーク岩手東北各駅停車「川崎村で千厩川浄化」岩手県川崎村
10月 埼玉テレビ「菌の力で川をきれいに(新大宮バイパス沿い排水路)」埼玉県戸田市
9月 NHKおはよう日本「公共事業脱却への試み(EM農業:北浜建設)」北海道遠別町
その他TBS系列でも10月に全国放映「日本の現場(建設会社の生き残り大作戦)」
9月 テレビ岩手「秋田十文字町から盛岡城堀にEM投入」岩手県盛岡市
8月 めんこいテレビ「釜石一中盛岡城堀にEM投入」岩手県盛岡市
8月 IBC(岩手放送)「一ノ倉邸アメリカシロヒトリ対策」岩手県盛岡市
8月 TNC(テレビ西日本)「発掘あるある大辞典(乳酸菌:干潟の浄化)」福岡県大和町
7月 岩手朝日放送「排ガスの有害成分削減に効果!?」岩手県盛岡市
7月 NIB(長崎国際テレビ)「水があぶない(河川の浄化)」長崎県諌早市
6月 RCC(中国放送)「EM菌で!? ヘドロが消えた!!」広島県安芸津町
6月 テレビ岩手「米のとぎ汁の有効活用法」岩手県川崎村
6月 テレビ都南(ケーブル)「EMボカシ作り講習会」岩手県盛岡市
6月 岩手朝日放送「小学生がプールを清掃」岩手県盛岡市
5月 日本TVズームインアイ「生ゴミリサイクル(区立二之江中学校)」東京都江戸川区
5月 NHKおばんですいわて「無量光院跡アカマツ健在に」岩手県平泉町その他IBC(岩手放送)、岩手朝日放送、同日放映
4月 岩手朝日放送「一ノ倉邸にEM散布(アメリカシロヒトリ対策)」岩手県盛岡市
4月 NHKとことんふくしま「郡山6中の環境学習」福島県郡山市
4月 NHKとことんふくしま「EM活動家江藤氏」福島県須賀川市
4月 テレビ岩手「学校のプールにEM菌(盛岡市立緑ヶ丘小学校)」岩手県盛岡市
3月 NHKニュース「微生物でお堀の水を浄化」岩手県盛岡市
その他IBC(岩手放送)、岩手朝日放送、テレビ岩手、同日放映
1月 テレビ岩手「EM菌で排ガス実験(岩手県北バス)」岩手県盛岡市


〜地域全体が善循環の輪〜 ―三重県尾鷲地区の活動から―
 三重県尾鷲地区の紀州EMひろば(山路誠二代表)では、主なメンバー9名を中心に、地域全体にEM実践の細かなネットワークが広がっている。地域での取り組みが始まるきっかけとなったのは、3年前の11月、地元尾鷲高校の自然環境研究部がインターネットの情報からEMを知り、地域を流れる北川の浄化を始めたことから。周辺地域の方もこの悪臭には悩んでおり、この活動を見かけた近所に住むご婦人が、「高校生がやっているのに私たちがやらないというのは・・」との思いで山路さんへ呼びかけをして、EM浄化と勉強会が始まった。北川へのEM効果は3ヶ月で出てきて、ヘドロと悪臭がなくなり、あゆやボラが戻ってきた。
尾鷲市内を流れる北川
その後活動を続け、一昨年の6月に県の環境活動創造助成金へ申請をしたところ100万円の助成金が出たので、百倍利器を購入。尾鷲市長もEMに対しての理解があるようで、三重県でのEM技術交流大会にも参加し、EM効果のデータを検証するため今年100万円の予算をつけた。市役所で実験を行い、指導は紀州EMひろばのメンバーが行なっている。EM講習会はすでに30回を越え、地元の参加者は口コミで広がってきた。昨年3月には早くも比嘉教授を招いた講演会を開催し、活動はさらに広がった。地元漁業のブリが30年ぶりに大漁だったとのことで、EM関係者は「これはEM効果だ」と確信している。地区の自治会、婦人会の方々も皆熱心で、各家庭でのEM活用が環境浄化につながっていくということを実感しており、情報交換も交え熱のこもったEM談義に花を咲かせていた。やはり主婦の協力はEM活動には絶対のようだ。

 注目すべき点は、地域の活動を支える原点となるEM活性液を、百倍利器2器を使い、授産施設に委託して作っていること。紀北作業所向井分場の中村先生へ山路さんと副代表の山下さんが提案をし、「オープンな環境で地域の方との交流も行いたい」との気持ちも加えて理解を得、このシステムが実現した。作業員の皆さんの丁寧な作業が繊細な活性液作りという仕事にマッチし、お互いにメリットがあるようだ。配達・回収も週1回のペースで行い、地域の方との接点となった。月に1.3tもの活性液が配られ、収入はなんと約13万円。中村先生も「みんな生き生きと作業をしており、メインの仕事となった。良い仕事をもらい、万々歳です」とにこやかだ。500mlのペットボトルが1本100円で、一地区につき7〜800本出るという。百倍利器は常にフル稼動だがトラブルも無く進んでおり、地域になじんだ画期的なシステムといえるだろう。今後はこのシステムを導入する施設も増えてくるのではと期待も膨らむ。

 その他にも、第一次産業の海を活性化させ、EMをボランティアから産業として発展させたいとの願いから、地元のカキ養殖にEMを使う予定も立っている。これには、地面に捨てられ悪臭を放っていたカキの殻に、活性液を2回撒いただけで臭いがなくなり、業者の方が納得して取組むことになった、という経緯がある。また、釣り客が月に5000人も集まるチヌ釣りに、米ヌカに海水で作った活性液を加えてダンゴにしたものを、エサとして撒く予定も。実験をしたところ、ボラやウグイがびっくりするほどたくさん集まってきたとのことで期待は大きい。海を浄化するEM泥ダンゴ的な要素と、エサを食べた魚が健康になり、なおかつ糞をすることでEMが方々に散らばるという要素を兼備えた、非常に斬新なアイディアだ。早ければ今年中に結果が出ると思われる。

 海水で溶くことで、ミネラルを含ませると同時に扱いをし易くした糖蜜の開発など、研究はとどまるところを知らない。その他にタンクも数ヶ所に置かれ、地域の住民の理解も得ている。地域まるごとがEMによる善循環の輪に参加している印象を受け、「太平洋へ向けた活動」と言う大きな夢への広がりが実現へと向かっている。


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