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故人を生存扱いし生保不適正解約 福井、かんぽは事実認め謝罪

福井新聞ONLINE 11月6日(木)8時26分配信

 福井市の福井中央郵便局に勤務していた職員が、生命保険の解約手続きで、既に死亡した契約者を生きていることにするなど、不適正な処理をしていたことが5日、日本郵政グループ(本社東京都)への取材で分かった。契約者の息子で解約に立ち会った福井県出身の男性(51)=大阪市=は「なぜ不適正処理をしたのか、納得できない」と訴えている。同グループは不適正処理を認めている。

 同グループかんぽ生命保険広報部によると、生命保険は男性の親族にかけられ、契約者(受取人)は男性の父。親族、父が死亡した後の2008年9月、男性は保険金の扱いを確認するため、保険証書を持って福井中央郵便局を訪ねた。

 窓口担当者は、十分な説明をしないまま、被保険者と受取人の父がともに生きていることにし、男性に、父になりすまさせて解約書類に署名させた。被保険者が生存中の解約として扱い、解約還付金など計44万円を支払ったという。同広報部によると、担当者は不適正と知りながら、解約手続きをしたという。

 被保険者と受取人がともに死亡している場合、死亡保険金は被保険者の近い親族に支払うことが法律で定められている。当時、その権利を持つ親族はいないものと、男性も郵便局側も考えていた。

 同広報部は「あってはならないこと」と不適正処理を認め、「(担当者は)受取人がいないことで死亡保険金が国庫に帰属するのがかわいそうと考えた」と説明している。

 男性はその後、不適正処理に気付き昨年末、福井中央郵便局に説明を求めた。郵政グループは男性に謝罪した。また、本来の受け取りの権利者が別にいることが同グループの調査で判明し、男性に44万円の返還を求めているという。

 男性は「このような行為をした背景に、何か別の理由があるのではないかという疑念がぬぐえない。真相を明らかにしてほしい」と返還を拒否。「納得いく説明がなければ民事訴訟も考えたい」としている。かんぽ生命保険広報部は当時の窓口担当者らの処分について「社内規定により公表しない」としている。

福井新聞社

最終更新:11月6日(木)16時50分

福井新聞ONLINE

 

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