【スピーカー】
自由民主党ネットメディア局次長 衆議院議員 平将明 氏
株式会社独立総合研究所 代表取締役社長 青山繁晴 氏
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平将明の月曜カフェスタトーク ゲスト:青山繁晴独立総合研究所社長 ナビゲーター:平将明ネットメディア局次長
手作り感満載のスタジオに青山繁晴氏が来訪
平将明氏(以下、平):皆さんこんにちは。カフェスタトーク・シーズン7、司会のネットメディア局次長、平将明です。本日は大変ビッグなゲストにおいでいただきました。独立総合研究所代表、青山繁晴さんです。どうぞよろしくお願いします。
青山繁晴氏(以下、青山):よろしくお願いします。
(拍手)
平:テレビで有名な、これだけの人を呼ぶ予算はないんですが、まあご厚意に甘えてですけど……(笑)。ありがとうございました。
年末に青山さんといろいろなお話をさせていただいて、その中で「自民党もインターネットのテレビをやってるんですよ。出ていただけませんか?」って言ったら「喜んで」ということで。青山さんは大変お忙しくていらっしゃって、3月(当時)になりましたが約束を果たしていただいて、本当にありがとうございます。
青山:ありがとうございます。
平:今日はよろしくお願いいたします。
青山:(ネームボードを指して)こういう手作り感が何とも言えずいいですね。
平:そうなんですよね。与党になってもこんな感じでやっておりまして。
青山:こういう謙虚な自民党でいてほしいなあ。
平:しっかりと、あの、肝に銘じて……。
青山:生放送なんで、余計言いたいこと言えますからね(笑)。
平:はい(笑)。よろしくお願いします。今日は、特にエネルギー政策全般をお伺いしたいんですが、メタンハイドレートについて青山さんはさまざまなところで発信をされてますし、私も始まる前にちょっとお話を伺いましたけども、目からウロコな話もたくさんありますので、その辺から入っていきたいと思います。
青山:はい。
「神様のいたずら」メタンハイドレート
平:そもそも、見ていらっしゃる方が「メタンハイドレートって何?」「どこまで話が進んでるの?」ということもあるかと思いますので、その辺からお話をいただければと思います。
青山:メタンハイドレートは埋蔵資源の一種で、地球が作り出してくれる資源です。第4の埋蔵資源と呼ばれていて、石炭・石油・天然ガス、そして4番目がメタンハイドレート。今は3番目の天然ガスが主流ですが、メタンハイドレートも実は天然ガスの一種です。
「メタン」というのは、天然ガスのおもな成分ですね。「ハイドレート」というのは……要は凍っているもの、シャーベットだと思っていただければいいですが、正確に科学的にいうと「水和物」って言ってます。メタンの分子があるとすると、水の分子がかごの形で取り囲んでいる。科学的にはそういう組成です。実際は、コンビニで売っている白いシャーベットにそっくりです。
要は、海の底などで凍った天然ガスだと思えばいいです。ということは、溶ければ普通の天然ガスですから今までの火力発電所でほぼそのまま使えますし、都市ガスに使うこともできる。そういう資源です。
平:日本の周りには、そういった資源がたくさんあるんでしょうか。
青山:さっき言いました石油とか天然ガスを考えていただくと、例えば日本が今おもに輸入している天然ガスはカタール産が多いですよね。安倍さんはかつて「日本・カタール友好議員連盟」の会長もされてました。
平:そうですね。仲良しですね、カタールと。
青山:そのカタールを始め、従来型の石油・天然ガスを産み出してきたのは大体、地震が起きないところですよね。カタールも地震が起きないからこそ、60階70階のホテルも普通にありますよね。ところがメタンハイドレートだけは……僕は神様のいたずらと呼んでて、国際学会で英語で発表するときに「神様のいたずら」って言うと世界の研究者が「そうだ!」と拍手してくれるんです。
それがどういうことかというと、在来型の埋蔵資源は地震の起きないところで取れていたのに、最後に天が人類にプレゼントしてくれたメタンハイドレートだけは、地震の起きるところでおもに作られるんですね。日本列島の周りでは、海の中でプレートが潜り込んでいてズレたりハネたりするから大地震になるんですが、プレートが潜り込んでるあたりを中心に地球が産み出してるのが、メタンハイドレートなんです。
平:ああ、そうなんですか。
ネガキャンを張る石油工学陣営?
青山:したがって東日本大震災から3年、その前は阪神淡路大震災、そうやって地震に苦しんできた国だからこそ、まるで天の最後のプレゼントのように地震の巣のところ、ネガティブだけに見える地震の巣に、ポジティブなエネルギーが隠されている。
一部の人が「じゃあ、そこを触ると地震が起きるんじゃないか」ということを調べもしないで……はっきり言うと東京大学の石油工学の先生。東大だけじゃないですけど、東大の石油工学の先生は発信力も強いですから。「そんなものを触ると地震が起きる」ということを、現場にも行かない、調べもしないで平然と発信している。それがずっと長く続きました。
もちろん環境に対する影響はきちんと考えなきゃいけませんけども、実はメタンハイドレートは放っておいたほうが長期的には人類に破滅を招くかもしれない。つまり、凍っているメタンガスがドッと出てくると、メタンガスの地球温暖化効果はCO2(二酸化炭素)の実に20倍。ですから、将来の地球はそうなるんじゃないかということは以前から言われていて。
で、今現在のように放っておいたほうが、メタンハイドレートが自然に溶けて、メタンガスが海面から蒸発してしまっている。むしろ人類にとって、燃やしてCO2にしたほうが温暖化効果は小さくなる。これも含めて神様のいたずらと学会で言いまして、そういうことが頭にいろいろ入ってる学者さんたち、特に海外の人が喜んでくれるって話ですね。
平:去年の10月1日まで私も経済産業省で大臣政務官をやっていて、エネルギー全体のポートフォリオをどうするかって議論していたんですね。「メタンハイドレートの可能性をブリーフィングしろ」と役所に言ったら、役所のほうは「いろんな問題があります」「シェールガスも実用化に10年かかりましたから、10年かかる可能性があります」と。
もうひとつの論点として、「取り出すのにエネルギーが要るので、取り出すエネルギーと実際にメタンハイドレートとして取り出されたエネルギーをプラスマイナスしなきゃいけない。採算性もなかなか厳しいです」と。そういうのが、私というか政府の去年10月までの認識だったと思うんですが、その辺はどうお考えでしょうか。
青山:今の経済産業省資源エネルギー庁の話っていうのは、基本的に経産省とおもに東京大学の先生方が……。
平:やっぱり東京大学ですね(笑)。
青山:はい。東大は一旦解体しないと、僕は世の中が良くならないと思っていますから。それは話が逸れるから元に戻すと、経産省や東大の先生方、おもに石油工学の先生がこうやって作ってきた仕組みを「MH21」(メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム)って呼んでるわけです。MHはメタンハイドレートですね。
そこに大体600億円くらいの、正確にいうと588億円くらいですけど、予算を投じて研究開発をしてきたんですが、それは実はメタンハイドレートの2つあるタイプの内の1つのタイプだったんです。
平:はい。
青山:その1つのタイプはおもに太平洋側に多くて、海底からさらに700メートル以上掘り込んでいってようやく見つかるんですが、砂と混じり合ってるわけです。「砂層型」と呼んでいますね。これだと当然4000メートル以上の海の深いところ、さらに海底を掘り込んでようやくメタンハイドレートをつかむことができるけど、引き上げるのにコストがかかる上に、引き上げても砂と混じり合ってるやつを選り分けしなきゃいけない。
平:分離しなきゃね。はい。
青山:したがって、天然ガスの1単位を「500万Btu」って呼び方をしますが、天然ガスの1単位あたり50ドルくらいかかってしまう。アメリカのシェールガスですと、同じ生産段階で大体3ドルくらいのコストです。これは勝負になりませんね。あるいは先ほど言いました、カタールから輸入している液化天然ガスでいうと、販売段階で17ドルくらいです。これはリアルタイムでですね。
いずれにしても、そのタイプのメタンハイドレートだと勝負にならない。ところが、少なくとも第二次安倍政権ができる以前の経済産業省と東大の仕組みっていうのは、ほとんどそればっかりやってきたから、いまだにその話が中心なんですね。
「表層型メタンハイドレート」が持つ数々の利点
青山:そうじゃないものの画像を、僕のパソコンでそのまま見ていただきたいんですが。
平:どけましょうか(テーブルの上を片付ける)。もうちょっと前に出していただいて……。
青山:打ち合わせなしの生放送なんで。これはですね、新潟県の佐渡島の南、つまり新潟港・直江津港からすぐ近い実際の海底です。シミュレーション画像ではありません。実際に撮ったものです。色は後でわかりやすいように付けました。
海底の地形が映ってるんですが、この海底の表面に先ほど言いました、コンビニで買う白いシャーベットのような、純度の高いメタンハイドレートの塊そのものがあるか、あるいは表面になくても海底下のごく浅い100メートル以内のところに存在している。それが砂とまったく混じっていなくて、凍ったメタンガスそのままなんです。
そうすると何が起きるかっていうと、ここに柱が見えてると思いますが、私たちはメタンプルームと呼んでいまして、要するに純度の高いメタンハイドレートの氷の粒が海底の上にある。ガスが凍っているので比重が軽くて、当然上がっていきます。上がっていくと、(柱の)上がなくなったように見えますが、海面に近づいているからです。つまり海面に近くなると水の量が少なくなりますから、まず圧力が下がる。さらに太陽の光が届くようになりますから、上のほうで溶けるわけですね。
これが自然状態ですが、溶けたメタンガスは海面から蒸発して大気に混ざっていくわけです。もう一度言いますが、メタンガスそのものはCO2の地球温暖化効果の20倍ですから、自然状態でいると人間が取って燃やしてCO2に変えるよりも悪い。その状態がずっと太古の昔から続いてきたということなんです。
平:なるほど。
青山:もうひとつ、この柱の大きさを先ほど言い忘れましたが、平均でスカイツリーくらいあります。
平:600メートル、700メートルくらい……。
青山:そうです。大体650メートル前後あって、大きなものだと900メートルから1000メートルに達します。一番小さいやつで東京タワーくらいですね。330メートル。それがさっき言いました通り、上に上がって溶けてなくなります。溶けてなくなっても、地球の活動でどんどん同じ場所から同じようにメタンプルームを産み出し続けるんですね。
それがいつから始まったかというと、実は私たち人類が文明文化を作る前です。こちらの日本海に多いタイプのメタンハイドレートは「表層型」という言い方をしますが、表層型についていうと、人類が取っても取っても地球がある限り作ってくれるんです。
日本がメタンハイドレート開発に本腰を入れるべき、これだけの理由
青山:先ほど言いましたカタールの良質の天然ガスも、今までの石油も、取りきったらおしまいですね。数年前シリアに行きましたときに、シリア陸軍の将軍から「実はシリアは油をほとんど取りきってしまった。それがやがてバレると、独裁政権から分け前がなくなって内戦が起きる。それを心配してるんだ」という話がありました。今それが起きてて、アラブの春の実態もそれなんですね。
平:なるほど。
青山:ということは、取りきりの資源の先が見えてきたこのタイミングで、今まで資源がなかったはずの日本、敗戦国に甘んじてきた日本、戦勝国のアメリカの仲介で「高い天然ガスや油を売っていただけるだけで幸せと思え」と……すいません、この自由民主党もそういう固定観念に取り憑かれていた。
日本は、高い技術力と労働者の高いモラル(があり)、それから予算も捻出できます。借金がたくさんあるっていったって、10年ものの国債が金利1%で売れるんですから。
その日本がこれに取り組みだすと、今ニコ動でも出ている通り、世界のエネルギー市場の利権構造を全部ひっくり返し、敗戦国の日本が……メタンハイドレートは取っても取っても地球が供給してくれるってことは、日本だけが潤うんじゃなくて、例えばアジアでいえばベトナムのように中国と向かい合ってる国に安価にお分けしていって、アメリカが資源を通じて世界を支配した構造も全部変わるってことになるんです。
平:なるほど。
青山:そうするとこれはいち安倍総理、すいませんが、いち自由民主党だけでできるわけがない。右も左も保守もリベラルもなく、護憲派も改憲派もなく、みんなが連帯できるところですから、ここで連帯をして、今までの敗戦後の世界の仕組みを変えるってことが大事だとずっと訴えてるんです。
平:今の話を伺うと、私が政府の中にいたときのメタンハイドレートに対するブリーフィングとまったく違う話で……。
青山:というか、そこを言わないんですね。
平:砂層型でコストの話ばっかりしてたけど、実は取り出しやすいように柱になってるんだと。取り出すのも簡単だし、取り出さないと逆にメタンガスが地球温暖化(の防止)にとってマイナスになると。
青山:CO2よりもメタンガスが(気温を)上げてしまうから。
平:メタンガスのほうが影響が大きいからですね。と、いうお話でした。
※続きは近日公開!