ソフトバンクは金の卵産むガチョウ、第2のアリババも-孫氏
11月6日(ブルームバーグ):ソフトバンクの孫正義社長は4日の決算説明会で、中国の電子商取引会社、アリババ・グループ・ホールディングなどへの出資で成功した実績や将来への投資が、株価に適切に反映されていないとの見解を示した。同社の時価総額は、保有株式の価値を下回っている。
孫社長は、イソップ童話をもとに投資先を金の卵に例え、「ソフトバンクは金の卵を産むガチョウになりたい」とした上で、投資先よりも「金の卵を産むガチョウに価値がある」と述べた。また、「新たに金の卵をお腹に仕込んでいる」と次の有望案件についても言及した。
ブルームバーグが集計したデータによると、ソフトバンクの時価総額 は5日時点で9兆4000億円超。一方、ソフトバンクのウェブサイトによると、同社が保有する上場株式の時価総額は、5日午後3時現在で12兆8000億円に達している。ソフトバンクはアリババのほか、ヤフーやガンホー・オンライン・エンターテイメントなど1300社以上をグループ会社に持つ。
エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、時価総額と保有株式の差について「企業をどういう軸で評価するかという話だ」と話した。孫社長の発言の狙いについては、米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイのウォーレン・バフェット氏のように「ベンチャーキャピタリストとしての実績を評価してほしいという趣旨」と指摘した。
孫ディスカウント孫社長は説明会で、市場は孫氏が「クレージーな買い物をする」と思っていると分析。バークシャー・ハサウェイには、「バフェットプレミアム」があるのに対し、ソフトバンクには「孫正義ディスカウントが働いている」と述べた。
また若年人口やソフトウエア開発者数という点から、インドは将来的に中国と並ぶ二大経済圏になるという持論を展開。次の金の卵として、10月に出資を発表したインド最大級の電子商取引サイトを運営するスナップディールを挙げた。
ソフトバンクは4日に発表した決算で、今期(2015年3月期)の営業利益予想を従来の1兆円から9000億円に引き下げた。米子会社スプリントが業績予想を下方修正したことが理由。
岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは、孫氏が保有株式の価値について言及したのは、スプリントの業績不振のため、携帯電話事業の話をしても「投資家へのアピールにならない」からだと話した。川崎氏は、業績改善が明らかになれば、説明会でも携帯電話事業の話が中心となるとみている。
6日のソフトバンク株は一時、前日比2%高となる7995円まで買われたが、午後に売られ、同0.2%安の7824円で取引を終えた。
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更新日時: 2014/11/06 15:53 JST