[インタビュー]

今後の企業モバイル戦略に不可欠な「2つの流儀のIT」―米ガートナー ニック・ジョーンズ氏

2014年11月6日(木)河原 潤(ITジャーナリスト/IT Leaders編集委員)

スマートフォン、タブレット、そしてウェアラブルといったテクノロジーの著しい進化が、企業におけるモバイル活用の常識を変えつつある。今、企業は顧客や自社の従業員に対し、どんなスタンスをもってそれぞれにとって最適な利用体験を提供していけばよいのか。米ガートナーリサーチ部門バイスプレジデント兼最上級(Distinguished)アナリストのニック・ジョーンズ(Nick Jones)氏に話を聞いた。

ビジネスITとモバイルの重なり

――企業でのモバイル戦略策定の重要性が叫ばれて久しい。ビッグデータやIoTなどといった、企業コンピューティングにおける最近のトレンドが、このテーマにどんな変化を与えているのか。

 エンタープライズITの世界とモバイルの世界がさらに接近し、重なり合い始めた。IoTで言えば、センシング機能を搭載した車や家電、活動量計などが「スマートオブジェクト」となって、モバイルデバイスやアプリケーションと対話するようになった。あと7、8年すれば、家やオフィスの中を見渡したとき、実に100以上のスマートオブジェクトがスマートフォンやタブレットと対話しているような時代になるだろう。

 ビッグデータもそう。今日、我々はモバイルデバイスから大量の情報を得て、大量の情報を発信している。それで企業は、リアルタイムで顧客の行動や嗜好を把握できるようになった。こういうところに、ビッグデータとモバイルの重なりを見ることができる。

米ガートナーリサーチ部門バイスプレジデント兼最上級アナリストのニック・ジョーンズ氏

――モバイルファーストというより、もはやモバイルが前提というところまで来ていると。

 テクノロジーの変化に応じて、企業のモバイル戦略もまた変化を続けている。例えば、BYOD(Bring Your Own Devices)に関しては、私の顧客のCIOの多くが課題に挙げている。

――従業員がオフィスに持ち込んだモバイルデバイスを、IT部門がどう管理するか。日本でもホットなテーマの1つになっている。

 5年ほど前までIT部門が従業員の持つそれぞれのデバイスやセキュリティを大方コントロールすることができていた。だが数年前から、従業員がそれに反旗を翻すかのように、自分のiPhoneやAndroidフォンを業務でも使いたいと主張し始めた。その結果、IT部門はデバイスやセキュリティへのコントロールを失い、複数のプラットフォームへの対応や、アプリケーションの安全な配布などに課題が移っていった。とりわけ、モバイルのセキュリティについては、サイバー攻撃が猛威をふるう今、このまでとは違う新たなコントロールの仕組みがないといけない。

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今後の企業モバイル戦略に不可欠な「2つの流儀のIT」―米ガートナー ニック・ジョーンズ氏スマートフォン、タブレット、そしてウェアラブルといったテクノロジーの著しい進化が、企業におけるモバイル活用の常識を変えつつある。今、企業は顧客や自社の従業員に対し、どんなスタンスをもってそれぞれにとって最適な利用体験を提供していけばよいのか。米ガートナーリサーチ部門バイスプレジデント兼最上級(Distinguished)アナリストのニック・ジョーンズ(Nick Jones)氏に話を聞いた。

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