November 5, 2014
ゴールデンバックフロッグ(アカガエル科ハイララナ属のカエル)の新種7種がスリランカとインドで発見された。研究者によれば、都会の雑踏の真ん中で暮らしている種もあるという。
研究チームがアーバン・ゴールデンバックフロッグ(Hylarana urbis)を捕獲したのは、人口230万人を抱えるインド南部の都市コーチだ。工場、ホテル、企業が並ぶコンクリートジャングルに囲まれ、水草に覆われた湖がそのカエルのすみかだった。
調査を率いたデリー大学の両生類研究者サティアバマ・ダス・ビジュ(Sathyabhama Das Biju)氏によると、この変わった新種は池や植物の生い茂った運河などにすみ、今のところ都市部の2カ所でしか生息が確認されていないという。
これまで、奇抜な紫色のカエルなど多くの種をインドで発見してきたビジュ氏は・・・
研究チームがアーバン・ゴールデンバックフロッグ(Hylarana urbis)を捕獲したのは、人口230万人を抱えるインド南部の都市コーチだ。工場、ホテル、企業が並ぶコンクリートジャングルに囲まれ、水草に覆われた湖がそのカエルのすみかだった。
調査を率いたデリー大学の両生類研究者サティアバマ・ダス・ビジュ(Sathyabhama Das Biju)氏によると、この変わった新種は池や植物の生い茂った運河などにすみ、今のところ都市部の2カ所でしか生息が確認されていないという。
これまで、奇抜な紫色のカエルなど多くの種をインドで発見してきたビジュ氏は、「だからといってアーバン・ゴールデンバックフロッグが都市生活に適しているわけではない」と注意を促した。
「これらのカエルが都会に順応して生きているとは言えない。おそらく、できていないと思われる」。
むしろ、このカエルはコーチの都市開発が始まる前から生息していたのかもしれない。そして見た目とは裏腹に、「都市化によって生存が危機に瀕している可能性がある」。
◆忘れられていたカエルたち
今回の発見は、インドの西ガーツ山脈およびスリランカ全島のゴールデンバックフロッグを10年にわたって調査した成果だ。インド西岸を縦に走る同山脈には、生物が豊富に生息している。
この調査結果により、生息域がアフリカからオーストラリアにまで広がるゴールデンバックフロッグには、従来考えられていたよりもずっと多くの種がいる可能性が示された。
研究ではゴールデンバックフロッグの身体的・遺伝的特徴を分析。その結果、西ガーツ山脈とスリランカの個体群は過去の研究者により誤って1種にまとめられており、そのうちインドの6種、スリランカの1種が実際には新種であることが分かった。これにより、ゴールデンバックフロッグの既知の種は84種から91種に増えることになる。
これまで誤って判別されていたのは、ゴールデンバックフロッグは少なくとも見かけ上はよく似ているからだ。しかしビジュ氏は、「たとえそうだとしても、研究者がこれらのカエルを見分けるのはそこまで難しくない」と話す。
「注意不足で混同されていたのではないか」とビジュ氏は指摘した。
例えばスリランカのブロンズフロッグ(Hylarana temporalis)は、目の後ろにある皮膚の隆起で他種と容易に区別できるとビジュ氏は話す。同氏の研究チームでは、手足の指先の形、水かきの大きさも手掛かりにして西ガーツ山脈の新種と区別した。これらの新種は、長いことブロンズフロッグと誤認されたままだったのだ。
◆大きな収穫
今回報告された新種の中には、インドとスリランカでこれまでに確認されているゴールデンバックフロッグのうち最大の種も含まれている。
ラージ・ゴールデンバックフロッグ、学名をHylarana magnaと命名されたこの種は、体長9.2センチにもなる。ゴールデンバックフロッグの大半は成体でも体長4センチを超えることはない。
しかしビジュ氏らの研究チームは、多くのゴールデンバックフロッグが「大きな危機に瀕した生息地に、やっとのことでしがみついている」と懸念する。都会に暮らすアーバン・ゴールデンバックフロッグもその一つだ。
ビジュ氏は発表の中で、「現在の絶滅ペースが続けば、多くのカエルが永遠に姿を消してしまうかもしれない」と警告した。
今回の研究成果は、「Contributions to Zoology」誌に10月29日付で掲載された。
Photograph by SD Biju / Systematics Lab