山陽日日新聞ロゴ 2002年8月20日(火)
『東京物語』
来年、国内外で生誕100年記念イベント
 
「尾道で上映。感動した」
  全国小津安二郎ネットワーク会議
全国小津安二郎ネットワーク会議と中央桟橋
 来年、生誕100周年を迎える映画監督小津安二郎の記念のプ
レイベントとして、小津映画の名作中の名作「東京物語」の舞台
となった尾道で17日、全国小津安二郎ネットワーク会議が開か
れた。『映画の町尾道』に、大林ワールドに加えて小津ワールド
のネットワークが、ガッチリと組み込まれたことになる。
 17日の午後2時から、しまなみ交流館で生誕100年プレイ
ベントとして、記念講演会。講師は広島県出身の映画評論家花本
マサミ氏で「東京物語と尾道」と題し約50分の講演。東京物語
と対比して現代映画の不作の原因を嘆いた。
 続いて、「東京物語」を上映。会場には若い人の姿も見うけら
れ、約500人が観賞。上映後、期せずして満場から拍手が沸き
上がるほどの熱気につつまれた。
 感動と興奮の余韻覚めやらぬ中、同館で「全国小津安二郎ネッ
トワーク会議」が開かれ、松竹関係者3人ら約40人が出席した。
 地元の花本健治生涯学習課長の司会で、長谷川武雄ネットワー
ク会議会長が挨拶。尾道での開催に謝意を表した後、「尾道で観
る東京物語は格別。改めてその素晴らしさを再認識した」と感動
覚めやらぬ感激の挨拶。
 柳瀬才治・同名誉会長が「これからが本番。松竹を中心に、小
津生誕100年の記念切手発行を是非、実現させたい」と力を込
めた。
 地元の尾道から順に、来年の100年祭における、個別の取り
組み・事業企画について説明、報告した。
 尾道は、東京物語の撮影が行われた暑い時期に、上映会やトー
クショーを計画中。別に、月1回程度で「名画鑑賞会」を現在検
討している。
 小津の生誕地江東区では、来年記念館をつくるべきだが思うに
任せず、文化センター内に展示室を開設し、毎月名作の上映会を
開く。
 小津が青年期を過ごした三重県では、すでにプレイベントを開
催中。4年前から上映会を実施している。小津が勤務した中学校
に記念碑を、教え子らが顕彰碑を建立する計画が別個に進行して
いる。
 岡山、廿日市、茅ヶ崎、横浜、茅野、伊勢、松阪、飯高町(三
重)、鎌倉、蓼科高原(長野)、の各代表がそれぞれ報告した。
全国の10の市区町が加入しており、鎌倉市に小津の家があるな
ど、それぞれにゆかりがある。
 第1回の会議が蓼科であり、次いで松竹の大船撮影所、江東区
で開かれ尾道が4回目の開催。
 松竹からは関雅彦取締役ら3人が出席し、今年12月に記者発
表をして、来年1年間は国内にとどまらず海外まで、いっきに小
津生誕100年イベントを実施すると同時に、これを始まりとし
たいという強い決意が述べられた。

 ゆかりの地巡りに70人
 続いて翌18日午前10時、中央桟橋集合で、東京物語ゆかり
の地めぐりを実施。同会議メンバーに地元の人ら約70人が参加
した。
 中央桟橋〜住吉神社の石灯篭〜市役所〜映画資料館〜倉庫の立
ち並ぶ道〜竹村家〜三緑荘〜浄土寺〜主人公の平山家〜旧筒湯小
〜西国寺近くの路地〜福善寺墓地を訪ねた。
 市役所は主人公の勤務先、竹村家は小津の宿舎で、他は全て映
画に登場している。

ご参考ページ
松竹・小津安二郎監督


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