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2014.11.05 Wednesday

UIデザインの価値


弊社開発チームのお茶会(スタンドアップMTG)


UIデザイナー不要説 / LSD LAB
という記事を読んで思ったことのいくつか。

前置きとして自分の話を簡単に書いておきます。
前々職では掲示板サービスとブログサービスを運営していた会社で
3年ほどWEBデザイナーとして仕事をしていました。
前職GMOペパボ(在籍当時paperboy&co.)にはデザイナーとして入社して
半年ほどで事業責任者方面にジョブチェンジして10年。
現職のトレタではアプリ・サービスにはあまり直接的にはタッチせずに
組織作りや営業チームのビルドアップなどがメインの職域になっています。
現場のデザイナーとしてはあわせて4年ほどではあるのですが
前職では社内のデザイナーとエンジニアののりしろをどうつくるのか
新卒デザイナーの研修内容をどういうものにするのか
ということを経営課題として取組んでいました。

#ちなみに現職では飲食店向けの予約台帳(予約管理)アプリを提供しています。
http://toreta.in/

以下本題。

そもそもUIデザイナーの定義にもぶれがあるかもしれませんが
現在のインターネット界隈(Web/アプリ)におけるデザイナーとは
美しさ、操作性、機能性をコントロールして
サービスなり商品なりビジネスなりを成功に導く
というような感じかなと思っています。
世間一般でいわれるWebデザイナーは美的感覚の部分にフォーカスした
グラフィックデザイナーであることが多いかもしれませんが
操作性や機能性もデザインされているべきだという考えから
求められるものがUIデザインということでしょう。
webがその初期の頃のカタログのような平面的・静的な存在から
flashを経てhtml5/JS/CSSを組み合わせた機能的な存在に変化し
また平行してスマホアプリも普及する中で
美しさを担保する人材・職能としての(グラフィック)デザイナーと
機能を実現するエンジニアの間ののりしろに存在する
UIデザインという分野が注目されているのだと思います。


元の記事では
UIデザインは金にならない、とあるのですが
これは測定されていないだけではないのかなと。
UIデザインが売上に与える影響、コストに与える影響
それぞれ(分野にはよりこそすれ)大きいはずです。
売上に与える影響ももちろんありますけど
サポートコストに与える影響ももちろんあります。
もう少し間接的なKPIの場合もあるかもしれませんが
継続的にサービスを提供するような会社では
多かれ少なかれ意識されているのではないでしょうか。
何かしらの変化に対する数字の動きはトラックできるわけで
そういう意味ではUIデザインが数字(お金)に与える影響が
計測可能な状況というのが一般的になりつつあるのではないか
とも思います。

UIデザインで実現したいことは
ユーザーに与える印象の良さではなく
ユーザー行動であり結果であり数字であるわけですから
UIデザインといいつつ美的感覚の方によっている人は
おそらく立ち位置が中途半端になる気がします。


その前段にUIデザインが重視されていない、という話がありました。
1の「デザイン=見た目のことという認識」は、特に意思決定をする層について
そうなのだろうなと思います。少なくともインターネットの世界で
UIデザインというものが注目されてからまだまだ日が浅いわけですし
まだまだそこが差別化要因になるという理解は浅いのでしょう。
これはそこそこ時間が必要なものかもしれませんし
啓蒙が必要なことかもしれません。
上の話と通じますが、結果で示すことでもあると思います。

2の「エンジニアとの給与格差」については
わりと単純な需給バランスの話が大きい要素なのではないかと思います。
ソシャゲバブル期にエンジニアの給与は高騰した、という感覚がありますが
それはやはり取り合いになったから。高いお金を出してでも必要ということから。
UIデザイナーに関しては独立した職種・職能としてもまだまだ認知が低い現状を考えると
広く需要があるわけではないですし、需要自体がまだそれほどない。
狭く深いニーズはあれども、広く浅いニーズはまだない状況だと思います。

また、元記事であげられていたFind Job!を見てみると
ユーザーインターフェース(UI)デザイナーの平均年収・給料・給与
Webデザイナー・HTMLコーダーの平均年収・給料・給与
この2つのページに表示されている平均年収と年収分布は
「デザイナー」のものであって全く同じですね。
特にUIデザイナーの平均年収というわけではなさそう。

ちなみに同じページの都道府県別年収というところを見ると
UIデザイナーの場合東京都の派遣社員が7,677,778円とあって
同じく東京の正社員5,144,376円より随分上だったり
Webデザイナー 正社員5,454,369円、派遣社員4,462,648円
と比較すると派遣社員は随分上だったり
システムエンジニア(SE) 正社員4,089,715円、派遣社員5,972,867円
と比較すると正社員も派遣社員も上だったりします。
これが何の数字かは正直よくわかりませんが。

3の「海外のアプリやサービスとの差」については
これはまあなんというか日本市場・漢字の特性かなあと思ったり。
日本の国内市場が概ね単一言語に閉じているので
文字に頼るデザインが成立する部分はある。
表意文字である漢字は意味的な圧縮率が高い文字ですけど
表音文字であるアルファベットで同じ情報量を英語で実現しようとしたら
文字数は相当多くなってしまうでしょう。そういう意味でも欧米言語圏では
なるべく文字に頼らないデザインをしなければならないインセンティブは高い。
中国のデザインはどうなのかと言われたら、よく知らないので
想像の範囲でしかないですけども。



僕はUIが金にならないとは全く思っていなくて
UI、デザインは競争力の源泉だと思っています。
逆に、UI、デザインが競争力になる分野で
勝負しようという考え方でもありました。
前職のペパボではデザイナーがモックをつくるところから
はじめることを推奨していました。
新しいサービスの立ち上げについては特にそうです。

とはいえ効果がわからないということであれば
コスト要因と捉えられるでしょうし
表面的にパクってしまえばよいという発想にもなる。
UIデザイン以外の強力な要素が競争力を産む分野においては
重要度・優先度が下がることはあるでしょう。
しかしながらユーザーが「使うサービス」「使うアプリ」であれば
その他の条件による差異が小さくなった段階で
UIが差別化要因としていずれフォーカスされてくるでしょう。

もちろん経営者本人の醜いものは許せないという美的感覚によって
デザインが重視されているところもあるでしょうけれども
経営者のデザインマインドとかお金に余裕があるという話ではなく
UIデザインこそが競争力を産むんだということが示せれば
そこにコストをかける、そこが重視されるということは
ビジネス上シンプルで至極当然な話になるのだと思います。


結論ですが
UIデザインに価値がないということではなく価値を証明すればよいし
UIデザインが競争力になる分野で戦えばよい
ということではないでしょうか。


------


以下、弊社の話。


トレタのようないわゆる飲食店向け業務用ツールにおいては
これまでUIが重視されてこなかったことから
逆にそここそが競争力の源泉だと本当に信じていますので
手間をかけて試行錯誤する必要性も高いと思っています。
多機能さよりシンプルさをとるという方針もはっきりしています。
トレタでは代表でありプロダクトオーナーである中村と
デザイナーがいつも侃々諤々意見を戦わせているし
論理的な裏付けやユーザー行動に対する想定や仮定の無い
ただ美しいだけのデザインは却下されます。
機能を実現しながらシンプルに保つには
UIデザインの役割が非常に重要なのです。

なんだよお前結局ポジショントークじゃないかよという話ではありますが
トレタではデザイナーを募集していますので
UIデザインこそが差別化要因になる分野で勝負したいとお思いの
UIデザイナーの方は是非一緒に仕事しましょう!

また、Webデザイナーの方も募集してますので
そちらもご応募いただければと思います!

ご応募はこちらから
トレタの進化を「かたち」にする こだわり派のデザイナーさんを募集します! - 株式会社トレタの求人 - Wantedly
1970.01.01 Thursday

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