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「仕事と私、どっちが大事?」のベストアンサーが決定?コピーライター選手権LIVEイベントレポート


 街中やTVで流れる雑多な風景の中で、たまに心に留まる一言がある。そんな言葉を考えているのが、コピーライターだ。そんなコピーライターたちがアイデアをぶつけあうイベント「コピーライター選手権LIVE」が開催された。彼らはどうやって人の心をとらえるコピーを考えているのだろうか?

コピーライター選手権LIVEとは?


 面白法人カヤックのコピーライター長谷川哲士さんが、定期的に開催するキャッチコピー好きのためのイベント。お題に対してプロのコピーライター、会場の観覧者、そしてTwitter上の参加者たちが即興でコピーを考え、会場からの投票によってベストコピーを決定する。臨場感満載のコピーバトルだ。

登壇者のご紹介!

登壇者

武田さとみ(電通)東京ガスTVCM「まほちゃんの作戦」で、2014年TCC新人賞受賞。代表コピー:「まほちゃんには、ヒミツの計画があります。サンタさんに直接言いたいことがあるのです。」(東京ガス)


宇野元基(博報堂)朝日広告賞、フジサンケイビジネス広告大賞など。
代表コピー:「家庭には入ったけど社会から出たわけじゃないんです、私。」(ユーキャン)

金そよん(博報堂クリエイティブ・ヴォックス)
代表コピー:「初摘みミント、食べてミント!」(ロッテ/グリーンガム)

主催

長谷川哲士 面白法人カヤック コピーライター

プロはとにかく手を動かす!


 最初のお題は、「ハロウィンにコスプレしたくなるコピー」。日本にも定着してきたハロウィンだが、実際にコスプレをしてイベントに参加したことがある人は少ないだろう。たまにはハメを外して街に出たくなるようなコピーは出てくるのだろうか?

 テーマが発表されてシンキングタイムが始まったのもつかの間、コピーライターたちは「なるほど」と言って、すぐさま手を動かし始める。次々とコピーを生み出し、すごい速さでスケッチブックを埋めていくのだ。静かな会場には、コピーライターたちがペンを動かす音とページをめくる音だけが響き続ける…。 

 まずは最初のシンキングタイムが終了。そこでカヤックの長谷川さんが出したコピーがこれ!

「好きなアニメがおなじなら、ずっと話していられる」
 
 見知らぬ人が集まるハロウィンイベントに参加するのは、ちょっと勇気がいるもの。でも、自分と同じ作品のコスプレをしている人となら、共通点もあるから話も広がるはず。初めてコスプレをしたふたりが、少しずつ打ち解けていく様子を想像できるコピーだ。

ビジネスマンを一番悩ませた質問がここで解決!?

 続いてのお題は、「仕事と私どっちが大切?」への正しい答え。男女関係がもつれたときの常套文句ともいえるこの質問。どう返せば彼女を喜ばせることができるのだろうか?

 ちなみに、ルミネのコピーで有名な尾形真理子さんはこの質問に対して、「そんなこと言わせてごめんな」と答えるのがベストと言ったそう。比べてはいけないものを比べてしまっているのだから、怒っている側の気持ちを汲んでそもそもそんなことを言わせてしまったことに言及するのがいいということだろう。


 これを受けて、博報堂クリエイティブ・ボックスの金さんが「自分はこう言われるのが一番かも」と言って出したフリップには、括弧だけが書かれていた。

「( )」

 その意味は「何も言わない」ということ。「この質問をしている女性も自分のことが嫌いだと思うので、何を言ってもダメだと思うんですよ。だから、しばらく無言になって態度で示してくれた方がうれしいかなって」。なるほど、非常に女性らしい意見だ。

 「怒っている女性も自分に嫌気がさしているというのは考えなかったな」と長谷川さんも納得。ときには、何も言わないのが一番の答えなのかもしれない。


 すると、博報堂の宇野さんは、「これは二者択一の質問ではないので、質問とは別のところで戦わないといけないんですよ。お前が大事だって伝えて、しかもユーモアがあるのがいいですよね」と力説する。そんな彼が出したコピーに会場は騒然。

「いつだって、仕事やるより、お前とやりたい。」

 「男性だったら、これで笑ってくれるとうれしいじゃないですか?」と宇野さん。会場の男性の中にも、納得したように笑いながら頷く人がちらほら見える。しかし、これで笑ってくれる女性はどれくらいいるのだろうか…? とにかく、これが今回のベストコピーに決定!

なんだかんだでシンプルが一番!?


 続いてのテーマは、「職場で誕生日を迎えた人にひとこと」。

 実は、イベント当日は宇野さんの誕生日。広告業で毎日遅くまでバリバリに働く宇野さんが、仕事で疲れた時にかけてほしい言葉とはどんなものなのだろうか?


 まず会場でウケが良かったのは、Twitterから投稿されたこのコピー。

「年の数だけフリスク食べましょう!」

 口の中がすごくスースーしそう…。もちろん宇野さんも、「そんなに食べたくねぇよ!」と笑いながらツッコミを入れる。ちょっととぼけた一言がクスリとさせてくれる、面白い着眼点のコピーだ。


 続いて電通の武田さんが挙げたコピーは、後輩に言われたら嬉しくなりそうなもの。

「おめでとうございます!誕生日、手帳に書いておきますね!」

 今まで接点の少なかった職場の人にこんなことを言われたら、これから仲良くできそうに思えてしまう。ただおめでとうと言うわれるより、自分に関心を持ってくれているのがわかってよりハッピーな気持ちになれるコピーだ。


 続いては金さんが挙げたコピー。これは本当にコピーと呼べるのだろうか?

「先輩、尊敬しています。おめでとうございます。」

 しかし、宇野さんは「これはすごく言われたい!」と大絶賛。実は金さんは、宇野さんと同じ職場で働き、指導を受けたこともある仲だという。リアルな後輩からのシンプルな言葉が、どうやら一番心に響いたようだ。感謝の気持ちを伝えるときは、かっこいいコピーを考えるよりも、シンプルに思いをぶつけた方がいいのかも!?

人とは違った切り口を思いつく秘訣は?


 本当はあと2つお題が控えていたのだが、どのテーマでも予想を上回るコピーが登場し、時間の関係でこれが最終決戦に。本日ラストのお題は、「本屋さんで待ち合わせしたくなるコピー」。今までのテーマでは面白いコピーも多かったが、このテーマではつい口に出したくなるようなみずみずしいコピーが多く登場した。ここではその中でも選りすぐりの3つを紹介。


 まずは宇野さんが、気の弱い文学青年を思わせるコピーを発表する。

「読んでる本が、僕自身です」

 本の趣味には、個人の性格が色濃く表れるもの。口下手な青年が、精一杯のアピールをする姿が浮かぶ甘酸っぱいコピーだ。


 Twitterからも、詩的な表現がきれいなコピーが登場。

「しおりの場所は、きみと会えた場所」

 好きな人と出会えた場所が思い出に残るように、そのとき読んでいたページも思い出になるのかも。本屋で待ち合わせをすれば、そのぶん思い出も1つ増えそうだ。


 今回のベストコピーに選ばれたのは、カップルのほほえましい姿を描いた武田さんのコピーだ。

「好きな人の横顔は、意外とながめられない。」

 いつもは向き合うことが多いふたりだと、なかなか横顔を見る機会は多くない。本に真剣に向き合う横顔から、パートナーの新しい一面を発見できるかもしれないだろう。

 少し変わったテーマが多かった本イベントだが、最後のテーマはコピーライターの力量が存分に発揮されたテーマだ。最終的には、登壇者全員が最初に配られたスケッチブックをすべて使い切るほどの大量のコピーが誕生。本屋の新しい魅力を見せてくれるコピーやドキッとする一言など、全部紹介できないのが残念なくらいにたくさんの名コピーを見ることができた。
 
 口では冗談ばかり言いながら、いざ発表となるとハッとさせられるコピーを連発させるコピーライターたち。もしかしたらこうやって複数のアクションを同時にこなすことが、人とは違った切り口のコピーを思いつく秘訣なのかもしれない。

一言で誰かを動かせるのが、コピー


 最後に宇野さんが全体の感想を、「コピーはとても面白くて、一言で誰かの気持ちを動かせる技術です。テレビや広告じゃなくても、SNSにそんな一言が広がるととてもうれしいです。ありがとうございました」と述べた。

 今やSNSで誰もが毎日のように言葉を発信している。コピーライターを目指す人でなくても、みんながコピーについて考えて広告の文句に気を配っていれば、世の中にはもっと素敵な言葉があふれるのかもしれない。

 その後、本日誕生日の宇野元基さんにサプライズでバースデーケーキをプレゼント。ここで宇野さんは「この後泣いちゃうかも」と感極まった様子。大盛況の中、第4回コピーライター選手権LIVEは終了した。

 センスに溢れたコピーライターらしい名文からちょっとしんみりさせる瞬間、さらには下ネタまで盛りだくさんの3時間だった。定期的に開催される予定なので、コピーライターの才気や人間らしさを実感したい人はぜひご参加を!

今回生まれた勝利コピーはこちら!

「1着で、リア充。」
(ハロウィンにコスプレしたくなるコピー/金そよん)

「被災地じゃない。いちばん、未来がある土地だ。」
(被災地に行きたくなるコピー/宇野元基)

「いつだって、仕事やるより、お前とやりたい。」
(仕事と私どっちが大切?と女性に聞かれたときの男性のベストな回答/宇野元基)

「先輩、尊敬してます。おめでとうございます。」
(職場で誕生日を迎えた人にヒトコト/金そよん)

「好きな人の横顔は意外とながめられない。」
(本屋さんで待ち合わせしたくなるコピー/武田さとみ)

そのほかのコピーやコピーライター選手権LIVEの情報はこちら!


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「マジか!?」から始まり新人賞を獲得!トップ女性営業のコツは「何でもトライアル&エラー」


 様々な分野で女性が活躍しているのは、若手ビジネスマンにとってはもはや当たり前の光景だろう。先日、安倍首相が成長戦略の柱の一つとして「女性の活躍推進」を提言したことから、今後様々な分野において女性がいっそう活躍することが期待される。

 そして、これから女性の比率が高まっていくことが期待される職種の一つが営業職
そこで、ユナイテッド株式会社で営業職として働く関口智美さんにお話をうかがった。

 新人賞を獲得した優秀な若手女性営業の関口さんだが、営業職に配属されると知った時の反応は「マジか!?できるかな?」。そんなスタートから、どんな経験を積んで新人賞受賞に至ったのだろうか。

――入社されてから今までどのような仕事をされてきたのか、具体的に教えてください。


 関口:弊社の「AdStir(アドステア)」という広告配信プラットフォームの導入をメディアに提案するという仕事をしてきました。ウェブサイトやアプリを作っている会社などに「弊社のアドステアという仕組みを導入してもらえませんか?」と営業して、広告枠を集めてくる仕事です。 

――関口さんは最初から営業職を希望されていたのですか?


 関口:いいえ、違います。配属されて営業職に就きました。

――営業に配属されると聞いたとき、どう思われましたか? 


関口:「マジか!?できるかな?」と思いましたね。率直に言うと、やりたくないなって思いました。不安というよりも、嫌悪感すら感じていたくらいです(笑)。私はあまり人と話すのが得意ではないと思っていたので。今でもそう思っています。だから、「まさか」という感じでした。 

――そんななか、営業職を1年経験されて、その年の新入社員から1人だけが選ばれる新人賞を獲得されたとうかがいました。その要因は何だと思われますか?


関口:実際はそんなことないんですが、入社したての何も分かっていない頃は、会社ってちゃんと働かないとすぐ解雇されるものだと思っていました(笑)。だから「死ぬほど働かないといけない」と思って頑張りました。営業はやればやった分が返ってくる仕事なんですね。だから、頑張ってやってきた分が返ってきたのかなと思います。

――最初は営業職に嫌悪感があったとうかがいましたが、現在はいかがですか?


関口:今は、嫌悪感はないですね(笑)。というのも、営業職は想像よりもずっと面白かったんです。

 世の中には色々な人がいますよね。営業職に就いて色々な人と話をするようになって、それが面白いなと思うようになりました。特に、私が担当するお客さまは、ウェブサイトやアプリを作っている方なんですが、結構独特な方。「世の中にはこういう人もいるんだ」と、それが面白くて。また仕事柄、色々なテクノロジーに触れることができるので、それも刺激になりました。
 
 あと、私は全然英語が話せないんですが、最近では海外のメディアとのやり取りを片言でしています。「今まで近くにいなかった人種の人と、こんなに簡単に繋がれるんだ!」と思ったら、それも面白いです。色々な経験ができる仕事がしたいと思っていたので、そういったことを楽しめたんだと思います。

――女性の営業職の方なので、女性ならではの事もいくつかうかがいます。女性だからという事で、社内の方やクライアントの方から、良い意味でも悪い意味でも特別視されたという経験はありますか?


関口:結構あります。悪いことでいうと、カッチリした格好をしていないからか、私がアポをとって担当になったにもかかわらず、一緒についてきた男性の先輩にだけに話をされることが何回かありました。若くて女性だから「何もできないんじゃないか」と思われているみたいです。そういうことは今でもたまにあります。

――そんな時はどうしていますか?


関口:そう思われても思われなくてもしていることなんですが、相手には欲している情報があるだろうから、それを見つけて話す。情報を与えると信用してくれるんです。「意外とちゃんとしてるんですね」って結構言われます(笑)。「意外と知ってますね」って。

(気負っている様子を全く感じないのが印象的。そして笑顔が素敵!)

――「女性は営業に向いている」という説があるそうです。女性には「気配りができる」「実は精神的に強い」「細かい事に気づく」などの特長があるからだとか。これは当たっていると思いますか?

関口:ちょっとずれてしまいますが、女性というだけで皆さんが優しいんですよ。IT業界はどうしても男性社会なんです。そこに女性の営業が行くと、結構皆さんが優しいと感じます。どうしてもトラブルは起こってしまうんですが、そういう時に、男性の営業に比べて怒られる頻度が圧倒的に少ないです。

――女性が営業に向いている理由には、先ほど挙げたものの他に「男性に比べて警戒されにくい」というのがあるそうです。

関口:ああ、それはすごくあると思いますね。でも、気配りなどは性別は関係ないと思います。性別というよりはその人次第かなと思います。

――関口さん独自の営業方法を教えてください。

関口あまり「営業」と思わないようにしています。いかにも「売り込みます!」という感じではないです。打ち合わせ中も結構雑談をするようにしています。先ほどの話と繋がると思いますが、そうすることでお客さんが警戒心を解いてくれると思うんですよ。「この人は安心できそうだから、アドステアを導入してもいいかな」と思われた方がいいな、と。そのために、基本的なところでいうと返信を早くするとか、そういうことをしようと思って実践しています。
 
 あとは、会話の本質を見極めること。この人は何がしたいのか、何を話したいのか、また自分は何を話したいのか、というのは常に頭に置いてますね。

――実は、関口さんのご友人から、「1年前と比べて、関口さんはだいぶ営業スキルがアップした」と聞いています。何か意識的に変えたことなどはありますか?


関口:色々な人とお会いしたから、慣れたんじゃないでしょうか。あとは、「こう言ったらいいのかな?」と、トライアル&エラーを日々繰り返しているからだと思っています。

――ということは、営業職種は、慣れが重要ということでしょうか?


関口:慣れではなくて、トライアル&エラーが一番重要だと思います。慣れちゃだめなんです。

――そのトライアル&エラーの内容と、具体的にどう行っているのか教えてください。

関口:どう攻めていこうか、どう会話を持っていこうか、とかですね。「こう言った方が食いついたな」と手応えがあったら、また試してみるという感じです。それはメールでも会話でも同じです。

 すごく考えてというよりは、やってみる。すごく考えて失敗したらダメージが大きいので(笑)。考えるけど、考えすぎたらだめだと思います。


関口智美(せきぐち・ともみ)さん プロフィール

大学卒業後、2013年よりユナイテッド株式会社に入社。SSP「AdStir(アドステア)」(広告配信システム)導入をメディアに提案する営業を担当。1年目社員の中から1人だけに贈られる新人賞を受賞している。


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「人間図鑑のページを増やしたい」若者の飲み会離れが進む中、月15回飲む編集者に聞いた飲み会の効用

 「若者の飲み会離れ」という言葉を聞いたことがあるだろうか。第一三共ヘルスケアが行ったアンケートによると、約50%の若者が「会社の飲み会が嫌い」と答えている。しかし、夜に繁華街を歩けば、飲み会帰りの若者であふれているのが目につく。若者は本当に飲み会が嫌いなのだろうか?それとも「会社の」飲み会が嫌いなのだろうか?

 この問題を考えたときに、ある人に話を聞きたいと思った。某出版社で編集者として働く滝啓輔さんだ。滝さんは職業柄もあるが、頻繁に飲み会を主催したり、出席したりしている。注目すべきは、一日に複数回の飲み会に出席する「飲み会のハシゴ」をしていること。そんなに飲み会をして、メリットや効用はあるのだろうか?

減ったとはいえ、月の半分は飲んでいます

――滝さんは、一月にどれくらい飲み会に参加されていますか?


:ここ3ヶ月の実数を言うと、8月が15回、7月が17回、6月が15回。月の半分は飲んでることになります。実はハシゴ率は最近下がってきていて、月1回か2回くらいです。

――ハシゴも飲み会自体も、以前に比べて減ったということですが、意識的に減らしたのでしょうか?


:意識的に減らしてます。理由は仕事が忙しいからですね。あと、ハシゴに関して言えば、今はハシゴしようと思えばいくらでもできると思うんですよ。なぜかというと、Facebook経由で飲み会に誘われることが多くなったから。その結果、Facebookのイベント欄に、毎日複数の予定が表示される状態になってしまって、これはどうかなと。全部に無理して出る必要はないんじゃないかと思って、ちょっと絞り込んでます。

――一緒に飲んでる方はどんな方ですか?仕事仲間やお友達など、色々あると思いますが。


:僕は編集者という職業柄もあって、仕事でお会いする人とプライベートをあまり分離できないんですよ。例えば、著者の方でも、仕事は関係なく楽しいから何年も飲み会にご一緒してる方もいます。そこから仕事が始まることもありますから。でも、純粋な仕事の飲み会は少ないですね。

――ということは、飲んでいる時は仕事の話をすることは少ないですか?


:いえ、仕事の話はしますね。僕が話したいというよりは、相手が何を話したいかで変えています。例えば、他の出版社の10人で飲んでも、ずっと仕事の話をする10人の場合もあれば、仕事じゃない話ばかりしてる10人の場合もある。それは何で変わるかというと、やはりメンツ次第ですね。

 仕事の話をする飲み会を避けてるということはないです。友達と飲んでても仕事の話になることはあるだろうし、仕事の話をすること自体は嫌いではないので。

――ところで、飲み会には「自分が幹事になる飲み会」と「誘われる飲み会」がありますよね。それぞれどれくらいの割合ですか?また、ご自身が幹事になる場合、どんな意図で飲み会を開催していますか?


:だいたい、自分が幹事になる:誘われる=1:2ですね。飲み会に誘われてばかりだと、ラクで楽しくて、多くの人と出会える。でも、そればかりだと会えない人、ご無沙汰してしまう人が出てきますよね。

 自分が幹事になるときは、ご無沙汰してる人に会いたいとか、あとは例えばAさんにBさんを紹介したいからっていう理由でしています。自分がそのときに呼びたい人や会いたい人を呼ぶのが目的ですね。

 飲み会を開催する意図は、自分自身が面白い人に会いたいっていうのもあるし、面白い人同士を会わせたいっていうのもありますし、「こういう話をみんなでしたい」っていうときもあります。仕事の話とか、恋愛の話とか。僕はお笑いが好きなので、お笑いに詳しい人とライブに行って、その後にライブの話をするとか。逆に言えば、コンセプトに会わせて人を選ぶ場合もあります。コンセプトと人選は切っても切り離せないですね。
(ある日の滝さんの飲み会風景。広告・人材関係の仕事をしている方と飲んだそう。オシャレ!)

――以前、滝さんから「飲み会の誘いはなるべく断らない」と伺いましたが、なぜですか?また、そうすることにしたきっかけがあれば教えてください。


:今でこそ色々な人に誘っていただけるようになったんですが、昔は色々な人に会いたくて、よく幹事をやってました。幹事目線で思うのは、誘いやすい人と誘いづらい人が出てくること。元々の人間関係の近さもありますけど、単純に、たとえ1回でも来てくれる人が誘いやすいんです。

 だから、最初の1回はなるべく行くようにしてます。幹事からすると、最初の1回を断られると理由がよくわからない。だから再び誘うのに二の足を踏んじゃうんですよね。でも、最初の1回に来てくれた人は、その後何回か断られたとしても「単に都合が悪いだけかな」と思える。それは1回来てくれたからこそ思うことなんですよね。「もしかしたら違う時期なら来てくれるかな」とも思えるし。

 だからこそ「自分も幹事にとって誘いやすい人間でありたいな」と思って、なるべく最初の1回は断らないようにしています。

「若者の飲み会離れ」は本当に起きているのか?

――さて、「若者の酒離れ」という言葉があり、実際に若者が酒離れしているというデータがあります。そんな現状をどう思われますか?


:本当に離れているとすれば、彼らなりの合理的な理由があると思うんですよね。例えば金銭的なこととか。あと個人的には、起こっているのは「酒離れ」「飲み会離れ」というよりは、「会社の飲み会離れ」だと思うんです。

――そうですね。「飲み会が嫌い」を突き詰めていくと、「会社の飲み会が嫌い」と「お酒(特にビール)が嫌い」に別れるようです。「会社の飲み会が嫌い」の背景には「上司と飲むのが嫌だ」「プライベートの時間が削られる」などの理由があるそうです。


:「会社の飲み会離れ」だとしたら、「飲み会に行きたくない」と言える人が増えたということじゃないでしょうか。今までは人間関係が狭かったりして、断るという発想がなかったのでは。これは、いわゆる「社畜」になりすぎないというメリットはあると思います。でも、ちょっともったいないかなと。

 『閉じこもるインターネット』という本に「フィルターバブル」という言葉が出てきます。泡の中に閉じこもって自分の好きな情報しか摂取しないといった意味です。SNS経由で友達から情報を得ることが多くなると、情報がパーソナライズされる。それは楽だけど驚きがなくなりますよね。それは人との出会いにも同じことがいえます。人との出会いにフィルターがかかっちゃうんですよ。

 自分と背景や価値観が全く違っていたりして、自発的にはまず会いにいかない人に会うと「えっ!?」と驚くし、混乱しますよね。でも、そういう驚きが減ってしまうのは、人生がつまらないかな、と。若い人にとって会社の人は、自分と価値観が違って、遠い存在。だから何を言ってるか分からなくて、嫌なんじゃないでしょうか。

 22歳くらいで会社に入った人が、共感できることって少ないと思うんですよね。そこで上司と飲みに行ってたら、いつか中間管理職に共感するときがくるかもしれない。
 
 あとは例えば、「家庭より仕事が大事!」という典型的な猛烈ビジネスマンに1人しか会わなかったら、「それはあなたの価値観でしょ」としか思えないけど、何人もの猛烈ビジネスマンに会ったら「自分はそうは思わないけど、そういう価値観の人が一定数いるんだな」に変わる。色々な人と会ってると、共感のキャパシティが広がっていくんです。だから僕は飲み会が好きなんですよね。色々な人間が載っている「人間図鑑」のページを増やしたいんですよ。それが増えた方が、豊かな人生なんじゃないかなって思うんです。
(またある日には焼肉屋へ。「食べたら力が湧いてきました!」とのこと)

予想以上の感動に出会える可能性を切り捨てるのは、もったいない

――滝さんは、20代前半くらいの人と飲む機会はありますか?


:ありますね。来週、社会人1、2年目くらいの人と4人くらいで飲む機会がありますよ。

――滝さんの目から見て、彼らは「飲み会離れ」「お酒離れ」していると思いますか?


飲み会への目的意識や仲間意識が、前より強くなってる感じを受けますね。例えば来週飲む予定の彼らは、「同年代で仕事の話をする飲み会」だと行くけど、「新宿で飲まない?」だと来ないかもしれない。だから幹事の方で、コンセプトを設定してるんです。「たまには仕事の話でもしない?同年代で気も合うし」と。

 彼らには行くのに理由が必要なのかもしれないですね。「損したくない」という気持ちが強いのかもしれないですね。お金と時間を使うんだったら得したい。そうなると、スペックが分かるものでないと行けないですよね。「新宿で飲もうよ」だと、自分がお金と時間を使う意味が分かりにくい。

 でも、行く前からある程度分かりきってる飲み会って、想定内のことしか起こらないんじゃないかと思うんです。その反対に想定外の飲み会は、ひどい結果になるかもしれないけど、予想以上の感動に出会えるかもしれないんですよ。予想以上の感動に出会える可能性を始めから切り捨てちゃうのは、もったいないんじゃないかなって思いますね。

幹事をするのも、ハシゴをするのも、理由があります

――それでは、滝さん個人のお話に戻ります。幹事をしたり、たくさん飲み会に参加したりして、よかったと思うことはありますか?


:よかったと思うことは2つあります。1つは、人が集まるとなにかが起こるということ。分かりやすい形だと、ある出版社の人とあるライターさんが知り合いになって仕事を始めたとか、お付き合いするようになったとか。あるいは、最初は僕を介して知り合ったのに、2人だけで遊ぶようになったとか。そう聞くと嬉しいですよね。僕がセッティングしたからこそ、そういうことが起きたのかな、と。そういうのに関われるのは、幹事としてやりがいがありますよね。
 
 もう1つはお酒の持っている力だと思うんですが、普段とちょっと違うその人の一面が見られるのがいいなと思っています。真面目な人が面白くなったりとか、醜態をさらしたりとか、そういうのが見られると人間くさくていいなと思います。

 最近だと、普段デザインの話をしてくれないデザイナーさんがいまして。すごく優秀な方なので、デザインの話を伺いたいなと思ってたんです。でも、普段聞いてもはぐらかされちゃうんですよね。

 ある日、その人とお酒をご一緒する機会があったんです。僕がお店に行った時、その人はもうかなり酔ってました。そうしたら珍しくデザインの話をしてくれたんですよ。「デザインとはこうあるべきだ」とか。あるいは、ちょっと気恥ずかしいですが「こういう理由で滝さんのことを信頼してますよ」とか。そういうことは、お酒が入らないと恥ずかしくて言えない、って人はいますよね。

――以前に比べて減ったとはいえ、ハシゴしてまで飲み会に出席するのはなぜですか?


:単純に、「ハシゴすれば行けるんだったら、行った方がいいかな」と思ってるんです。あと、これは強迫観念かもしれませんが、次にお誘いが来るかどうか分からないと思っているんですよ。自分自身が誘う時も毎回同じ人を誘う訳ではないし。

 例えば、最近記憶に残っているハシゴは、昼に鎌倉の海の家でバーベキューして、夜にお台場でバーベキューした日。これはもう、バーベキューの目的は1件目で完了してるんですよ。ではなぜお台場に行くかというと、誘われたとか会いたい人がいるとかの理由もありますが、一番は気力があれば行ける距離だと思ったからです。

 もしかしたら、僕には「誘われなくなる恐怖症」があるかもしれないですね。これには背景があると思っています。僕は新卒で編集プロダクションに入りました。その会社が他社との付き合いが非常に少ない会社だったんです。ほぼ1社のクライアントを相手に仕事をしていて、かつ僕ら下っ端はクライアントの人と仲良くできるわけでもない。せっかく出版業界に入ったのに、外界との接点がないんですよ。とにかく仕事が忙しくて、かといって知り合いも増えない。それがすごく嫌だったんです。

 で、同じようにそれを嫌だと思う同僚がいて、2人で「わざわざ出版業界に入ったのに、これは何なんだろう」と言ってたんですよ。でも待ってても呼ばれない。だから自分たちで飲み会を企画しようと、ちょうどmixiが流行ってる時だったので、コミュニティで飲み会を開催していました。そこから幹事を積極的にやるようになりましたね。そこで築かれた幹事体質が、僕には強烈に染み付いてるんだと思います。




 滝さん個人の経験談から、世代論の話まで、まさに「予想外」の展開になった今回のインタビュー。編集者の方からこのような話を引き出せて、個人的には予想以上の面白さを覚えたインタビューだった。
 「飲み会に誘われたけど、知らない人ばかりだし、どうしよう…」と思っている人、今回は「予想以上の感動」に出会える確率に賭けてみては?

(写真提供:滝啓輔)

滝啓輔(たき・けいすけ)氏プロフィール

1978年生まれ。大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、現在は都内の出版社に勤務。数多くのヒット作に携わっている。


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【1人だけの会社説明会】面白法人カヤックのエンジニア・衣袋宏輝が「たくさん失敗作をつくった」ワケ

 こんな企画、おそらく日本初、いや世界初ではないだろうか。面白法人カヤックの
「1人だけの会社説明会」で、カヤックを退社する社員が話をするという。カヤック人事部の方も「(退職者が話をするのは)最初で最後かもしれない」と言うほどだ。

今日は「解散コンサート」だ!

 今回登壇するのは、エンジニアの衣袋(いぶくろ)宏輝氏。8月末日でカヤックを退職する。さすがの衣袋氏も、「退職する人が、会社説明会に出ていいんですか?」と人事部に確認したそうだ。すると、人事の方から「カヤックらしくていいんじゃない?解散コンサートみたいで」と言われたという。さすがカヤックである。

濃いエンジニア生活をプレイバック

 まずは、ざっと衣袋氏がカヤックで手がけたプロダクトやサービスを振り返る。全部で10数件ほどあり、インターンを含めた3年半の間に濃いエンジニア生活を送っていたことがうかがえた。
 
 ちなみに、衣袋氏が特に印象に残っているのは以下の3つだそうだ。

あなたの声で車が走る!「VOICE DRIVER CUP」


 子どものころのワクワクがよみがえる! 
 
 カヤックの「koebu(「声」をメインとしたサービス)」と日産自動車のコラボレーション作品。PCやスマホに向かって「ブーン!」と叫ぶと、ミニ四駆が走り出す。

スマホで焼肉を楽しめるアプリ「鼻焼肉」


 「WEBで匂いは伝わらない」という固定観念を打ち砕く作品。
 
 香りを通知するガジェット「Scentee」と連動して使えるアプリ。スマホから香る焼き肉のにおいを楽しみながらご飯を食べると、そこはまるで焼肉屋さん。貧乏学生やダイエッターが喜ぶこと間違いなし。

未来の家のスタンダード!?「2020 ふつうの家展」


 三井不動産×トラフ設計事務所×面白法人カヤックが考えた最高の未来の家!

 8月に開催され、大きな反響を呼んだ「2020 ふつうの家展」。ICT (Internet Communication Technologyの略。インターネットを通して行われるコミュニケーション全般を指す)技術などを多用し、家族のコミュニケーションや思い出を記憶する、「家族のパートナー」がコンセプトの家が披露された。
 衣袋氏はこの家のキッチン・テーブル・ドア等の設計を担当。

衣袋流・エンジニアとしての仕事術

 プロダクトの紹介が終わった後、衣袋氏はこう切り出した。「せっかくなので案件にならなかったものや、案件の裏側のドロドロした部分をお話ししようと思います」。

 その後に語ってくれたことは、衣袋氏がこれまで築き上げてきた実績の裏にある、エンジニアとしての信条だった。

①たくさん失敗する

「プロトタイプ(仮組みされたプログラムや、試作品のこと)が重要だというお話しをします。なぜプロトタイプが重要かっていうと、新技術って絶対につまずくんですよ。経験則から、初めてのことが一定ライン、だいたい30%くらいを超えると失敗します。でも、初めてのことがまったくない案件はつまらない。なので、新しい仕事をするためにプロトタイプをつくることを重要視してます」(衣袋氏)
 
 もちろん、そのプロトタイプを作る過程でも失敗は発生する。カヤックの面白いサービスをつくるためには、失敗はつきものなのだ。

 失敗ばかりで嫌にならないのかと思いきや、「日々大量にプロトタイプをつくって失敗しています。でも失敗の数が多いと、別の機会に使える組み合わせが増えるんです」と衣袋氏は前向きに語ってくれた。

②つくりかたをつくる

「僕の職業であるエンジニアは、ツールをつくる、つまり『つくりかたをつくる』ことができる職業なんです。これは結構大事なことなんじゃないかと思っています」

 そう言って衣袋氏はある映像を見せてくれた。「HaKU」というロックバンドの曲、「the day」のミュージックビデオだ。この映像の特徴は、演奏しているメンバーや歌詞がアスキーアート(コンピュータ上の文字や記号を用いて表現された絵)で表される点だ。


 「英語のアスキーアートをつくるのは簡単なんです。英語は文字の幅がみんな同じで計算が単純だから。でも、日本語は文字ごとに幅が違うので、アスキーアートをつくるのが大変なんです」(衣袋氏)

 そこで衣袋氏はどうしたかというと、「アスキーアートをトレースするソフトをつくりました。そのソフトを起動すると、使っていい文字列が上に一覧で表示されるんです。映像編集スタッフの方が、Adobe Premiere(映像編集ソフト)を使うということでしたので、Premiereで歌詞を指定するとアスキーアートが表示されるようになっています」とのこと。

③イベントの際には、必ずやることリストをつくる

 カヤックではWEBサービスやアプリの開発だけでなく、その認知度を高めるために映像を作成したりベントを運営することも多かったそうだ。その際に使っていたというリストを、特別に見せてくれた。その中からいくつか興味深いものを紹介したい。

 「ツールを間違わないこと。流行っていたり使い慣れているソフトやツールより、古くからあるFlashやHTML5でやった方がよい場合もあるんです。その見極めを間違わないようにする。時にはツールをつくった方がいいんじゃないか、というところから考える」
 「BluetoothやWi-Fiには法律があるので、勝手にパワーを上げてはいけないんです。それをちゃんと守っているか」
 「BluetoothやWi-Fiといった無線は、不安定でつながらないことが多いんです。だからとことん信用しないようにしています」(衣袋氏)

 これらはエンジニアならではの視点といえるだろう。その他にも、

 「お弁当のクオリティはスタッフの士気にかかわる。お弁当は超重要です」
 「誰がイベントを運営するのか。自分たちが運営するなら予算に入れないといけないですよね」
 「イベントに何人遊びにきてくれたのか、カウントするのを忘れないこと。特に広告案件だと必須項目です」(衣袋氏)

といった、意外と見落としがちなポイントも教えてくれた。

ネガティブな退職理由も、あります

 最後に衣袋師は、「ネガティブな退職の理由をお話しします」と発言。こ、これはとんでもない爆弾発言が飛び出すんじゃないか…!とドキドキしながら聞いていたのだが、

 「会社の前にコンチ(カヤックが開発したパズルゲームのキャラクター)が置いてある。僕、これ好きじゃないんですよ」 

 といった、拍子抜けするようなもの(その理由は「コンチ」で画像検索すると分かるかも……)。「結局、僕はカヤックが大好きです」と笑いながらしめくくった。

 衣袋氏はこれから何をするかは白紙だという。「フリーで活動したい、ということは何となく決めています。でも、明確にどうするかは決めてないです」(衣袋氏)


 エンジニアとして自分の信条をしっかりと貫きながら、カヤックでの数多のプロジェクトを切り抜けてきた衣袋氏なら、さらに活躍していけるだろう。

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