【経済インサイド】ミャンマー銀行免許「日本完勝・韓国全敗」の凄まじき明暗の理由 (2/2ページ)

2014.10.22


ミャンマーの銀行免許をめぐり、日本完勝、韓国全敗と明暗がクッキリ出た【拡大】

■不正が発覚した韓国銀行

 また、韓国の銀行は長年国有化され、アジア通貨危機で経営危機に陥ったため、欧米の投資銀行や邦銀ほど巨大化できていない。このため、韓国最大手企業のサムスン電子の資金需要に応えられず、複数の邦銀が融資しているありさまだ。こうした韓国銀の資金力の乏しさがネックになった可能性もある。

 これに対し、3行すべて合格した邦銀。他国とのバランスを考慮すると、当初は1〜2行とみられていた。

 麻生太郎財務相は3行への交付が決まった後、「(日本の)企業は、それぞれのメーンバンクが出ないと、(融資を受けにくく)進出しにくいという事情を先方に伝えたのが大きかった」と“秘策”を明かした。

 日本政府は、「アジアのラストフロンティア(最後の未開拓地)」とされるミャンマーとの関係を築こうと、延滞債務の解消や多額の円借款供与の方針を表明している。最大都市ヤンゴン近郊では、官民で工業団地も造成。安倍晋三首相も親書を送った。邦銀にはこうした追い風があったようだ。

■官民セールスが奏功

 邦銀の自助努力も大きく、3行とも出張所を置いて現地の銀行と提携してきた。

 三菱UFJは、前身の横浜正金銀行が1918年にミャンマーに拠点を設置した歴史を持ち、現在は出張所に格上げしている。ミャンマー事業強化の先陣を切ったのは三井住友。2011年の民主化後、外国銀行で初めてヤンゴンの駐在員事務所を出張所に格上げした。みずほも昨年、駐在員事務所を出張所とし、3行とも着々と準備をしてきた。

 3メガの首脳は何度もミャンマーを訪問。麻生財務相は「官民一体のトップセールスが功を奏した」と胸を張る。

 邦銀の“完勝”に沸き立つのが、生命保険や損害保険など日本の金融業。日本の生保で初めてミャンマーに駐在員事務所を設置したT&Dホールディングス傘下の太陽生命保険は今月、ミャンマー保険公社に対し、事務効率化のための保険システムを寄贈したと発表した。中堅生保の同社はこれまで海外に進出していなかったが、将来的にミャンマー保険市場が開放されれば、参入を見据える。

 他の生損保各社もミャンマー市場に注目しており、関係者からは「3メガの免許取得は生損保進出の追い風になる」と期待する声が少なくない。

 ミャンマーの銀行は最大手でも総資産が数千億円程度と小さい。同国に進出する外国企業の資金需要に応えられておらず、外銀への期待は大きい。

■2015年にも支店開設

 3メガは15年度にも支店を開設し、ミャンマーに進出した日系企業や地元銀行などに対し融資や貿易決済、海外送金などのサービスを始める。だが、先行者メリットを確保しようとすれば、採算を度外視したシェア争奪戦に陥りやすく、韓国大手銀と同じような不正に手を染めてしまう危険性もはらむ。

 3メガ“合格”という快挙におごらず、コンプライアンスを徹底し、地元に利益を還元できれば邦銀への信頼度はさらに高まるはずだ。現在は外銀の参入が認められていない個人向け金融サービスの解禁も見えてくる。

 

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