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 第一の指標は、「短期間の異常変動」だ。

 電子基準点データは7日分が公開されるので、7日間のあいだで最大値と最小値の差を見る。理論値ではなくわれわれが積み重ねてきた経験値による閾値(いきち)となるが、4cm超なら自動的に異常変動とし、5cm超および7cm超ならさらに上のクラスの異常変動としている。

 第二の指標は、「長期間の傾向値」だ。

 約2年の期間のあいだに、どの程度プラス、すなわち隆起したか、またはマイナス、すなわち沈降したかを調べる。短期間に変動しなくても、長期間にわたって変動する異常もあるということだ。

 第三の指標は、隆起または沈降の傾向値を累積した「累積変位」を計算する場合だ。

 震源が深い地震の場合には、異常な変動はゆっくり累積されると考えるからだ。

 これらの地震の前兆タイプは、病気に例えると分かりやすい。体に発疹が現れ、クシャミをしたら病気の前触れと分かる。これに相当するのが、「短期間の異常変動」を調べる第一の指標だ。

 生活習慣病になる時は、長い生活習慣から値が以前と比べて悪化する場合が多い。「長期間の傾向値」を調べる第二の指標は、このタイプに相当する。前のデータと比較することで、病状の程度を把握できる。

 ガンはゆっくり進行する場合が多い。短期間ではほとんど検知できないが、長い時間をかけてガン細胞が大きく成長する。「累積変位」を調べる第三の指標は、このタイプに相当する。

 次回には、これらの分析方法をもって実際に地震を予測できたのか、それを日本のみならず地球規模にまで発展できるのかについて、述べていきたい。

(次回に続きます。掲載は11月6日の予定です)

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