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宮城県の最大沈下地点

 上の図は、宮城県の電子基準点が、2011年3月11日前後にどのような上下の動きがあったかを示している。地震の時に牡鹿が110cm、女川が85cm、気仙沼が65cmほど沈下していることが分かる。

 東日本大震災では、東京にある経緯度原点や水準原点も動いてしまった。そして、地震から6カ月間は動き続けていたため、国土地理院は基準点の座標を固定できなかった。2011年10月末、電子基準点の固定座標が発表され、地上測量がようやく可能になった。

 このように地震によって大地は動くのだが、その発生前においても、異常変動の前兆現象が起きている。

 これが、地震予測に役立つ。地震の前には、人体に感じないくらい微少だが異常な変動がある。それを電子基準点データで検知できることを2001年に発見したのは、荒木春視博士だ。

 2002年にこのことを教えられた私は、その研究をご一緒させていただくことになった。2003年にマグニチュード8.0の十勝沖地震が起きたあと、これを調べてみると明らかな前兆が見られたのだ。

電子基準点データに見られる前兆

 下の図が示しているのは、2014年3月14日に起きた伊予灘地震(震度5強)の約6カ月前に現れた前兆データだ。

九州および四国の短期変動
〜2013年1月から9月まで〜

 JESEAでは、1週間のあいだで4cm以上の変動を閾値(いきち)にしているが、2013年9月、四国および九州の電子基準点の高さが一斉に異常変動した。なかには、6cm超の異常変動も見られる。

 そして、この最初の前兆が現れてから6カ月後に、伊予地震が起きた。

 前兆が現れてから実際に地震が起きるまでの時間は、「地震の規模」、「震源の深さ」によって異なる。大きな地震ほど、時間は長くかかる。また、大きな地震ほど、電子基準点が広範囲かつ一斉に異常変動をする。

 このことを、「巨大な規模」の地震だった東日本大震災の例で見てみよう。

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