安倍晋三首相と、民主党の枝野幸男幹事長のバトルが激化している。「革マル派」が浸透している団体から枝野氏に対する献金問題をめぐる、衆院予算委員会(10月30日)での応酬が“場外乱闘”に発展したのだ。にわかに注目を浴びた極左暴力集団の「血塗られた党史」と、現在の巧妙な組織拡大手法とは−。
先週末以降、安倍首相のフェイスブック(FB)には「革マル派」に関する言及が相次いでいる。これに対し、枝野氏は2日、北海道内で記者団に「何ら批判される筋合いはない。これこそ誹謗中傷そのものではないか」と反論した。
革マル派の正式名称は「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派」で、中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)、革労協(革命的労働者協会)とともに「3大セクト」といわれる。
戦後、武装闘争路線の否定に転じた日本共産党指導部に不満を抱く元党員らが発足させた日本トロツキスト連盟(1957年結成)が源流で、同連盟の流れをくむ革共同(革命的共産主義者同盟)が63年に革マル、中核両派へと分かれた。
革マル派は70年代以降、他のセクト、とりわけ中核派との壮絶な「内ゲバ」を繰り広げ、中核派書記長殺害(75年)、全学連幹部殺害(86年)といった凶悪犯罪を引き起こす。
冷戦後は、かつてのような陰惨な内ゲバは影を潜めたが、革マル派締め出しを進めた早大当局者への盗聴(97年)などの事件を繰り返している。活動家の数は全盛期の8000人以上から5000人程度に減少しているとされる。